なぜ、作業療法士が介護×美容?
こんにちは!愛知県名古屋市で、美容を通じて"生きがい”支援をしています ありこ といいます。
わたしは作業療法士の資格を持ちながら、高齢者や障がいのある方に美容施術を提供する、介護美容の活動をしています。
では、なぜ介護×美容の活動を志すようになったのか。
今回は自分の想いを書き残していきます。
なぜ、介護美容を志すようになった?
わたしは作業療法士として、回復期病院、訪問看護、有料老人ホームで約10年働いてきました。
その中での患者様、利用者様との出会いが、介護美容を志すきっかけを作ってくれました。
心に残っている3つの出会いを紹介していきます。
①回復期病院時代に出会った右片麻痺の女性
50代の女性。脳卒中で麻痺した右手は、生活の補助としても使うことが難しい状態の方でした。
まだ年齢も若く、退院して社会復帰するためには"お化粧”をすることが必要な方でした。
その方は、リハビリを通じて久しぶりに化粧をしたときに、涙を流されていたのです。
その涙は、嬉し涙ではなく、悔し涙でした。
利き手ではない慣れない手で、アイラインを引く、マスカラを塗ることはとても大変なことは容易に想像がつくと思います。
しかし、化粧水や乳液を塗る、洗顔をする、そんな日常的なことも片手では大変なのです。
容器を固定して蓋を開ける。中身を手に取る。顔につける。
ほとんどの工程に、わたしたちは当たり前のように両手を使っています。
その方は、片手でできないことが多くあるもどかしさに、涙を流されていました。
もっと楽に化粧ができる方法はないだろうか。片手でもやりやすい方法を伝えたり、道具を作ったりすることはできないだろうか。
化粧という行為は、女性が社会復帰するために、もっともっと練習が必要だし、考えていかなきゃいけない課題ではないのだろうか?
この経験が、わたしがリハビリ職としての視点から"美容"について、改めて興味を持ち、考え直すきっかけとなりました。
②訪問看護で出会った片麻痺の女性
車いすを使用されている、左片麻痺の方の話。
若い年齢にも関わらず、高次脳機能障害があり、身の回りのことほとんどに家族のお手伝いが必要で、1人で外出することは難しい状態に。
いつも自分の体や病気のこと、今後の生活を不安に感じ、リハビリを頑張るも、よく涙を流される方でした。
その方が発したこと…
「もっとおしゃれがしたい、ネイルもしにいきたい、でも1人ではいけない…家族にもこれ以上迷惑をかけられない…」
自宅にいてもエステやネイルが受けられる。
生活に楽しみを持ち、心や体の不安を一時的にも忘れることができる。
そして、またリハビリを頑張ろうと思える。
そんな支援がしたい!と思うようになりました。
③出会った高齢者の方々
訪問看護や施設で働いて、たくさんの高齢者の方と関わる機会がありました。
リハビリには目標が必須。それでも…
「もう歳だからやりたいことはないわ」
「TVのお守りをしてるだけだわ」
「1人ぼっちになってしまったから寂しいね」
喪失感、孤独感に苦しめられている方にたくさん出会ってきました。
一方で、同年代の方でも
「毎日お肌のケアをしっかりしているよ。化粧は女性の身だしなみだからね」
「毎週、美容院で髪を洗ってもらうから、頑張って歩かないといけない
「今日TVでこんな健康体操をやってたけどどう思う?」
そんなことをお話される方もみえました。
共通することは、お化粧やスキンケアを継続していること。
身だしなみを整えること=周りの人や社会との繋がりを維持すること
超高齢社会に元気な高齢者を増やしたい。
人生最期の時に、「いい人生だった!」と思える支援がしたい。
そう思うようになりました。
いろんな出会いが今の自分を作っている
作業療法士として、本当にいろんな方と関わらせていただきました。
その中で、たくさんの人生に出会い、たくさんの学びを得ました。
今まで出会った方たちへ、恩返しをしたい。
そんな想いで介護美容を行っています。
以上、長くなりました!読んでいただいた方がいれば、ありがとうございます!
また次回~~~~