夜と月
幼い頃から夜に月を見るのが好きだ。
月明かりが照らす世界がとても綺麗で、ただ見ていられた。
満月の日はなんだか丸顔の私を見ているようで妙な親近感が湧く。
幼い頃から夜が嫌いだった。
何か闇に飲み込まれるようで目を瞑るのが怖かった。
怖いことがあると、両親が喧嘩している声と物音が聞こえてくると。
涙を流しながら、”神様“なんてものに縋ってよく願った。
「神様お願い、明日になったら今までの記憶がなくなりますように。」
死にたくても死ぬのが怖い臆病な私は縋った。
大人になってからまた夜が怖くなった。まるで5歳の子どもが赤ちゃん返りするかのように。
でも、もう大丈夫だよ。
眠りにつかせてくれる薬だってあるし。
離れていても私の事を想ってくれる人がいた事に気付けたから。
幼い私、ゆっくり心地の良い眠りにつけますように。
神様、どうかみんなにも、安らかな眠りを。