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『二層の生』雑感400_08

毎日の読書から、だいたい400文字の雑感を。

「生き生き」という言葉には「生」が二度登場する

「どうせ死ぬのに、なぜ生きるのか。」

小学生のとき、母親との些細なケンカが立てた問い。生まれる意思もなく、生まれた理由もわからず、気がついたら人生は始まっていた

運よく没頭できる活動や気の合う友人に出会い、充実した毎日を過ごしてきた。それでも油断をすると、ふと湧いてくる人生の虚無感。隙を見せると突きつけられる「死に向かって生きている」事実。

人生を平面的に捉えると「生きる(死ぬ)ための生」だ。食べて、動いて、呼吸して、寝る。その連続の果てに、いつの日か、死が訪れる。ただ人生はそれだけではない。

著者西村さんの言葉をお借りすると、

生きている時間の上で、さらに生きる。

という二層目の人生が誰にでもある。

生命を維持する活動以上の意味を、誰もが人生に上乗せすることができるのだ。エネルギー溢れる「生き生き」という言葉が、その事実を教えてくれる。

後に、ただ生きている尊さもわかってきた。それでも人生は、ただ生きる以上に豊かにすることもできる。とても贅沢な話である。

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