Longcovidからのリハビリ ⑦【体力・筋力の回復】
後遺症の発症から2ヶ月間は安静を守り、決して無理をしないことが推奨されています。多少は動けるかといって活動した場合には、症状悪化のリスクがこの期間には高いと言われています。場合によっては通院そのものも負荷になり、その反動が来る場合もあるようです。
自分は後遺症を自覚して2週目にBスポット治療のため通院を開始したのですが、その頃は強い倦怠感もあって体の自由も効かず、自力での通院は困難でした。週一回の通院を現在も続けていますが、最初のひと月程は郊外のクリニックへタクシーでの往復となりました。
その後はBスポット治療の効果もあってか、体は少しずつ動くようになり、通院もタクシーから公共交通機関を使うようになりました。ただし無理をしてはならないという教えを守って、通院以外の外出は近場の買い物程度に控えていました。
そんなある日、徒歩圏にある図書館へ2ヶ月ぶりにでかけてみました。図書館までは自転車で行き、そこからは古い造りの急階段を3階まで昇らねばなりませんでした。普段ならば3階でも4階でも1段飛ばしで昇る脚力があるのですが、この日は1階分をゆっくり昇っただけで下半身がだるくなり、体力、特に脚力の低下を実感することになりました。
自分は30代に病気入院2週間の経験があり、その際に絶対安静を指示され、トイレ洗面所以外はベッドでの生活を余儀なくされました。わずか2週間でしたが体力低下は著しく、退院後も1月ほど自宅療養を続けることになりました。
今回の体力低下はそこまでではありませんでしたが、自宅での生活動作と、わずかな徒歩や自転車での移動だけでは、体力や筋力の維持は厳しいものがありました。ただ退院後の不自由な生活の記憶も生々しいものがあって、日常の活動レベルは抑えつつ、最低限でも体力や筋力は維持したいと考えました。
後遺症になり体重は3%ほど落ちましたが、上半身の体型には変化は見られなかったので、おそらく下半身の筋肉や体脂肪が落ちていたと思います。大腿筋など細くなっていたかもしれません。そこで筋トレのような強い負荷を与えず、下半身の筋力を維持するよう試行錯誤を始めました。自転車移動の距離を少しずつ長くする、疲れが出れば同じ動作はしばらく休む、呼吸リハや起床の際に横になったまま下半身の体操をやってみるなど、無理ない程度に試して行きました。
こうした試行錯誤は、倦怠感の波にもまれながらのことであり、なかなか思うようには進みませんでした。波のボトムの時には、1日横になっていることもありました。また調子の良い日には活動レベルを上げたくなるのですが、はやる気持ちを抑えながら、無理のない程度にの繰り返しになりました。
そんなことを1月ほどやりながら、下半身の筋力も少しずつですが回復するようになりました。そろそろ負荷を与えても良いかなと考えて、極く軽い筋トレも開始しました。健常時には腹筋や背筋を各100回、腕立て伏せを20回程度はやっていたのですが、それら筋トレを各1回きりずつから再開してみました。さすがに1回では負荷とは感じませんでしたが、回数を徐々に増すことで全身の活動レベルの底上げになったと思います。
加えて、老人医療の専門家で自らも高齢者向けエクササイズを考案、実践している鎌田實先生のスクワット法を取り入れてみました。これは膝になるべく負荷をかけず、中腰姿勢を10秒ほど静止して行い、それから踏み台などに腰をストンと落とす動作を繰りかえすものです。大腿筋への負荷はさほど感じませんが、このストンと腰を落とす際の大腿筋のゆるみが筋肉の増強に効果があるとのことで、隔日ですが5セット程度を行うようにしました。
その後は近場の外出や長い階段の登り降りも苦もなくできるようになり、体力的な自信につながりました。倦怠感や脳疲労の症状の波はおさまらないものの、からだが動き、社会との接点も確保できることは、社会復帰への希望となりました。
以上になります。
※本記事は個人の体験によります。