私のこと聞いてください．在日兄「行旅死亡人」

オッキアンチャン

2人の兄。
父の死後、３年ぶりの再会。
小学5年生の時だった。
渋谷の映画館で「椿三十郎」と「天国と地獄」を見た。
兄妹３人映画館の座席に並んで映画を見た。
これが最初で最後になった。
それ以来2人に会うことはなかった。
オッキアンちゃんとチッチャアンちゃん。
私はそう呼んでいた。

20歳の頃から私は2人を探し始めた。
どうやって。手がかりがない。
死んだ父の※入院費用を支払うため、
家を担保に知り合いからお金を借りた。
その後、いなくなった。
アメリカに、ブラジルに、いや、やっぱり
北朝鮮か？
そんな噂だけが残された。

私が「出来うる」方法で探し続けた。

そして、40数年後の2020年９月。
政府広報の「官報」で知った。

オッキアンチャンつまり上の兄が
行旅死亡人として品川区内の病院で
2000年（平成13年）3月22日死亡した
という情報を目にした。

「行旅死亡人」とは身元不明の死者を指す。





※父は朝鮮半島出身者。在日コリアンは、
当時日本の医療皆保険に加入できなかった。