[FF14]自キャラのうさおのお話のお話
どうもカトレアです。
知っている人はごく少数でしょうが、以前は私は自キャラ(当時のうさこ)のキャラ設定とそれにまつわるストーリーをロードストーン上で書いていました。
FF14自体を開始したのは確か紅蓮のツクヨミ実装当たり。
その頃はヴィエラの存在は影も形もなかったわけですが、時が経ち漆黒でヴィエラ実装されてから、私といえばヴィエラというような感じにキャラも固定されて行きました。
昔から小説というかお話を作ることが好きでふと思いついた文章を書いたりしていた私は、MMOやってるとどうもその癖が出てくるようで、自分が使用しているキャラクターの設定をほぼ無意識のうちに考え、ミニロールプレイみたいな遊びをしていました。
そして、折角だからと当時の私は急に思い立ち、ロードストーンに自キャラ(うさこ)のお話をつらつらと書くことに至ったというわけです。
そのお話は、突貫ではありましたが無事に完結しております。
今でもロードストーンで公開しっぱなしなので読もうと思えばいつでも読めます。
そんなこんなでお話を作ってた私ですが、今現在はうさおをメインに使用しています。
ヴィエラ実装時から男性来て欲しいと言いつづけ、暁月で念願の実装。ベンチの時点でキャラクリに時間をかけて誕生したうさおで、暁月のストーリーを完走しました。
それまでのうさこのお話も完結していましたし、見た目も性別も変わるから、同じ名前は嫌だなと思いキャラクターネームも新たに、設定もいろいろ作り、気が向いたら今度はうさおのお話も書こうと思っていました。
そらから早数年。
一向に書く気力も起きないし、リアル事情でなんか時間食われるしで、今後も書く気が起きそうにないなと判断。
とはいえ、それなりの設定を作ったのに何にもしないのもなぁ。ということで、適当に文章に残して供養しておこうと思い立ち今こうして、相変わらず雑な文章を書き始めました。
これ以降は以前考えてたあらすじに、黄金の要素も交えたものを書いていきます。
そんなに面白いものじゃないとは思いますが、そういやこいつ昔なんか書いてたし見てやるか、と思って読んでもらえれば幸いです。
あと書き殴ってるんで誤字脱字はゆるしてください。
ではどうぞ。
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辺境の地。密林の奥地に隠れて暮らすヴィエラ族の集落。
その場所では世間に知られることなく悍ましい思想が脈々と受け継がれていた。
かつて世界が分かたれた時、今では名前も残っていない十四人委員会を支持する古代人の中の一人。転身を扱える程度の才能を持ったその男は、偶然か必然か、過去の記憶を完全に持ち合わせたままに転生した。
弱く脆く、まるで虫けらのような己の肉体。耐え難い嫌悪感。
ヴェーネスに、ハイデリンに敗れた我らの指導者と闇の神。
吐き気が催す。涙が慟哭が止まらない。
男は、三日三晩絶望に沈んでいた。
涙とともに悲しみは流れ落ちた、男の中には決意だけが残った。
私が彼らの遺志を継ぐ。
私がもう一度ゾディアークを召喚し、かつての友を世界を取り戻す。
だが、考えれば考えるほどどつぼに嵌って行く。
何もが足りない。
古代人が持つ膨大なエーテルを集約してゾディアークは生まれた。
今の肉体の矮小な生命では魂ごと捧げても、本来のゾディアークと同じ力を得るには何十倍の人数が必要だ。
だが、今を生きる人類は何も覚えていない。
そんなモノが快く命をささげる事を受け入れるわけがない。
男は思考を巡らせた。そして15年がたった。
そしてたどり着いた。ゾディアークに至るための方法を。
現代、カニバヴィレッジ。
少年が師に稽古をつけてもらっている。
少年の名は「カトレア・アイテール」
魔術式の継承権を得た少年。
「当主。僕はいつになったら魔術を教えてもらえるんですか」
問いかけられた、当主「カレンデュラ・エレムルス」は答えた。
「アイテール。私たちが目指すものはなんだ?」
「言うまでもありません。それはゾディアークの復活です。初代様から受け継がれた大切な教えです」
「そのとおり。いずれ来たる復活の時、星の民に命を返すために私たちの借り物の命はある」
「理解しています。だからこそ、僕は一日でも早く魔術を教わりたいのです」
「心意気はよし。だがな、その必要はもうない」
「何故です」
「誰にも言うなよ?私はついに至った」
「本当ですか!ゾディアークに至る秘術を得たのですか⁉」
「その通りだ。お前への継承の儀式を前にゾディアークをこの身に卸す」
「ついに・・・・・・ついに悲願が・・・・・・」
「だからもうお前は知る必要がない。私で終わらせる。私が終わらせる」
「当主?」
一族の悲願だというのにカレンデュラの顔はには喜びはない。悲哀に満ちている。
「アイテール。もう一度言うが、まだ誰にも話すな。実行には下準備がいる。そうだな、軽く見積もって5年、お前の継承式のその日に、すべてを終わらせよう」
「・・・・・・わたりました」
「今日の修練はここまでにしよう。励めよ」
「はい」
カレンデュラが村へと戻っていく。
カトレアはその背中がただただ見つめていた
五年後
継承の儀式のひと月前、カニバヴィレッジに黒いフードを被った男がやってきた。
ファダニエルと名乗るその男は当主であるカレンデュラを呼び出すと、二人だけで話がしたいと祭祀場に向かっていった。
カトレアは二人の後をつけ祭祀場の脇の雑木の中に身を隠して会話を盗み聴こうとするが、はっきりとは聞こえない。
話が終わると早々にファダニエルは村を後にした。
カトレアはカレンデュラに何を話していたのか聞くが黙りこくったままで何も教えられなかった。
ひと月が過ぎ、継承の儀式当日。
カレンデュラは、村を去った。
現当主の唐突な行いに村人たちは混乱する。
カトレアはカレンデュラが村を去ったのはファダニエルに何かを吹き込まれたからだと推察する。
当主の時期継承者として、カレンデュラが持って行ったその日継承するはずだったソウルクリスタルを回収するためカトレアは旅に出る。
初代当主である記憶を持った男は、未来にすべてを託すことにした。
矮小なままの体では、到底ゾディアークの復活などできない。
男は自分の心臓をソウルクリスタルに改造し、記憶と技術を継承するすべを編み出した。
そして、代替わりの時現当主の心臓を次期当主が喰らうことで、魂のエーテルすらも凝縮、引継ぎ、かつての力を取り戻そうと考えた。
村に生まれる男は、当主となるため殺しあった。
友を殺し、兄を殺しそしてその心臓を食らい魂を凝縮してゆく。
世代の長になったものは、当主に挑み敗北したものは糧になり、勝利したモノは当主だったものの心臓を食らい、儀式を継承した。
村に生まれた女は、当主の子を産み続けた。
出生率の低いヴィエラの男児を誕生させるために何度も何度も。
そうして生まれた男児は喰らい互いを喰らいあった。
その過程で誕生した女児は、成人すると他の母同様、子をなした。
濃くなってゆく血の果てで、健康体で生まれてくる子はどんどん減っていった。手のないもの、足のないもの、頭が二つあるもの。
異形に近い体を持った子ら。それでも互いを喰らい合う儀式は続く。
初代当主の悲願。ソディアークを復活させるために。
長い長い地獄の日々が続く中。
いつかぶりに五体満足の男児が誕生した。
雪のように白い肌と虹彩を持って生まれた子は、カレンデュラと名付けられ村人の期待通りに当主となった。
カレンデュラを捜索するカトレアは、雪深い山道を一人歩いていた。
少ない手がかりから、テロフォロイにたどり着きその居城となっているガレマール帝国首都を目指していた。
旅を始めて既に数か月。カレンデュラに何か吹き込んだであろうファダニエルに手が届くところまできていた。
しかし、帝都に到達したカトレアは大きく落胆することとなった。
廃墟と化した街に徘徊する洗脳状態の兵士と魔導兵器。
天高くそびえる黒鉄の城。
ここまで来たはいいものの、単独でどうにかできるような雰囲気ではない。
頭を抱えていると女性に話しかけられた。
「大丈夫ですか?」
ピンク色の髪を後ろで結わえたミコッテ族の少女がカトレアの顔を覗き込む。
「驚いた。正気でいる人がまだいたんだな」
「私はル・メリエッダ。イルサバード派遣団に参加している冒険者の一人です」
「なにそれ?」
「エオゼア諸国から集まった、テロフォロイに占拠された帝国を助けに来た仲間たちって感じかな」
「奇遇だ、俺の敵もそのテロフォロイってのだ。そこの首魁をやってるらしいファダニエルってのに用があるんだ」
「アシエンに・・・・・・よかったら、私たちの拠点で話を聞かせて?何か力になれるかも」
「それは、願ったりかなったりだ」
ル・メリエッダに連れられてイルサバード派遣団の拠点へと向かった。
数日後、バブイルの塔への侵攻作戦にカトレアは参加していた。
薄暗い廊下を協力者たちと駆ける。
その途中、見覚えのある白い肌のヴィエラ族を発見する。
「許せルメリエッダ!!探し人がいた!」
「了解!アイテール、ちゃんと仲直りしなよ!それじゃ、生きてまた!」
ル・メリエッダたちの背中を見送って、カレンデュラに目を向ける
「当主!!」
「アイテール。久しいな」
「まどろっこしいことはやめて単刀直入に聞きます。何故村を出たんですか」
「馬鹿らしくなったんだ、何もかも」
「わからないです。俺にもわかるように説明して下さい」
「俺達は間違っていたんだ。ゾディアークはあんなことをしなくても蘇る」
「何を」
「ゾディアークは蘇る。俺達が関係のないところで。ファダニエルの、アシエンの手によって。」
「当主?」
「私はもうわからないんだ。この決意の行き先も、友への贖罪の方法も、何も。何もだ」
それだけ言い残し、カレンデュラは見たこともない術を使い次元の狭間へと姿を消した。
カレンデュラが前当主の心臓の喰らい、これまでのすべてを継承した日。
彼の心は壊れた。
すべての当主の記憶、死んでいった友の声、怒り、悲しみ、あらゆる負の意思がカレンデュラを襲った。
五体満足で生まれ魔術の才に恵まれたが、唯一肉体だけが弱かった。
世間でいうところのアルビノ体質というやつで、美しいほど白く透き通ったその体躯は、神聖さを感じさせるほどのものだったが、これまで積み重ねてきた業は、彼の身には重すぎた。
流れ込んでくる知識の波で頭が割れそうになる。
「転身を応用して・・・・・・」
初代当主の記憶が見える。
かつて人だったころの記憶。人でない何かに変わった記憶。
嘆きと慟哭が見える、自分の意識と彼の意識が混濁してゆく。
数時間か数日か。体感ではもっと長い時間が過ぎ、ようやく平常を取り戻した私は、頭の中に溢れた知識を整理する。
初代当主の考えた神再臨の計画はこうだ。
自身の心臓を継承の要とし知識を継承する。
それと同時に、ゾディアーク復活に必要なエーテルも心臓にため込む。
そのためのエーテルは魂のエーテルを使う。
本来星海に帰るはずのエーテルをソウルクリスタル化した心臓に誘導し溜め込む。
それを繰り返し続け、必要な分のエーテルを貯蓄した後は、己の身を核にゾディアークを降ろす。
ゾディアークの召喚には転身を応用する。肉体の枷を捨て魂ごとゾディアークへと作り変える。
「術式は完成した。あとはただ時を待つ。我らの世界を取り戻すため、記憶と術を未来へ託す」
私が生まれて十余年。
悍ましい風習だと思った。何度も逃げ出したいと思った。
けれど、この手屠った200を超える友と兄弟の為命に報いなければならない。
その一心でこの日まで生きてきた。
「体内にため込まれたエーテルはまだ足りない。だが、もう少しだ」
来るべき時に備え、私が今やるべきことは。
「転身術の再現か」
かつて人だったころ、自身の体内にある膨大なエーテルを使用し転身を行っていた。しかし、今はそうはいかない。
体内にため込んだ魂のエーテルを使うわけにはいかない。
これは神のためのものだ。
記憶されている転身術はゾディアーク降臨用の体内エーテルを使う術式だけ。そのため、実際に転身のテストを行った歴代当主は、初代から数えても一人としていない。
準備が整いつつ現段階ですら、計画の最終段階の検証が行えていない。
ずさんな計画だ。
ここまできて、失敗しました、出来ませんでした。では話にならない。
術式を改造するしかない。
環境エーテルを使用して転身できるように術式を改造する。
テスト用でしかないが、実際の降臨時、実証不足によりに魂エーテルを喰うだけに終わるなんてことになるよりは何万倍もマシだ。
じきに、魂エーテルは臨界を迎える。
それまでに転身を完成させ、ゾディアークを復活させる。
「私で終わらせる。私が終わらせる。このふざけた連鎖を私の手で」
慣れない転移の術で頭がくらくらする。
放り出された故郷の地でゾディアークのとファダニエルの気配を探る。
「ドコにもない・・・・・・・・・・・・はは、ははは。あいつは失敗したのか。負けたのか光の戦士とやらに。ハイデリンの使途に。くだらないっ!くだらない!!!」
まぁいい。これで報いることができる。この手で奪った魂の持ち主たちに。
「地脈。風脈。天脈の交わる点。この祭祀場でに神を降ろす」
カレンデュラが当主となって数年後。
彼の血を引いた最初の子としてカトレアは生まれた。
奇跡の子は奇運命を引き継ぐ。
カレンデュラの最初の子は五体満足で生まれ、父を超えるほどの才をもって生まれた。
カトレアは生まれながらにエーテルの流れを見ることができたのだ。
一度見た魔法、技は簡単に真似ることができた。
ソウルクリスタルでの継承が馬鹿みたいに見える。そんなことをしなくても彼は目から得た情報だけですべてを再現して見せた。
飛空艇の上で眠っていたカトレアは夢から目を覚ました。
ゾディアークを妥当したルメリエッダたちが持ち帰ってきた情報から、終末現象が天脈の薄い場所から始まると聞いたカトレアは、エーテルの流れを見る能力で天脈の薄い場所を見て探して回り、対応の先手を打てるように奔走していた。
「お疲れですね」
飛空艇の主であるニールモンブランに声を掛けられる。
「すいません仕事中に」
「問題ないですよ。今は帰路でしす、アイテールさんここ数日働きづめですしね」
「働いてないといらないことばかり考えてしまって」
「そうですか。でも無理は禁物ですよ。今この星にとってあなたの目は世界を守るための要です。動けなくなってしまったらそれこそ大変なことになる」
「申し訳ない」
「謝らないでください。偉そうなことをいっても私はただの商人ですよ。世界と世界を救う力を持ったあなた方を憂うことしかできない。」
バタバタと音を立てて進む飛空艇。
現在地はもう半年は帰っていない故郷の村がある森の近く。
うっそうした木々と外界から隠匿するための結界覆われた村の様子を空から伺うことはできないとわかっていても気にはなる。
飛空艇から村のほうを見下ろすと、奇妙な光景が目に映った。
「村が見える」
ありえないことだ。歴代の当主が隠し続けていたその場所か確認できる。
術者であるカレンデュラが離れたから?
いや、違う。それだけじゃない何かを感じる。
両の目に意識を集中する。
風景ではなくエーテルの流れを見る。
「天脈のエーテルが吸われている?いや、天脈だけじゃない。風脈も、地脈も何かにエーテルを吸い上げられている?なんでそんなこと」
結界が消えたのはこの影響だろう。結界を半永久的に維持するため、地脈からリソースを吸い上げて結界は維持されていた。
その地脈のエーテルが他に持っていかれている。結界が消えるのも道理だ。
消えたエーテルはどこに?
流れているエーテルの流れを見るととある一点に向かって収束している。
「あの場所は祭祀場?」
考えろ。何が起こっている?
終末。ゾディアークの死。テロフォロイの敗北。アシエン・ファダニエルの陰謀。
「・・・・・・まさか⁉」
間違いない。当主がゾディアークを降ろそうとしている。
ファダニエルがアシエンが進めていた計画が破綻した今、足踏みしている理由はない。ゾディアークを復活させる悲願を果たすつもりだ。「ニールさん高度を下げて!!急がないとここで終末減少が始まる!!」
「アイテールさん?・・・・・・わかりました。何か見えたんですね」
ニールは森に接触する寸前まで飛空艇を急降下させた。
「これ以上は無理です!派遣団への連絡は任せてください!健闘を」
「助かります!」
カトレアは飛空艇を飛び降りエーテルを辿って祭祀場へと向かった。
祭祀場の真ん中で、カレンデュラが静かに立っていた。
「お前なら来ると思ったよ。その目からは、逃げきれるわけがない」
「当主。ゾディアークを降ろすのですか」
「あぁ。知っているんだろう?アシエンの計画が潰えたことを」
「はい」
「であるならば、わかるだろう?私しかいないんだ。この星を世界を救えるのは」
「・・・・・・当主」
「現に世界をみろ。終末の災厄が押し寄せ今まさに終わろうとしている一刻を争う時だ」
「当主・・・・・・確かにそれでこの星は救われるでしょう。けどだめだ。俺たちの神を降ろせばその先にあるのは、世界の再編。旧き世界への回帰です。決してこの世界を救うことにはならない」
「外に毒されたか」
「ファダニエルにほだされたあなたが何を」
「そうだな。だが、奴は死んだ。結局奴のやり方ではダメだったということだ。私が終わらせる。私で全て終わらせる。一万二千年に渡る我らの悲願を果たす」
「一体それで何になるというのですか!ゾディアークの復活は世界の終わりとイコールだ!聞いたのでしょう?ファダニエルから!ゾディアークが何なのか!終末とは何なのか!あなたは世界を終わらせたいんですか!」
「アイテール。もはや世界がどうだとか、旧き人がどうだとかは関係なないんだよ。俺たちの中には数えきれないほどの友の、兄弟の悲嘆が預けられている。彼らに報いるには、この無意味だった苦しみの連鎖に報いるには!ゾディアークの復活しかないんだ!!」
天脈から、風脈から、地脈か吸い上げたエーテルがカレンデュラの中で膨れ上がる。
「その通りかもしれない。俺たちは間違っていた。間違ったやり方で、向かっちゃいけないゴールを目指していた。だけど、だからこそ認めて正さなきゃならない。この血に染まりすぎた手でも今から救える命がある!積み重ねた屍の山を越えるだけの命を救えるんだ!俺にはこの目がある終末の先に回って人を救える!あなたには術がある!この世界で唯一!あんただけが使える原初の時から紡いだ魔法だ!それがあれば何人だって救い出せる!そうやって友に報いることだって!」
「それは欺瞞だ!許されたいと!許して欲しいという我々の願望に過ぎない!そんなことで彼らの命が浮かばれるものか!」
「だったらそれだって!あなたの願望だ!死んだ人間の声を都合よく解釈してるだけだ!・・・・・・あなたも俺も同じでしょう?だったら!これ以上奪うより、救ったほうが何十倍もマシだ!!」
「この先は平行線だな。・・・・・・ならば殺しあうしかなるまい。そもそもだ。執り行わなかった継承の儀式は、当主との殺し合いの儀式だ。遅かれ早かれ、私とお前はこうなる運命にあったんだろう。見せてやろう。これがゾディアーク復活のための最後のピース。旧き人が持つ究極の一つ。転身である!!」
莫大なエーテルがカレンデュラを飲み込み体を溶かして再編されてゆく。
次第に渦は黒い本流となりその姿を露わにしていく。
六つの腕と数多の触肢、血涙を流しているような赤い仮面と、体躯に浮かび上がる無数の目。体躯の中心部に赤く鼓動する核としての心の臓。
「これが神?いや、何かが違う。なんだこの違和感は・・・・・・⁉そんなっ‼」
それはさながら創造魔法の暴走。
本来到達すべき方向とは逆の進化。星を覆うはずのエーテルは小さな核となり、それを中心に無で体躯が形成されている。
あれほど吸収した環境エーテルも、凝縮し蓄えた魂のエーテルさえも核として鼓動するだけで、星を覆う様子はない。
あふれ出ているのは無の汚泥だ。
「終末の獣・・・・・・偽神ゾディアーク・・・・・・」
思わず口から零れた。そうとしか呼べなかった。
これを世に放つわけにはいかない。それこそ終末が本格的に始まってしまう。
「わからず屋・・・・・・あんたに憧れたから俺は!!」
カトレアの叫びなど届かない。
エーテルの残滓がカトレアに囁く。
お前のその眼差しが私を此処まで連れてきた。
カレンデュラの言葉は届かない。
「ここで止めなきゃ終わるんだろう。だったらやってやる。あんたは俺に転身を見せた。つまりはそういうことだろう!!」
「ここでこいつを止めるためだ。許せよハイデリン。星の血を借りるぞ」
彼は特別な子だ、一度見た魔法はすぐに覚える。
彼は運命の子。奇跡の子の第一子であり、この使命この呪いこの盟約を終わらせる運命を背負って誕生した。
「俺が終わらせる!俺で終わらせる!!見ろ!これが俺の転身だ!!」
海からの心地よい風が吹く。ここはオールドシャーレアンかの賢人たちが住まう学術都市だ。
宇宙の最果てから暁が帰還してひと月が過ぎた。
あれほど慌ただしかった世の中もひと月も時間が流れれば落ち着きを取り戻す。
シャーレアン魔法大学の一角でカトレアは真っ白なキャンバスに向かて首をかしげていた。
「うーん存外難しいもんだな」
「あれ?アイテール何してるの?」
たまたま通りかかったル・メリエッダがカトレアのもとにかけてくる。
「ようル・メリエッダ。見てわかるだろう絵画魔法の練習」
「なんで?どういう心境?」
「ほれ、戦いは終わったわけだろ?世界は癒しを求めてるわけで、そういう時にはやっぱ娯楽だろ?芸術とかそういうのこれから流行ると思うんだよ。んで、いっちょ一発当ててやろうと」
「それでこれ?病み上がりなんだからあんまり変なことしない法外と思うけど」
「平気だよ見た目よりはひどくなかったんだから」
カレンデュラとの殺し合いの結末は御覧の通り。
カトレアが星の命を犠牲に偽神ゾディアークを打倒し幕を閉じた。
「核となっていてもこれは残るのか」
戦いの後には、ソウルクリスタルとかした心臓だけが残った。
一万二千年のあいだ凝縮された魂のエーテルが無の浸食からそれを守ったのだろう。
「・・・・・・これもケジメか」
覚悟はとうにできている。全部背負って全部終わらせて清算する。
そのための運命の子だ。
カトレアはそれを拾い上げると齧り飲み込んだ。
「そういうならいいけどさ」
「心配しなさんな、万が一倒れてもここはシャーレアンだぞ?簡単にしねるかよ」
「それもそっか」
暫く軽口をたたいて、ル・メリエッダは用事がるからと大学の中へ消えていった。
俺はこれから好きに生きるんだ。地獄で生まれ死んでいった友のために、兄弟のために、父のために、俺の中に眠る人たちのために。
世の中の享楽を味合わせてやるんだ。
そうじゃなきゃ、俺たちの苦労は何も報われないだろう?
右手に持った筆を握り直して振り上げる。
楽しきことのあります様にと願いを乗せて、空に向かって筆を振るう。
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ということで、ざっくりとしたあらすじはこんな感じでした。
頭の中で書いてたものを文章に起こしたんでこれだけでなんか三日くらいかかりました。
うん。十分満足できるだけかけた気がしますし、供養にはなったでしょう。
それでは、これで暁月編しまいにします。
黄金編はまぁまた気が向いたらで。
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