ほうじ | 少数色覚デザイナー

プロダクトデザイナー歴10年以上。2型色覚異常。 https://twitter.com/c_b_designer

ほうじ | 少数色覚デザイナー

プロダクトデザイナー歴10年以上。2型色覚異常。 https://twitter.com/c_b_designer

最近の記事

  • 固定された記事

色覚異常でもデザイナーになる 1

私は少数色覚(2型色覚異常:緑色が弱い)のプロダクトデザイナーです。電化製品の製品デザインをメインの仕事にしてます。もうデザイナー歴としては10年を越えています。 あまり言わないようにしていますが、私がだれかに「自分はデザイナーだけど少数色覚です」と話しをすると、たまにこんなことを言われます。 「それはあなたが持って生まれた個性なんだよ!  あのゴッホも色盲だったらしいし、  それは一つの才能だと私は思うよ!」 こういうニュアンスのことを言われます。 こういうことを言

    • 肌を緑に塗る少数色覚者

      緑色の人の絵を描くというのは多くの少数色覚者が子どもの時にやる行動の一つです。 それは、多くの少数色覚者にとって薄いオレンジである肌色と薄い黄緑色が同じように見えるからです。大人になると理屈で考えて色を塗るようになるので、意図がなければ緑に塗ることはありません。しかし、無意識で色を選んでいる小学生ぐらいまではよく緑に塗ると思います。 子どもによってはその時々で、薄緑で塗ったり、多数色覚の人と同じような肌色を塗ったりしてバラ付きがあるかもしれませんが、それは多分どっちでもい

      • やってほしくない緑とオレンジの使い方(カラーUDの話)

        少数色覚者にとって黄緑とオレンジは見分けづらい組み合わせの一つです。この記事のタイトル画像とかなかなか最悪です。 WEB、アプリや印刷物などのメディアではだいぶカラーユニバーサルデザインの考え方が浸透してきており、デザイナーも多様な色覚でも読み違えないように配慮してデザインすることが当たり前になってきていると思います。 Photoshopなどのグラフィックツールには簡単に少数色覚の見え方を確認できるプレビューモードがありますし、AdobeColorを使えば無料で少数色覚の

        • 少数色覚者が少ないかもしれない仕事

          少数色覚の人には就けない職業があります。 例えば信号を見分ける必要のあるパイロットや運転手。例えば炎の色を見分けなければ行けない消防士。 これらは色の判別が業務上必須なので、現状は少数色覚者が就くことはできません。 多くの職業には色覚に対する制限はありませんが、業務特性上少数色覚の人が少ない業界はあるのではないでしょうか。 例えば私はデザイナーですが、高い頻度で色の選定や判断を行うので、他の職業に比べると少数色覚の人は少ないと思っています。 しかし製品開発の現場で、デザイ

        • 固定された記事

        色覚異常でもデザイナーになる 1

          欠点を補うツールを見つける

          少数色覚プロダクトデザイナーのほうじです。 私が少数色覚だと自覚したのは10歳のときです。90年代後半でした。 まだその時はデザイナーになることを想像もしていませんでしたし、そもそもデザインというジャンルがあることも知りませんでした。なので、少数色覚であることにそこまで危機感を持っていませんでした。 ただ、絵を描くのはその頃から好きでした。絵を描いているときに色を取り違えてしまうのはストレスでした。流石に小学校高学年になる頃には人の肌を緑色で塗ることはなくなっていました

          欠点を補うツールを見つける

          色覚異常でもデザイナーになる2:困ることとその対策

          少数色覚プロダクトデザイナーのほうじです。 今回は私がデザイナーとして色を扱う仕事をしてきた中で、どのようなことが一番困ったか、そしてどのように解決してきたかを書きたいと思います。 人を惹きつける美しい色彩構成を考え出すことはもちろん難しい仕事です。 しかし、それは少数色覚であろうがなかろうが難しいことに変わりはありません。 私が、少数色覚のデザイナーだからこそ難しく感じる色の作業は、「色の確認」と「色あわせ」です。 つまり、どちらかといえば色を生み出すときではなく、色

          色覚異常でもデザイナーになる2:困ることとその対策

          色覚異常のひとは本当に「ただしい色」が見たいのか?

          先日、「モノシリーのとっておき」というテレビ番組でいわゆる「【感動】色覚補正メガネで初めて色を見た人の反応」系の動画を取り上げていたそうです。 このメガネの件についての自分の考えは以前記事にした通りですので、よろしければそちらをご覧ください。 その番組の内容次第によっては抗議を送ろうとしたのですが、機を逃してしまい内容を確認できていません。 それはそうと、 あの手の動画に対して、私はずっと違和感を持っていました。 詐欺の疑いということに対してではなく、 「なんか感動す

          色覚異常のひとは本当に「ただしい色」が見たいのか?

          転職エージェントはポートフォリオクラッシャー

          前回ご紹介したとおり、ポートフォリオは作り方、使い方によっては絶大な効果を発揮します。 しかし、予期せぬところでその効果が奪われてしまうことがあります。 それは、転職エージェントによる改悪です。 この改悪によって応募者が費やしてきたすべての時間が水泡に帰します。 以下に紹介するのは、自分が転職するときに実際に起きたことや、逆に自分が採用書類を見る仕事をしていたときに起きた出来事です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1. 勝手にファイル分割+過剰

          転職エージェントはポートフォリオクラッシャー

          デザイナーの転職:ポートフォリオで進路をこじ開ける

          デザイナーの転職にとって最も重要な準備物がポートフォリオ、作品集です。ポートフォリオの審査があるというのが、デザイナーの採用試験の最大の特徴です。  ポートフォリオは過去の実績や個人で制作したものを掲載します。  こう書くと「職務経歴書をビジュアル的にしたものか」と思われるかもしれません。 しかし評価されるポイントは職務経歴書とは大きく異なります。 ポートフォリオの出来ひとつで、デザイナーの採用の確率は大きく変わります。 例えば、ポートフォリオが良ければ、そもそも採用募

          デザイナーの転職:ポートフォリオで進路をこじ開ける

          デザイナーと転職エージェントの上手な付き合いかた

          じつは最近、転職をしました。転職先でももちろんプロダクトデザイナーです。 自分の転職の経験談を少しずつnoteに書いていきたいと思います。 このシリーズは、これから転職しようと考えているデザイナーと、それを支える転職エージェントのみなさまに読んでほしい!という思いから執筆することにしました。 デザイナーの転職は独特のノウハウが必要転職にはいくつかの方法があります。 知人からの紹介、企業のWEBサイトからの応募、転職サイトで検索や転職エージェントを活用するなどが一般的では

          デザイナーと転職エージェントの上手な付き合いかた

          ルナルナが男性にも共有できるようになった!

          予知能力を発揮した。 以前、ルナルナの「今日の指数」という自分の精神状態を教えてくれる機能が素晴らしい!という記事を書きました。 その中で「この機能、パートナーにもシェアできるようになればいいのにな」ということを僕は素直な気持ちで書き、そしてルナルナさんの公式ツイッターにこんなことをつぶやきました。 それからしばらく経って、驚きの返信がきました。 すでにパートナー共有機能が開発されていたそうです!素晴らしい! さて、この連絡を受けて、さっそく妻のルナルナでパ

          ルナルナが男性にも共有できるようになった!

          色覚異常を告白したときのリアクション6パターン

          「これ何色に見えてるの!?」 色覚異常者は基本的に、色覚異常であることをまわりに打ち明けません。そのため色覚健常者の人は、男性の10〜20人に1人という、結構な大人数が色覚異常であることを実感しづらいと思います。 何故オープンにしないかというと、非常に面倒くさい思いをするからです。そして、たまに嫌な思いもします。 色覚異常者が色覚異常であることを健常者に伝えたときにどんなリアクションが返ってきて、思いでいるかをお伝えしたいと思います。 パターン1:「じゃあこれ、何色に

          色覚異常を告白したときのリアクション6パターン

          防衛大学校の受験を断念した色覚異常者の残したメモ

          先日、あのツイートに添えられた画像が話題になっていました。 ※そのツイート自体は非公開になりましたが、こちらにまとめがありました。 https://snjpn.net/archives/65453 それは、中古の防衛大学校の赤本に書き残されていた、かつての受験生のメモです。 要約すると、「潜水艦の艦長になるという夢をもって防衛大学を受験していたが、色覚異常者は受験資格がないため断念せざるを得なかった。この赤本を手に取った人はどうか合格して私の代わりに日本を守ってほしい」

          防衛大学校の受験を断念した色覚異常者の残したメモ

          痴漢できない電車をデザインする

          バスに乗っているとき、何人かの乗客からすっごい見られていることに気づきました。なんならちょっと前かがみになって、今にも襲ってきそうなスーツの男性もいました。 自分は何が起きているのかわからず、ただ怖ぇ!怖ぇ!!と思っていました。 ふと目線を下ろすと、自分の手が横に立っていた若い女性の臀部(尻)に接触しそうになっているじゃないですか。 それを見たとき、一瞬で周りからどう思われているか察し、降りるまでずっと両手でつり革を掴んでいました。 自分が冤罪で取り押さえられてい

          痴漢できない電車をデザインする

          そのデザインのグラフ、伝わっていない人達がいます

          数値や情報を直感的に伝える方法として、インフォグラフィックがあります。インフォグラフィックとは、 情報、データ、知識を視覚的に表現したものである。 インフォグラフィックは情報を素早く簡単に表現したい場面で用いられ、標識、地図、報道、技術文書、教育などの形で使われている。 多くの社会人が目にするであろう、グラフは最も一般的なインフォグラフィックの一つです。 例えば、「今月の売上は1192万円で、先月は794万円、先々月は415万円で...」と説明されるよりも、下図のように

          ¥200

          そのデザインのグラフ、伝わっていない人達がいます

          ¥200

          ルナルナは男性こそ見るべき

          先日、ドラマ「高嶺の華」を見ていたら、このようなセリフが出てきました。 女は自分の行動をいちいち説明できない。 口から出る言葉は天邪鬼、 言いながら傷ついて言われては悲しんで でも一人になるとやっぱり泣いてしまうの。 ちょっとめんどくせぇ、と思ってしまいがちなセリフですが、女性は身体的にも自分の行動を説明できない精神状態になることはよくあることなんだろうなぁ、思います。 男性の中には自分の精神状態をコントロールできないこと自体に共感ができない人がいますが、鬱っぽくなって

          ルナルナは男性こそ見るべき