IPOのP/L一覧 23.03
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SHINKO 7120
・10%弱の増収続く(18.3-23.3のCAGRは7%)
・販管費率が良化、原価率が悪化、結果営利率は概ね横ばい
・今回はMBOの出資者である役員達のうち、社長以外の出口となる
・配当性向30%計画
アイビス 9343
・今期は極端に増収率が低下する(巣ごもり需要の喪失による?)
・前期は四半期毎の売上が横ばい。21.12に逓増的に伸び横ばいの形か
・公開規模から初値は高そう
ハルメクHD 7119
・前期は編集長が「プロフェッショナル仕事の流儀」等で特集され、また雑誌&通販ゆえ巣ごもり需要も追い風になった
・このため前期は強烈な伸び、しかし今期もハードルの高さをこなし13%増収(4Qは予想)
・定期購読のみ、50代以上の女性が顧客であり市場はシュリンクしない
・こうした要素に鑑みれば公開価格PER(来期10%成長前提)10-11倍程度は割安との印象を持つが、IFRS採用であり暖簾償却費を考慮した場合割安感は消失する。また負債を考慮したEV/EBITDA倍率も同様
🔍 焦点 🔍
自己暖簾に起因する財務リスクの評価
→大きな自己暖簾を抱えてのIPO例:近年ではスシローが代表的で、同社は上場して最初は下げており、半年ほど経過してから大幅に評価を高めた。
「暖簾+無形資産」÷株主資本、が1を下回ることが視野に入っているようなケースでは余り気にされていない印象があるが、本件においてそれは1.7であり1を下回るには時間を要する。
カバー 5253
・増収額が低下
・採用増で販管費率上昇、粗利率は変わらないため利益率低下
・1.5倍解除のVC残が大量にある
アクシスコンサルティング 9344
・コンサル向けの転職エージェントでPwC向けが3割
・原価率は変動しにくい
・増収に伴い販管費率は少しづつ低下している
・21年から急に業績が伸びている、今期は15%増収計画
・顧客に偏りがあるため再現性が測りにくい
モンスターラボHD 5255
・前期に損益率の大幅な改善、今期計画は更にと
・IFRS採用、PERはフェアな印象だがM&Aが多く財務面をより考慮すべき
Arent 5254
・千代建とのJV、高砂熱学向けの売上が半分
・今期売上の伸びは凄まじいが2Q時点で高砂熱学の伸びが大きい
・2Q時点でプロジェクト数は伸びていない
・PERが高いため来期も伸びる根拠が欲しい
住信SBIネット銀行 7163
・22年3月の申請時は22.3予想経常益222億
・23.3は大幅増益
・当時は赤字事業であったBaaS事業は黒字化
・住宅ローンは貸出・役務とも堅調
・公開価格は1,920円から1,260円に大きく引き下げ、公開株数も絞った
・既存株主はSMBCとSBIが半々、LU180日
🔍 焦点 🔍
①住宅ローン収益と金融政策の関係は?
→長期金利上昇に伴い固定金利は引き上がっており、フラット35取扱のアルヒ、日本モーゲージなどは苦戦中。今後マイナス金利撤廃など『短期金利分野での政策変更』があれば、変動金利のほうにも影響が出る可能性はある
②スタンダード市場での大規模上場(600億)となるが?
→非プライムで300億を超える上場:スカイマーク、エクサウィザーズ、ビジョナル、Appier、フリー、Sansan、MTG、メルカリ
今回は計画で3/4が国内だが、SansanとMTGなどは同様に海外<国内
→TOPIX組み入れが無い点は目先の需給不安に繋がるが、絶対値として致命的な規模ではなく魅力があればこなせる
AnyMind Group 5027
・21.12はコロナ追い風、22.12見込は増収額が低下
・23.12計画は増収額が前期5.5億から8億に伸張するとしている
・穿った見方をすれば前回は目論見書に公募投信の関心表明を盛り込んでいたものが今回は無く、(代わりに?)今期の強気な計画が加わっている
・売出メインでオファリングレシオ5.4と絞ったが、公開規模30億
・古くから出資しているVCは1.5倍(1,455円)で解除
・原価はほぼ広告枠仕入費、販管費の半分は人件費であり、SaaSとPSRで並べて比較するのであれば1/4程度のPSRで妥当か
・今期PSR*4は公開価格で7倍
ココルポート 9346
・出店による高い増収が続いており、19.6-23.6予想の4年CAGRは30%超
・増収に伴い販管費率低下して利益率向上傾向
・首都圏中心に障碍者就労支援、また生活訓練
・経営陣メイン3名はいずれもリクルート出身で入社は17-18年
🔍 焦点 🔍
妥当なPERは?また、事業環境は?
→エスプールの株価は大幅に下げているが、障碍者雇用義務を潜脱的に満たすために農園作業を提供している業者が問題視されていることが原因
→厚労省は障碍者雇用率を3年後に現在の2.3%から2.7%に引き上げる計画
→LITALICOは常に高いPERで、他事業の堅調さもあるが障碍者就労支援は19.3から高い伸びが続いている
→小規模出店に基づく増収ピッチは信頼性が高く、CAGR30%に鑑みてPERは25-34倍が妥当か
→22.3で88.2%である就労定着率がもう少し引き上がって9割を超えると4月の報酬単価改定で単価向上となる
小型株、いまはとりわけグロース株の評価を業績面から行い、見た目のPERではわからない「成長性に鑑みて割安な銘柄」の発掘を目指しています。IPOセカンダリーなど。