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楽天銀行 (5%Exit)

(追記)
本文結論に記したTOPIX組入となる5/30大引け1,941円でExit、初値1,856円

■業績と内訳

22.3までは緩やかな成長にとどまっていたが、23.3計画は15%増収、27%経常増益と伸びる。
21.3から預金残高の伸び幅が非常に大きくなっていたところ、23.3に預貸率を大きく引き上げたことが要因。
22.12時点では22.3までの2年間に比べると預金残高の伸びはやや鈍化している。
運用先は貸出金と金銭債権。前者は投資用マンションを含む不動産会社経由の提携ローンがメイン。後者はほぼ楽天カードの債権。

22.3までの推移
22.3までは緩やかな拡大
23.3に預貸率を大きく引き上げた
運用先は貸出金と金銭債権がほとんど
(国債は日銀に対する担保)
貸出金は主に提携ローン(マンション投資向けを含む、不動産会社との提携)https://www.rakuten-bank.co.jp/home-loan/terms/teikeiloan/
買入金銭債権は楽天カードからのカードローン債権
22.12までの預金残高推移
22.3までの2年間に比べると預金残高の伸びはやや鈍化している
22.3までの預金残高推移
21.3から預金残高の伸び幅が非常に大きくなっていた

■中長期ビジョン

1年前に中長期ビジョンを発表、現在から見て3期後の業績を以下にすることを目標にしている。
・預金量 20兆円 (22.12から年率22%)
・経常収支 2,000億円 (23.3計画から年率12%)
・経常利益 700億円 (23.3計画から年率16%)

220428.pdf (rakuten-bank.co.jp)
楽天銀行株式会社 中長期ビジョンについて(22.4.28)

中長期の目標とする指標
ビジョン達成に向けた強み

■他行比較

以下、資金調達原価には営業経費を含む。
22.3利回りは1.06、調達原価0.56。23.3の利回りは預貸率によって相応に向上していると考えられる。
住信SBIの22.3は利回り0.65、調達原価0.07。利回りの低い変動の住宅ローンが中心であるなか、預貸率の高さと調達原価の低さによって利鞘は十分に確保できている構図。
地銀では多くの行が長期金利に沿った利回り低水準と最低限必要な営業経費から利鞘が十分に確保できない苦境にある、とされている。
楽天同様にカードローンなど利回りの高い運用先を選好しているイメージが強い新生銀行の23.3中間は、利回り2.50、調達原価0.16。

以上から、楽天銀行の運用イメージは概して
・住信に比べると利回りが高水準だが、銀行全体の中では貸出先のリスクは中庸的
・国内のカードローンや投資用マンションローンが中心であるため、リスクはほぼ与信管理にのみ存在する構造
・調達原価は目立って高い可能性
・それでも利鞘は預貸率が低い期でも十分に確保できており、預金残高が伸びる場合は成長していくであろう
といったものになる。
また、調達原価の高さは恐らくポイントの付与が大きく、そのことは預金の動機に大きく寄与していると考えられるため、中計の達成には「預金残高の伸び」と並行して「高い利回りの投資先の確保」も必要となり、その中心が投資用マンションローンの紹介受けであるという構造は一見すると簡単なものではないとは感じる。

資金運用利回り/調達原価
資金調達原価が高い=営業経費が高い
住信SBIの資金運用/調達利回り、預貸率
資金調達原価が低い=営業経費が低い

特集:地銀ランキング 貸出金利回り 半数で「1%割れ」 | 週刊エコノミスト Online (mainichi.jp)

新生銀行の貸出金利回りは21年度2.41%

■バリュエーション、リスク、プライム上場ゆえの出口戦略

地銀やノンバンクなどのPERは9-10倍といった水準が多い。
それらの過去4年業績推移は馴らすと横ばいに近い水準で低成長。

楽天銀行の24.3は未開示で、経常利益が中計に沿って23.3から16%伸びると仮定すると433億、EPS178。

PERは中計の数字を信頼すれば相応のプレミアムが妥当とはなるが、鈍化する前提で10%前後の成長で評価して12-14倍と認識する。

一方、親会社である楽天グループの強い資金調達需要から追加の売出が一定程度予想されているはずであり、この点はディスカウント要因となる。
また、投資用マンションの盛衰に係る見方も影響してくるだろう。
こうしたネガティブファクターに対する市場の見方は不透明であるため、上限PER13倍+リミットはTOPIX組み入れになる5/30、として考えたい。


小型株、いまはとりわけグロース株の評価を業績面から行い、見た目のPERではわからない「成長性に鑑みて割安な銘柄」の発掘を目指しています。IPOセカンダリーなど。