声のかけ方 〜気になる利用者の方に対して〜
みなさんこんにちは
和歌山市で放課後等デイサービスの運営サポートとメンタルヘルスケアを行なっている臨床心理士・公認心理師の大浦政幸です。わたしたち株式会社Mind Compassは、ノーマライゼーションの実現を目指して活動しています。
今日は気になる行動をする利用者の方に対してどう接するか、どう声をかけていけばいいかというお話をしたいと思います。
放課後等デイサービスで支援、療育をおこなっていく中で、利用者の方の行動が気になることがあると思います。特に、その行動がなにかしらのトラブルに繋がったり、社会的に容認しにくい行動であったりすると、なんとかしなければとアプローチするのが通常かと思います。
さて、そんなときどのようなアプローチをしているでしょうか。
よくあるパターンとして、利用者の方がその行動をした時に注意をする、というものがあります。気になる行動が出現すると「それはダメでしょ!」など注意をして行動を止めます。
さて、このような対応をされた支援者の方はきっと多いでしょうが、その後この行動はどうなったでしょうか。
きっと、全く出現しなくなった、というケースは非常にまれだと思います。注意をした時にはやめるけど、またしばらくするとやり始めたということもあるでしょうし、ある支援者の方がいるところではしないけれど、他の場所でより顕著に出現するようになったということもあるかと思います。また、時にはさらに出現頻度が高くなったというケースもあるでしょう。
「そんなことを言われてもどうしたらいいの」と思われる方もいるかと思います。どうしても気になる行動をする利用者の方がいる場合、その行動を目で追ってしまいがちですし、意識もまたあの行動をしたらどうしよう、となってきてしまいますよね。
ただ、そんなとき一度振り返っていただきたいことがあります。それは、その行動以外のとき、その利用者の方はどのように過ごしているでしょうか。また、支援者の方々はどう接しているでしょうか。ここがとても大切なポイントになります。
利用者の方々の行動の理由は人それぞれですので、必ずこうだということはできませんが、人の行動を大きく分けると「獲得」「回避」「注目」「自己刺激」のいずれかのために行動していると言われます。これらの目的が一つ、もしくは複数合わさって、その目的を達成するためにどんな行動をしたらよかったのかを日々の活動の中で学習し、繰り返しおこなっているのです。
難しい話になってしまいますのでここでは少し触れるだけにしますが、行動上の問題があった場合、その行動の目的は何なのかを分析して確認していくことで、紐解いていくことができるのです。
さて、少し話がそれてしまいましたが、利用者の方が気になる行動をしていないとき、もっと言えば望ましい行動をしているとき、どれだけ注目し賞賛しているかが大切なのです。
「そんなときはないよ!」となってしまうと専門的な介入が必要なケースになってくるかと思いますが、そうでなければきっと望ましい行動をしていることもあれば、気になる行動をしていることもある、という状況が多いと思います。そのため、できるだけ利用者の方が望ましい行動をしているときに、その方にとって喜ばしいことがあることで、その行動が増えていきます。反対にずっと気になる行動ばかりに注目していると、なかなかその行動は減りませんし、よりエスカレートしてしまうこともあります。
気になる行動がある利用者の方がいる場合、どうしてもその行動ばかりに注目が行ってしまいがちですが、そんなときこそそれ以外の場面に注目して、望ましい行動を増やしていきましょう。