暗い感じで会話はまったく弾まないという飲み客は経験がある、そういう客を往なすのもホステスに必要とされる能力なんだが
経験が浅い私には無理だった。 ママが往なしてくれてたから私に累が及ぶことはなかった。 そのお客さまはママ目当てというよりは嫌がられない店が少なかったからなんじゃないかな。
地方都市の場末のスナックなんてスーツのサラリーマンなんか殆ど来ない。 若い子の居るスーツのサラリーマンが楽しんでるような店では落ち着いて飲めないようなのが来るところだ。 私はそういうのも嫌いじゃない(ネコ被ったりしなくて済む)し、どちらかと言えば普通の 20 代の男の飲み客の相手をするほうが疲れるからちょうど良かったけど。 あー、私が 43 歳くらいのときのハナシね。
週末だけで 1 年しかできなかったけどいろいろ勉強になった。
もう 1 軒、私が顔を出すとこれ幸いと働かされる店があったけどそっちはスーツのサラリーマンしか見たことなかったし脚を触られることもなかったし自分のを濃いめに作っても文句を言われなかった。 ww
何だっけ。
そのお客さまがドアを開けてから帰るまでは私もママも張りつめた状態になる。 目の前のお客さまと話をしながらそのグラスに気を遣いながらも他のお客さまの会話やグラスやテーブルにも目を配るのはいつものことだけど、その方が居る間はその精神状態に気を配るというか把握し追跡する必要があったから。
暴れないよう先手を打つために。
そんなものだよね、お仕事って。
あー、「キレやすい」 という表現でいいのかな ? そのお客さまは。 その 1点を除けば決して嫌いなタイプではないんだけど、疲れる。
でもまあ、そういう方が行ける店がなくなったらそれこそ犯罪に向かうしかなくなる、とも思う。
町内会のジジさまからは 「 お店やらないの ? 」 と言われることもあるし、ある種の受け皿的な店も嫌いじゃないしインフラの一部だと思うけど、経理担当の立場からするとソコソコの固定客の見込みがないのに成り立つわけないよねというところで止まってる。 一応は本業あるし。
世の中、いろんなヒトが居る。 永らえることを優先するなら勝つ生き方よりも負けない生き方が必要となることもある。
そんなことを考えさせてくれた、とある事件でした。
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