第13話「大使館の目的」 #限界シェアハウス文学
そういえばこのビルがなぜ「大使館」と呼ばれているのかを話していなかった。もはや内輪では当たり前になっていた話なのだけれど、改めてここでまとめておこうと思う。
「大使館」の由来
このビルを「大使館」と名づけたのはすごいひとだったような気がする。ノリで適当につけたのだけれど、一応の由来はある。
別にもう隠す必要もないのだが、このビルを中田先生がアフガニスタンのタリバン政権の大使館にするつもりだったのだ。タリバン政権は2021年の8月に首都のカブールを掌握してから実質アフガニスタン唯一の政府となっているのだが、どの国からも承認されていない国である。日本も勿論そう。しかし外交官を派遣して実質外交関係を持っていたりする国はいくつもあるし、国として認めないならじゃあどうやってビザの発行とかするのかみたいな話もあるので「じゃあ俺たちで大使館作るか」という話になった。
ウィーン条約的にマズいのかとか、日本政府が認めていない国の大使館を作ろうとすることが国内法に触れるのかとかはよく知らないのだけれど。国の偉い人たちとかが目障りに思っていそうなのは十分に察せられる。あとこのビルの大家とかも。
本物の大使館
元々の政権の本物の大使館は麻布台ヒルズの目の前にある。一等地で立派な建物なのだが維持できる程の金などそこの住人(元駐日大使)には勿論ない。でも一応存在してる。なにやってるか知らんけど。
そんなノリで出来た「大使館」なのだが、漠然と大使館を新しく作ろうとしても仕方がないのですごいひともアイデアを出して、なんかそれっぽくもありワンチャン実現可能性ありそうなプランが幾つか出来た。例えば、中田先生がタリバンの偉い人とたくさん友達だから、渡航してアフガニスタン国籍を取り駐日アフガニスタン大使になって帰ってくるとか。タリバン政権が日本政府から承認されたら「本物の」大使館に現地スタッフとして雇ってもらおうとか。そういう悪ふざけ(本人はそのつもりじゃないらしい)をずっと中田先生とすごいひと、時々大司教とかで話していたのだ。もうこういう話でしか脳汁出ないし笑えない人生になってしまったのだなと自分でもこの文章を書いて悲しくなってきた。
まあそういう中田考港区男子化計画とか日本国のパスポートを持ったアフガニスタン人(タリバン政権をまだ認めていないので今なら二重国籍にならない説)とかを作りたかったのだ。だって中田先生が駐日アフガニスタン大使になって、本国からの信任状を天皇陛下に渡してるところとか見たいじゃん。ただそれだけで、誰も最初から障害者を集めて地獄を作ろうとかしてなかった。少なくともすごいひとはね。
情勢
米軍がアフガニスタンから撤退した2021年からもうタリバンが国際社会に承認される雰囲気はあった。他に統治できそうな集団もないし別に誰も征服しに行きたい土地でもないのでアメリカがいなくなれば、もともと支援されていた腐敗した前政権も当然崩壊する。
という「勝ち筋」にずっと注目していたのが中田先生(というか日本でアフガニスタンに興味ある人間が少ない)だったし普通に向こうの人脈があるので割と可能性がありそうな悪ふざけだった気がする。それが色んな意味で良いことではあるのだが、最近国家承認される機運が高まってきたらしい。詳しくはニュースとかで見て欲しいが早ければ今月、来月くらいに承認される可能性すらあるらしい。
そうなると国と国同士のやりとりになるので、もはやそんなタイミングで我々のようなペルソナノングラータは関係なくなるし、多分利権を狙うゴミみたいな新しい「関係者」とかが出張ってくる別の地獄が始まるのだろう。アフガニスタン版鈴木宗男とか出現したら最悪で良いかもね(適当)。
破滅
すごいひと的には脳汁が出てサブカル(っていうかただの悪ふざけ)が出来ていれば良いのだが、大使館から脱出してしまって安定している今ちょっとだけどうでも良くはなってきている。なのだけれどこれも全て終わらせるため、中田先生に相応しい死に場所を探すためもう少し間近で見たり時々手伝ったりくらいでいようと思っている。まぁこの先の大使館、破滅するような気がしないでもないけどたまに屋上バーベキューとかするくらいのビルで良いんじゃないでしょうか。
あと自分たちのしょうもないサブカルのせいでどっかの公務員のおじさんたちの仕事が無駄に増えると思うとエモいよね。今日もお仕事お疲れ様です。
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