ハラスメント対策の方向性
ここ3年、弊社で一番研修の依頼が多いのがこのテーマです。法改正を機に「・・・ハラスメント」というのが造語でいろいろできてきて、マスコミやネットニュースで取り上げられるので、話題が起こるという事もありますが、分類はどうであれ、ハラスメントを一言で言うと、いじめや嫌がらせのことです。誰もがハラスメントの加害者にも被害者にもなりたくないと思うのですが、職場で起こりやすいパワハラ、セクハラ、それらを含むモラハラの特徴としては、加害者には自分がハラスメントをしている自覚がない、というものがあります。気づいてない、ということなので対策が難しいです。
これまでは「まあ、あの人はああいう人だからしょうがない」と我慢することが多かったのですが、法律ではハラスメントの対策は企業の義務になっていて、改正労働施策総合推進法(通称「パワハラ防止法」)で中小企業もすでにパワハラ対策が義務化されています。
加害者、被害者の主観も入り、プライバシーにも関連するので、企業として同対策をとるのか難しいと感じている方も多いのではないかと思いますが、よくある対策としては、場面に応じて「こういう行動はダメ」というようなNG集のようなものです。ところがこういう対策は見た目は良くても、コミュニケーションや行動を制約してしまうので、当事者のストレス要因を増やしてしまいます。ハラスメントの根本要因に加害者側のストレス反応は大きく関わると私は考えていて、ストレスを増やす対策は機能しないことが多いと実感しています。また責任を個人に負わせて秘密裏に処理することも、隠蔽体質を作る要因になります。加害者をつるし上げて被害者にしてしまうことも多く、多方面に悪影響が残ります。
地道ではありますが、ハラスメントについての基礎知識を社内に周知する、トップがハラスメントを無くす方針を表明する、といった方法でまず全員を巻き込むのが対策として必要です。ハラスメントは特別なことではなく、誰でも、何処でも起こりうることなので、ひそひそ話で話題にするようなものではなく、皆が経営課題としてそのことについて良く知り、個人の問題では無く環境問題としてオープンに話し合えるような場づくりが大事です。研修や社内活動などはそういう点で有効です。厚生労働省では「あかるい職場応援団」というポータルサイトを作り、啓発と情報提供を強化していますので、ダウンロードできるツールをうまく活用してください。
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