最近の記事

究極のメニュー、あるいは不老不死の妙薬

究極の物質、食べ物、飲み物、薬人類は太古の時代から世界の一番純度の高い究極の物質や神々の食べ物飲み物、永遠の命を与えてくれる薬などを夢想し、時代が下っては、錬金術に頼りそれらを作り出そうと試みてきました。そうした夢の物質を表す語はふんだんにあり、西欧近代語に明らかな痕跡を残しています。 近代語の中でも比喩的に使われることをよく目にする、けれどよくその成り立ちがあまり知られていない、そんな語を集めてみようと思いました。 (後記)ところが、語源で遊ぶくらいのつもりでいたら、いろ

    • イタリア語の慣用句piantare in assoについて

      piantare ~ in assoイタリア語の慣用句で次のようなものがあります。”piantare ~ in asso”「〜を置き去りにする」。この慣用句についてその由来を考察してみたいと思います。   まずイタリア語をご存知でない方のために字句の解釈を。 piantareは名詞pianta「植物(英plant)」の動詞形であり、したがって「(植物などを地面に)植える」が原義ですが、そこから転じて「(何かを)地面に突き刺す、放置する」の意味があります。問題はassoの方です

      • イタリア語の動詞の語法について

        はじめに  非常に学ばれる言語である英語はそれを第2言語として学ぶ人のために語法研究が極めて進んでいて、中級程度の学習者向けにさえ多くの語法学習書が出版されています。  それに対しそれ以外の言語の、学習者向け語法はあまり顧みられることがなく、学習者はひとつひとつ辞書で確認するくらいしかないのですが、辞書でさえあまり語法欄が充実していないのが現状かと思います。  私自身、見様見真似でイタリア語を学び、それなりに流暢に話せるつもりではいますが、かなり動詞の語法に関してはあやふや

        • ダンテ神曲の詩法分析(1)地獄篇第1歌1~6

          はじめに 先日書いたnoteの原稿「イタリア詩の技法」につづいて実際に詩の分析をしてみようと思います。まずはやっぱりダンテの神曲がよいかなと思うので、その地獄篇の第1歌、有名すぎるくらい有名な最初の数行を読んでみようと負います。 ダンテがどういう人で、神曲がどういう作品なのかとかは書くときりがないし、ここではすべて割愛します。 知らなくてもこの拙稿は読めると思いますが、ほんとうに全然ご存じないならちょっとググってみておいてください。 また予めnoteの「イタリア詩の技法」はお

          イタリア詩の技法

          はじめに noteというやつに今まで自分の備忘録代わりと思ってラテン語やギリシャ語に関するいくつかの「ノート」を書いたのですが、ギリシャ語ラテン語というのは今現在自分がまだ初学者のものであり、よく考えれば自分の本来の専門だったものについて書いてもいいのでは、と遅まきながら気づいたのでこんなものを(飲酒しつつ、酒のつまみ代わりに)書くことにしました。 もともとの専門とは言え、研究の道からは早々に撤退した身、しかも三十年以上前に学んだことを思い出しながら書いたので色々間違いがある

          イタリア詩の技法

          古典ギリシャ語のわかりにくいちっちゃい語たち・・・その2

          §4 従属節3 理由を表す副詞節 4-1理由を表す副詞節を作る接続詞 a.     理由・・・ὃτι, διότι, ὡς b.     理由と時の意味をあわせもつ(英語のnow that)・・・ἐπεί, ἐπειδή, ὃτε   Ἀλέξανδρος Κλεῖτον ἐφόνεθσεν, ὃτι Φίλλιπον ἐπῄνεσεν. アレクサンドロスはクレイトスがフィリッポスを褒めたので殺した。   Ὀ πατήρ ἐκόλασε τον υἱον, ὡς κακός

          古典ギリシャ語のわかりにくいちっちゃい語たち・・・その2

          古典ギリシア語のわかりにくいちっちゃい語たち・・・その1

          §1 主節のなかに現れるちっこい語たち 1-1推量・反実仮想を表すἄν 現在時制のottativoで現在の推量 Οἰ πολέμιοι ἄν ἔλθοιεν εἰς τὰς Αθὴνας. 敵はアテネに入っているかもしれない。 歴史時制の直接法で過去の推量・反実仮想(この2つが同じ形で表される) Οἰ πολέμιοι ἄν ἠλθον εἰς τὰς Αθὴνας. 敵はアテネに入ったかもしれない。 敵はアテネに入ることもできたのに。   1-2 疑問文につける小辞たち

          古典ギリシア語のわかりにくいちっちゃい語たち・・・その1

          ラテン詩ヘクサメーターのスキャンニング入門2

          もうすこしスキャンニングの練習をしてみます。 素材はアエネイス第1巻、前回の続きで12~18行目までの7行です。 12行目 1脚目 Ur/bsanのスポンデオ 2脚目 ti/qua/fuのダッティロ(quは合わせて一つの子音字相当) 3脚目 it/Ty/riのダッティロ(1つ目の音節のiはここでは母音扱い。そうしないと計算が合わないので) 4脚目   i/te/nuのダッティロ 5脚目 e/re/coのダッティロ 6脚目 lo/niのスポンデオ cesuraは2脚めの1音

          ラテン詩ヘクサメーターのスキャンニング入門2

          ラテン詩のスキャニング入門

          私自身初心者なのであくまでも自分のためのノートをクラウドにアップロードするくらいの気持ちでまとめてあります。考え違い、書き間違いなど多々あるかもしれませんがご容赦願います。 また基本的にイタリア語での解説書などから学んだ内容で書いたので日本でどういう専門用語で呼ばれているのかよくわからないところはそのままイタリア語での呼び名を使っています。 §1 詩における音節 1-1 音節は次のいずれかによって構成される。 i) 母音 ii)母音+子音 iii)子音+母音 i

          ラテン詩のスキャニング入門