
【潜入!】大人の秘密のテーマパーク・熱海秘宝館④
秘宝館の展示物が、女性の胸で起動する仕掛けになっていることを先にかいた。
私は押すたびに、不二子の乳首を押しているのだという気分になって、ボタンを押す手のとどまるところを知らなかった。
中でも最も「熱海にきてよかった、これは熱海でしか見られないぞ」と思ったのが、尾崎紅葉の小説『金色夜叉』をテーマにした展示物だった。
このご当地展示物は、熱海の浜辺に満月のかかる夜、薄着のお宮と学生服の貫一が向かい合っているものである。
例によって、展示物の起動ボタンを押せば、貫一が私の方を向いてくる。
そして、お宮が貫一を袖にした、真の意味を知らされることになるのだ。
▲お宮と貫一の展示。大体こんな感じ。すべての展示物が秘宝のため、写真撮影が許されていない。筆者書く。
(真の意味と書いたが、これはあくまで熱海秘宝館が考える、貫一が振られた理由で、真実はこれと異なるのかもしれない。)
少なくとも、お宮は資産家の息子との結婚を理由に貫一と別れるという。
それを聞かされた貫一は激怒のあまり、お宮を蹴飛ばしてしまう。
今なら立派なドメスティック・バイオレンスだ。
(しかし、それでも私も、蹴飛ばしてギッタギタのメッタメタのケチョンケチョンにしてやったと思う)
この海辺で、あの名台詞が生まれたのだ。
一生を通して僕は今月今夜を忘れん、忘れるものか、死んでも僕は忘れんよ! …来年の今月今夜になつたならば、僕の涙で必ず月は曇らして見せるから、
私も熱海秘宝館を忘れることは、一生ないと思う。