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身体から水銀を減らすために!

こんにちは!

今日は、身体から水銀を減らすためにどうしたらよいか?についてまとめてみました。

人が食品から摂取する水銀は、魚介類が80%と最も多く、水銀(メチル水銀)は、ほぼ100%が腸管から吸収され、腎臓、肝臓、脳などの臓器に蓄積し、その後、尿、糞便、頭髪などから排泄されます。*下のスライド参照

スライド2



水銀の種類には、金属水銀、無機水銀、有機水銀があります。有機水銀のひとつで水俣病の原因であるメチル水銀は、自然界において、プランクトン→草食魚 →肉食魚→哺乳動物といった食物連鎖により濃縮され、その結果、下のスライドの様に、マグロ、カジキなどには高濃度の水銀が蓄積しています。

スライド1

カジキはイワシの80倍の水銀量です。数値が半端なく高いのでグラフには示していませんが、マッコウクジラはイワシの120倍、バンドウイルカはイワシの1200倍もの水銀量です。

貝では、エッチュウバイガイが高く(イワシの26倍)、ウナギの肝も水銀量が高い数値(イワシの95倍)がでています。

メチル水銀が最も問題になるのが、胎児への影響です。

胎児はメチル水銀に対する感受性が高く、とても影響を受けやすいので、妊娠を予定している女性、妊婦さんは注意が必要です。

クジラやイルカを多食する習慣があるデンマーク領フェロー諸島の調査では、 下のスライドのように出生時、臍帯血のメチル水銀濃度が高い赤ちゃんは、成長に伴い脳神経異常を来すことが報告されています。(スライドは、光に対する反応が、脳MRI検査で調べるとバラバラである事を示しています。)

スライド3

厚生労働省は、妊婦さんの摂取すべき魚の摂取量を規定しています。例えば、本マグロやメカジキ、キンメダイは、1週間で80gまでに制限するように指導しています。


人体内のメチル水銀は、生物学的半減期が、70日と考えられているので、妊娠中だけではなく、妊娠する6ヶ月前からメチル水銀が比較的高濃度に蓄積している魚介類を制限した方が良いと思います。

一方、魚介類には、胎児・新生児の成長と発達に有用なオメガ3系多価不飽和脂肪酸(EPA、DHA)が含まれているため、水銀のリスクを避けるように魚種を選択し積極的に摂取することが望ましいと思います。

東北大学のチームが、妊娠可能な18歳から30歳の女性に、下記の①②のような食事指導を行い、2年間の追跡後、毛髪の水銀濃度が減少するか否か検証した興味深い研究があります。


① 水銀などの汚染物質が少ない魚種を選ぶように勧める。
(マグロ・カジキを避け、青魚を推奨など)

② デトックス効果があるアブラナ科の植物を食べるように勧める。
(ブロッコリー、ブロッコリースプラウト、キャベツなど)


① ②の食事指導の結果、指導開始1年後で25%、2年後で30%もの毛髪水銀
濃度が低下しました。*下のスライドを参照

スライド4


また、2年後に耐容週間摂取量(ヒトが一生にわたり摂取し続けても健康影響が現れない一週間あたりの摂取量の指標):2μg/kgを超えていた女性の人数が大幅に減っていました。*下のスライドを参照

スライド5

通常の食生活の中で、水銀が中毒量に達する事はありませんが、上記の研究結果でもわかるように、普通の食事をしている女性でも、水銀の耐容週間摂取量を超えている方が一定数いることを考えると、潜在的なリスクを回避するために、妊婦さんを含め全ての人が、普段から①②の食事指導を心がけると良いと思います。

キーワードは、青魚とアブラナ科の野菜です!