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仮)金融商品基礎講座 #2

(適宜見直しをして修正を加えていきます)

4.複利計算(2)

 前項の複利計算は、年1回の利払いが前提となっていましたが、国内の債券のように利払いが年2回以上のケースについても触れておきましょう。金融商品の理解を深めていく過程において必要不可欠な話ではないのですが、実務的に知っておいて損はないと思います。

  • 年2回利払いのケース

 元本Pを年率r%の金利で1年間運用するとします。利払いが年2回の場合は1計算期間が6ヵ月(=1年/2回)であり、各計算期間末に半年分の利子(P * r/2)が支払われるため、半年後の元本は

 半年後の元本: P + P * r/2 = P(1+r/2)

 つまり、年2回利払いの場合、1計算期間で元本が(1+r/2)倍に成長することが分かります。そうすると、1年後の投資成果は

 P(1+r/2)*(1+r/2)= P(1+r/2)^2

で表すことができます。受取利子の総額は年1回利払いと同じですが、年2回利払いの場合は1回目に受け取った利子を残りの半年間再投資できることから、1年後の投資成果は等しくなりません。実際に数字で確認してみましょう。

 元本=100円、金利=年率5%のとき

年1回: 100円 *(1+5%) = 105円
年2回: 100円 *(1+5%/2)^2 = 105.0625円

となり、利払いが年2回の方が若干有利であることが分かります。

  • 年t回利払いのケース

 利払い回数が年t回というように一般化すると、各計算期末の受取利子は年額のt分の1(P * r/t)と表すことができます。その場合、各計算期間ごとに元本が(1+r/t)倍となるため、t計算期間(=1年)後の投資成果は

 P(1+r/t)^t ・・・③

と表されます。なお、運用期間が1年を超えるn年後の投資成果は

 P(1+r/t)^(t*n) 

と計算期間tにn年を乗じた値(つまり、運用期間を計算期間に換算しただけ)を③式の指数に代入することで計算することができます。

例)年4回利払い、10年後の投資成果 = P(1+r/4)^(4*10)

 下のグラフは利払い回数別の複利効果を比較したもので、元データとなっているExcelも添付してあります。利払い回数の違いや、金利水準の違いで複利効果がどのように変化するかを確認してみましょう。

利払い回数別の複利効果の比較


  • 連続複利

 利払い回数が増えれば増えるほど、複利の効果は高まることは分かりました。では、利払いの回数を毎月、毎日、毎時間、毎分、毎秒・・・と極限まで増やしていくとどうなるのか?現実的にはありえないのですが、複利の回数を極限まで増やした状態を「連続複利」といいます。

 この現実的にはありえない概念がなぜ登場するのかというと、計算上の取り扱いが容易というメリットがあるためです。例えば、金利が年率r%のとき、n年後の複利効果をExcelの計算式で表すと

 年2回複利: (1+r/2)^2n
 連続複利:  EXP(r*n)

というように、EXP関数を使用するのですが、累乗を使った式と比較すると非常にシンプルな式で複利計算の結果が得られるため、デリバティブの価格計算の際など実務でも利用される方法でもあることをご紹介しておきます。


3#につづく

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