その注意、脅しになっていませんか?
みなさんこんにちは。
和歌山市で放課後等デイサービスの運営サポートとメンタルヘルスケアを行なっている臨床心理士・公認心理師の大浦政幸です。わたしたち株式会社Mind Compassは、ノーマライゼーションの実現を目指して活動しています。
今回は、放課後等デイサービスにおいて利用者の方への「注意の仕方」について考えてみたいと思います。放課後等デイサービスを運営していると、利用者同士でのトラブルや危険な行為など、注意が必要な場面に直面することがたくさんあると思います。そんなとき、どのような言葉で利用者の方に伝えていますか?
注意の仕方に注意を払う理由
注意をするときは、普段のやりとりよりも、より一層言葉に注意する必要があります。その言葉で傷つけてしまったり、誤解を生んでしまったり、さらなるトラブルに発展してしまう可能性もあります。時には退所問題にまでつながるかもしれません。そのため、利用者の方にはわかりやすく伝わりやすい方法で、短い時間で具体的に伝えることが重要です。その上で、その方自身が振り返り理解できるような伝え方を心がけましょう。
脅しとして受け取られる言葉
「そんなことしてたら、◯◯させません。」
「そんなことをするなら、△△にはいけません。」
など、利用者の行為に対して次の活動を禁止してしまう言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
こう言われた利用者の方がその行為をやめる可能性は高いでしょう。そのため、支援者の方々は自覚せずに使ってしまう危険性をはらんでいます。ですが、本当にこの利用者の方は、ここで指摘されている行為をやめられるでしょうか。
もちろん一時的に、言われた場面ではやめるでしょう。楽しみにしていたことができなくなるのは嫌なので、その場ではしなくなると思います。しかし、その行為がどうしてダメなのか、何がいけなかったのかは伝わっていないままです。楽しみを禁止されたからやらなくなっただけなので、そのような楽しみがない場面では、その行為をしてしまう可能性があるでしょう。
また、「○○させません」という言葉は、利用者の方への脅しになっています。人権の侵害にあたり、虐待で通報されてしまう可能性もあります。このような状況は、誰にとっても望ましい結果とはいえません。
不適切な注意がもたらす悪影響
さらに、「○○させません」と伝えたにもかかわらず、実際には運営上の理由で参加してもらうときもありますよね。こうなると、注意を受けた利用者の方は、注意された行為を止めなくてもいいんだ、と受けとってしまいます。きっと次からは、何度止めても、何度注意しても、繰り返しその行動をすることになるでしょう。
効果的な注意の方法
このような問題を避けるためには、「○○させません」や「△△には行けません」といった脅しの言葉を使うのではなく、なぜその行為がいけないのかを具体的に説明し、代わりにどのような行動がいいのかを利用者の方と一緒に考えることが大切です。具体的な場面を振り返りながら、利用者と話し合い、繰り返し丁寧に伝えることで、利用者の方が問題行動を理解し、行動を変えられるようになります。
また、適切な行動をとるための具体的な支援を提供することも重要です。こうした積み重ねによって、利用者の方のトラブルや危険な行為が減少し、安全で安心な環境づくりができていくでしょう。