ハンターの遺志を継ぐ
今回はモンスターハンターについて綴っていこうと思う。
私のモンハンとの出会い。
信じられない出来事の後、自分の手元にモンハンが転がり込んできた様な、そんな話である。
その頃、セブンイレブンでバイトをしていた。
いわゆるフリーターというやつだったが、実家暮らしということもあり上手くやっていた。
その当時付き合っていた彼氏がゲーマーで、モンスターハンターポータブル2をやっていた。
名前は聞いたことがあったが、自分から買おうという気になれなかったゲームで、興味本位で「もしやらないなら貸して」と聞いたところ「そろそろ飽きてきた」というので借り受ける事になった。
最初はやはり今までプレイした事がないタイプのゲームだったのでかなり難しかったが、なんとなく慣れてきたようで、弱いモンスターなら倒せるようになった。
ある時「そんなに楽しいならもうすぐ2ndG出るんだから買えば良いじゃん、ストーリー途中からでもプレイ出来るよ」と言われた。
が、最後までクリアしないまま続きの作品をする事は、私の中の何かが許さなかったので、いやいやまだまだなんて言いながら2をプレイし続けていた。
ついに発売日である。
発売日にはバイト先のセブンイレブンにも誰かが予約したMHP2Gが何本か届いており、バックヤードにある保管場所を見ては「いいなぁ、かっこいいなぁ、パッケージ」と気にしながら仕事をしていた。
そして私が見ていない間にいつの間にか売れていて、残り1本になっていた。
私が帰る前に取りにこなかったので、忙しいんだなぁなどと思いながらその日は帰宅した。
そして2週間かそれ以上か、それでもその1本は誰も取りにこない。
電話連絡さえない。
「忘れてんのかねぇ、オーナーさんに相談しなきゃね」と先輩が言った。
数日後、オーナーから電話が来た。
基本的にオーナーから電話が来ることはあまりないので、絶対に何かやらかした!と思い、あせあせしながら出ると「ずっとバックヤードにあったあのゲーム買わない?」と言うではないか。
まぁ売ってくれるなら買いますけど…
こうしてモンスターハンターポータブル2ndGは私の手元に来る事になったのだ。
出勤したら買おう!そう思いながらウキウキしながらバックヤードに入ると、オーナーさんがゲームと一緒に待っていた。
「はい、ありがとう」
そう言ってゲームを渡してきたオーナーの顔は複雑な顔をしていた。
素朴な疑問、このお客さんどうしたんですか?興味本位で聞いた。
「購入する前に亡くなっちゃったんだって、この間の事故知ってる?」
知っている、歩道で信号待ちしていた中学生の男の子にトラックが突っ込んだ事故。
後で調べて分かったが、この事故は運転手のてんかんの発作が原因だったようだ、しかも薬を適切に服用していなかったという。
このソフトを予約していたのはその子だった。
「いやだったらいいよ」と言ってくれたが、「いや、プレイしたいです、買います」そう言って購入したのだった。
不思議と全くイヤではなかった、むしろこれをプレイしてあげたほうがいいんじゃないかとも思った。
帰ってすぐに仏壇に供え、線香を焚いた。
「下手くそだけど、一生懸命プレイします。知らない君だけど、君の分までしっかりプレイします。」
知らない人間に手を合わせてはいけないというが、この時は知らない人間とは思えなかったのだ。
私と同じモンハン好き、ゲーム好き。
モンハンが好きで発売日に欲しかったから予約までして。
もし元気だったら今ごろ友達と通信しながらワイワイやっていたんではなかろうか。
PSPにソフトをセットし、結局中途半端になってしまった2からデータを引き継ぎプレイした。
その子のことを考えてしまって、いつの間にか泣きながらプレイしていた。
今現在、私は「モンスターハンターワールド」をプレイしている。
PS4なのでグラフィックもゲームの内容も、昔とは桁違いに変わった。
一緒にプレイする仲間もあの時から変わり続け、今は旦那と旦那の弟くんと3人で通信しながらよく遊んでいる。
もしこの子がまだ元気でいてくれてたら、オンラインでマッチングしていたかもしれない。
私はまだあまり上手くない、ランクばかり高いへっぽこハンターだ。
上手くなるとあの時誓ったが、まだまだモンスターにやられまくっている。
まだまだ下手くそじゃん!
もしかしたら、笑われているかもしれないな。
もっと上手くなってやるからな!プロハンみたいにモンスターの攻撃も避けてやるからな!
…いつかね。