「未経験でコピーライターになれました」という文字を見るたび、爪を噛んでいた僕は
はじめに
こんにちは、盗塁死です。
僕は新卒でASP(アフィリエイト広告)の営業として就職し、ひたすらアフィリエイトを売りさばいているしがない広告マンです。
…いや、売りさばいていた、が正しい表現かもしれません。
この度、僕は3年の月日を経て、就活での目標にしていた「コピーライターになる」という夢を叶えることができました(どこの企業かはそのうちお伝えできると思います)。
(※コピーライターを就職浪人してまで目指していた時の話はこちら。)
きっと僕のフォロワーの中には、コピーライターを目指して日々奮闘している方も多いと思いますので、今回何故コピーライターに転職することができたのかを振り返ることで、皆さんのお力になれればと思います。
それでは、ご覧ください。
転職前夜
社会人初のお盆休みも残り二日になった頃、僕はリクナビ転職のアプリをぼーっと見ていた。
それはもう、ぼーーーーっと。
3日後に完成させなくちゃいけない会社の資料はまだ何にも手を付けていないし、何のやる気も出ないのに。
いんやーーーー、仕事行きたくねえなあ。お盆休み終わらないでくれ。というか、いっそ殺してくれ。。
そもそも、夏季休暇前の最後の仕事、クライアントに送った無茶苦茶なメールに対するガチ謝罪だし、、、。
そんな現実逃避もありながら、「未経験 コピーライター」でリクナビを検索しては、またぼーーっとため息をつくのであった。
転職サイトに限らず、それを叶えた現役のコピーライターの方の記事や書籍を読んだりと、尽くせる手は尽くそうと本気で身をよじっていた。
苦しかった。
そもそも未経験からコピーライターを雇おうなんていう求人は極めて少ないし、たまにそんな求人が出たときには僕と同じようなワナビーの応募が殺到するはずだし。
そんなことをしているうちに、ぼんやりとアフィリエイトを売り続けて定年になっちまうんじゃないか??
そんなダークサイドに堕ちかけては、極少の求人をモノにした先人たちの記事を見て爪を噛んでいたのだった。
(この人たち、運が良かっただけじゃないか・・・!)と。
応募
ただ、実際に転職活動を始めてみて意外だったことが一つある。
未経験で応募できるコピーライターの求人、少ないとはいえ、0ではないのだ。
その多くは求人広告のコピーライターで、たまに不動産やメディカルコピーライター、もっとたまにブランディングやコンセプト設計から携われる求人まで、マイナビやリクナビだけでも常時10求人はあったように思う。
僕はコンセプト設計から携われるコピーライターになりたかったので、これはちょうどいいや、と思って5社ほどの求人に応募してみたのが今年の9月ごろ。
そこからコピーライターとして2社内定をもらえたわけだが、最初に求人広告会社に内定をもらえたのは求人に応募してからわずか2か月後の11月の事。
受かるのに大切だと思った3つの事
転職に際して、色々な方とお話しした。
マスメディアンやプロの転職などの広告業界専門の転職エージェント、そして採用面接で直接お話ししたコピーライターの方々。
そういった方とお話しすることは、「未経験の自分のどこが評価されて、どこが評価されていないのか?」を客観視することにかなり役に立った。
n=1の事例ではあるけど、きっとどこの会社でも普遍的に役に立つものではあると思うので、もしコピーライターを目指している方がいればぜひ読んでほしい。
①「コピー=課題解決」であるとわきまえていること
自分が他の求職者と差別化できていた部分はここにあったと思う。
通常、コピーライターを目指すとなると宣伝会議賞やピンクリボン、その他公募に応募し続けて、結果が出たものをポートフォリオに掲載する、という人が一番多いのだと思う。
僕はポートフォリオの多くのページを「公募」以外のコンテンツに割くことを重視していた。
学生時代にやっていた「あなたのキャッチコピー、50本1円で書きます」企画で書いたコピーや、立ち上げた「留年サークル」のコピーなど、自分がいろいろな場所で書いたコピーをメインで載せていた。
そして、「この時の『課題』はこれで、それを解決するためにこういった訴求軸と表現を心がけて…」と、「課題」とその「解決策」を記載するように心がけていた。
なぜなのか。
コピーとは、「誰に何をとどけるか?」を、端的に、1行にまとめた言葉であると考えている。
それを考えるためには、「20代の会員が少なくて」とか「営業に使う資料の内容が薄くて」とか、相手の課題を聞き出すことが必要になる。これが一番実務に近い仕事内容のはずだ(まだ実務をしたことがないので説得力には欠けるけど)。
だが、公募でのコピーだけをポートフォリオに載せることには、「コピーを書く相手の『課題』を直接掘り起こせない」というデメリットが存在する。
公募、特に宣伝会議賞だと、クライアントの規模は必然的に大きくなるけど、「ヒアリング」ができなくなる。
だから、「表現」の意図は説明できるけど、「なぜ」そのコピーを書いたか?という部分の説明は必然的に難しくなる。
だからこそ、そういった「実務」に少しでも近いコピーをポートフォリオに載せることで、採用面接でも「色々考えられながらコピーを書かれていたんですね」と評価される部分が多かったように思う。
コピーを課題解決と捉えることでプラスとなったのは、何もポートフォリオに限った事ではない。
コピーライターの応募となると、通常の面接の他に「クリエイティブ試験」という選考フローがある場合がある。
僕が今回入社する企業にも例にもれず「○○に対してキャッチコピーを書き、それをプレゼンしてください」という試験はあって、必死こいて3週間コピーを書き続けた。
「ここ4年間で飲み会を断った理由は『ごめん!今他で飲んでる』だけ」を豪語していた最軽量のフットワークを誇る自分も、さすがに今回ばかりはと飲み会を断って机に向かっていた。
満を持して3週間後プレゼンにのぞんだわけだが、そこで一番評価されたのは「課題の定義からできている」事だった。
実際のコピーの提案に入る前に、「こういった課題が○○にはあるので、それを解決するためにこういった表現にしました」と、ポートフォリオでアピールした通りの流れでプレゼンを行ったところ、「これまでの応募者の方は全員コピーを書いて提案してきただけだったけど、課題の定義からできている人は盗塁死君だけでした」という評価を頂けた。
きっとこれは「コピーは課題解決の手段である」という意識を持てるきっかけとなった、学生時代の経験の賜物であったように思う。
だから、もしコピーライターを目指している方がいるなら、友人知人に頼み込んでコピーを書かせてもらう、というのもいい経験なんじゃないかな、と思う(コピーの公募だって年がら年中あるわけじゃないし)。
じゃあ、受かるのに大切だと思った事2つ目、いきますね。
②熱量
本当にこれに尽きると思います。コピーライター、いうて3年目指してたんだもの。医学部志望の浪人生か俺は。
さっきの章で「ポートフォリオに個人の作品を掲載するのが吉」とは言ったものの、僕も別に作品が勝手に湧いて出たわけではない。
いかにポートフォリオの完成度を高めるか、を考えたときに、無限にコピーを書き続けなくてはならなかった。
とは言え、そんなに都合よく広報担当や起業家、個人事業主や陶芸職人が周りにいる訳ではない。
だから、「コピー書いてます!!!」とでかい声で主張し続けなければ、頼んでくれるわけがないのだ。
もう、もはやここ一年は節操もなくなり、直近で出会った人たちには「コピーライター目指してるんで、何か困ったら相談乗りますよ!!!」と居酒屋での別れ際にしれっっと伝えていた。
しつこさで言うと、もはやマルチやネットビジネスの領域である。(ちなみに、僕を勧誘しに来たア○ウェイ会員にも逆に「コピーを書く機会があれば教えてくれ」と押し売りをしていた)
最終的に、自分が自分に対して書いた「3年で、1万本コピーを書いた男」というコピーをもとに自分自身をプレゼンし、選考を突破したのであった。
ただでさえ未経験でスキルもくそもない人間が提供できるのは、熱意だけなのである。
「②熱意」の項目は、意図せずともラグビー部の部室くらい暑苦しくなってしまいました。さて、最後に3つ目行きましょう。
③運
実力や想いではどうしようもない部分、それが運。
もう、もったいぶって3つ目に挙げたのが「運」って。
読むのに値しないクソ記事じゃないですか??すみません、もう読んでもらわなくても大丈夫です。
何はともあれ、この「運」要素こそが、転職では難しい所で、僕が「未経験からコピーライターになれました」という人を見ては悔しさのあまりギリギリと歯ぎしりをしていた所でもあった。
いつもいつでも自分の行きたい広告会社への求人があるわけではないし、あったとて百発百中で受かるわけではない。
だから、できるだけ運要素を減らすためにも求人のアンテナを張っておく必要はあるし、その日までにコピーを書き続けて、ポートフォリオをアップデートしておく必要もある。
要は、自分ではどうにもできない要素は確実にあるけれど、試行回数を増やすことで、ゆくゆくは成功できるのではないか、ということです。
そして、この「ゆくゆくは」の部分が本当に本当にうざすぎて、僕は目を真っ赤にして爪を噛んでいました。本当に勘弁してほしかったですね、運。
おわりに、決意表明のようなもの
僕が読んだ池井戸作品「七つの会議」に、うろ覚えだがこんなセリフがあった。
「夢は叶ったら現実になってしまう」と。
今僕は、「コピーライターになりたい」という3年越しの夢を叶えた。
そこで立ちはだかるのは、現実という名の怪物なのである。
これまでは、50本1円という市場破壊にも近い価格で請け負っていたけど、これからは仕事にもなったし責任も出てくる。そんなことになったら、うまくコピーが書けるんだろうか。
様々な不安が湧いて出てくるが、今のところは、書いて、書いて、書くしかないのだ。
だから今は、今だけはコピーライターになれた、夢を叶えられたという事で、ここは一つ存分にイキらせてほしい。
プロダクションの社長にぼろくそ言われて留年を決めた20卒の自分、見てるか。GDで東大院生に圧倒的な頭脳の違いを見せつけられて電〇に落ちた21卒の自分、見てるか。
お前らよりほんのちょっとだけオッサンになったけど、コピーライターになったぞ。
だからさ、ちょっと希望と違う所に就職したからって、諦めんなよ。何とかなるんだから。
あと、お前のコピー、本当に下手くそだけど、1円でやってるんだから、そんなビビるなよ。失敗しても誰も怒らねえよ。1円しか払ってないんだから。
俺は頑張るから、お前も頑張れ。
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最後に、就活時代から僕の相談に乗ってくれた方々、コピーライター養成講座でバチバチしながら一緒にコピーを書き続けた方々、コピーを依頼してくれた方々、本当に感謝してもしきれません。
これからもよろしくお願いします。
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