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原宿でマッチングアプリの広告は有効か?−データ×フィールドワーク vol.2:屋外広告/表参道・原宿篇−

前回渋谷篇をお届けした、エリアに集う人々の特徴と屋外広告の適正度をチェックする企画の第二弾、表参道・原宿篇。前回の“気になった大賞”SOPH.さんの「まいったな2020」のビルボードを横目に見つつ、宮益坂を上って表参道を目指します。

■表参道エリア

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まずは宮益坂上にあるENEOSさんの壁面を利用した2つをピックアップ。モバイルルーターや格安SIMを提供しているバウエモ。利用しそうなシーンの関心度について調べると、写真・映像、音楽、SNSへの関心度は非常に高くなっています。一方で海外旅行やゲームについてはそれほど高くないので、オシャレ女子の日常使いを想起させるビジュアルはこのエリアとの相性も良さそうです。

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高齢者に明確にターゲットを絞った住まい相談サービス。サイトを見ると高齢者だけではなく様々なマイノリティーの方々に向けて提供しているようです。年代で見ると60代以上は少ないですが、アパートや賃貸マンション住まいの割合が高いので、先々の住まいに不安を抱えた方が見るとドキッとしてしまいそうです。

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さらに表参道に向けて歩き、青山学院を通り過ぎてからの青山五丁目交差点。同じ賃貸マンションに関する広告でも正反対の内容が。高級賃貸マンションの訴求ですが、大学のそばのため、職業や年収でそれらしい特徴はあまり出ておらず、男女とも20代の割合が非常に高くなっています。とはいえ、この交差点から車で骨董通りを進むと、経営者層や世帯年収2000万以上の層が都内屈指の割合を誇る広尾や白金高輪エリアへたどり着くことを思うと、歩行者よりも交差点で信号待ちをするドライバー向けだと考えられます。

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意識が高い人が多そうなイメージがあるエリアですが、健康に対しての意識も高いという結果が出ています。本来的には運動自体はそんなに好まないものの、健康志向や美意識からジムに通うという人も多そうです。ジョギングのような“減らす(マイナスする)”運動より、身体もファッションの一部だと考えてゴールドジムで筋トレして“身体を演出する(プラスする)”ことの方が好まれるのかもしれません。

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表参道の貴重なプロモーションスペースとして数々のポップアップショップが催された場所ですが、常設店になったようですね。もはや屋外広告ではないですが…参考までに。いちごスイーツ専門店「ベリーアップ!」、関連がありそうな項目は満点です。味も見た目も楽しめそうなラインナップに塩川いづみさんが描き下ろしたというビジュアルといい、この場所との相性は抜群です。

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This is ファッション広告。表参道のシンボル的な存在ですね。さすが都内随一のファッション関心度を誇るエリアらしく、他にも下の写真のようにファッション広告が居並んでいます。プラダの下をしっかり押さえるあたり、Amazonの抜け目のなさを感じる次第です。『プラダを着た悪魔』ではメリル・ストリープ演じる編集長ミランダはメルセデス・ベンツで移動していますが、この広告を見る人はフォルクスワーゲン保有者が多いようです。また周辺に店舗が集まっていることから販売スタッフ職の割合も高いようで、こんな場所に自分のお店の広告が出ていたらスタッフのインナーモチベーションアップにもつながりそうですね。

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続いてベトナム航空。今は中々難しい時期ですが、一日も早く気軽に旅行に行ける日が来るのを願って。ベトナムと言えば料理やスパが魅力ですが、グルメ・お酒・美容への関心度が非常に高く、さらに国内よりも海外旅行への関心が高い人たちが集まるエリア。すぐに実行することはできなくても、渇望している状態で触れると情報の受容性は上がりますよね。すごく乗りたくなりました…!

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初放映から四半世紀を過ぎても根強い人気を誇るエヴァンゲリオンとのコラボレーション。新作映画の公開を控え、ファンの間では再び盛り上がりを見せていますよね。映画作品への関心は高いですが、マンガ・ゲームへの関心は低い傾向。他のアニメやゲーム系コンテンツでは厳しそうですが、クリエイティブ感度の高い人たちからの評価も高いエヴァとの相性は良さそうですね。

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表参道駅へ向かう階段を下り、地下鉄駅構内へ。渡辺直美さんを起用したWebプロモーションも行われているSK-Ⅱの広告ですが、美容・ファッション・SNSへの関心度の高さは期待通りですね。20~30代女性をターゲットにしているのではと予測されますが、性年代別の割合を見ても隙がありません。

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こちらはスマホのリズム&アドベンチャーゲーム。ゲームへの関心は高くありませんが…バンドリは楽曲の完成度の高さに定評があり、テレビ・Web番組やイベントなど様々なメディアミックス展開もしている人気コンテンツ。それらのチャネルから入ったファンにゲームの告知を行う手段として使われているのかもしれません。

■原宿エリア

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表参道ヒルズの前の坂を下って原宿方面へ向かい、キャットストリートを過ぎた辺りで遭遇。nendoの佐藤オオキさんがパッケージデザインを手掛け、「Be smart. Be creative.」と謳うライジンです。職業別の属性で見るとクリエイティブ系と考えられる職種の割合はさほど高くはありませんが、嗜好性での相性はとても良さそう。男性30代が多く、仕事にも脂が乗ってさらに新しい刺激が欲しくなるお年頃の方々にハマりそうです。

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明治通り沿いの竹下口信号付近のビルボード。マンガ関心度も高く、ペット好きも多いのでキャラクター受けも良さそうです。竹下通りの出入り口だけに20代女性が多く、エントリー層獲得に寄与しそうですが、テレビにはあまり関心がないようなのでCMとの相乗効果はあまり大きくないかもしれません…。

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JR原宿駅の道路側に連貼りされた大型ボード。原宿ファッションジョイボード文化展というイベントの一環で掲出されているそうです。学園モノのマンガになっていますが、実際の学生は少なく20代女性が多くなっています。SNSへの関心も高いので、パスワード啓発には適切な場所かと思います。映像への関心が高いので、アニメや動画版にコンテンツ展開してみるのも効果的かもしれません。

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ラストは原宿駅構内にあったマッチングアプリ。未婚者割合、SNS関心度も高く、Goodマッチングですね。こちらのサービスは再婚者、シングルママ・パパ向けの優遇プログラムの充実を打ち出しており、口コミでも30~40代の登録者が多いと言われています。コピーも「ありのままのわたしを受け入れてくれる人がいる」とコンセプトが分かりやすく表現されていますね。性年代では男女とも40代の割合は高くないですが、30代男性は多くなっていました。

■番外編
今回取り上げたエリアで一番印象に残ったものがこちら。

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キャットストリート商店会でもチェックしたライジンですが、表参道交差点でポップアップカフェも展開。しかし気になったのは…その隣にあるビル壁面に掲示された巨大QRコード。思い切って読み込んでみると「きょうの家」という京都の宿泊施設を紹介するサイトが現れます。

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買い物や仕事の合間に、カフェのテラス席に座ってちょっと一息。ふと見上げた目線の先にある謎のQR。暇つぶし感覚でアクセスしてみると、そこには落ち着いた隠れ家的宿の紹介が。ファッショナブルな都会のど真ん中に、一気にはんなりとした古都の風が吹く…。知らぬ間に空室検索をしてしまっている自分に気づくことでしょう——

渋谷篇に続き、表参道・原宿篇をお送りしました。これらのエリアにもありましたが、ネットワーク型のデジタルサイネージ「LIVE BOARD」のように屋外広告もデジタルメディア同様に配信の最適化を図っていこうという動きが活性化しています。データ上の特徴に周辺の環境や立地条件など様々なリアル変数を掛け合わせることで、もっともっと面白くできそうな屋外広告。データ×リアルの可能性をこれからも追求していきたいと思います。