大分別府のんびり?旅①

いつか、今よりもっと楽な仕事に就いたら、もしくは定年退職したら、たぶん白い猫と茶色い犬を、もちろん保護猫保護犬を飼って、名前は「ノン」と「ビリー」ってつけて、2匹合わせて「のんびり」になるようにするんだー。そんなのんびり旅をするんだー、って棒読み感をうっすら漂わせながら、アホな癒しのペットを飼ったら妄想を絡ませながら始まった別府旅。とにかく癒されたい、現実逃避したい、ということで。

確か発端は温泉でのんびりしたい、ということだったような。私の希望。旦那さんはだいたいの提案は「いいね!」とすぐノッてくるし、あーだこーだ言わないタイプ。本気で自分の希望だけを言えば、温泉でのんびり、あとは美術館などをまわって感性を刺激する旅が良い。地元の良い感じのカフェとか雑貨屋さんとか巡ったり。

まぁでも、知らない場所に行くだけでも、街の雰囲気や駅やグルメや、なんでも珍しくて楽しいので、細かい計画は立てない。旅はハプニングが付きものだから。

別府に到着。
観光案内センターをかなり活用させてもらった。お腹ペコペコで到着したので、ベタだけど有名なグルメを味わってみたいと、お勧めのお店を教えてもらう。とり天の「とよ常」は結局、いつ行っても並んでるので入れず断念。他にお勧めの「○○○鮨」というところに行ってみた。地魚8種類と海苔巻きがついて、3千円台。た、高い。そもそもちゃんとしたお寿司屋は行ったことがほぼ無いので、平均的な単価が分からない。だけどそれくらいするだろうと、ビビりながら注文。

いざ出てきて、わぁ~と驚きながら楽しみに食べ始める。関サバ、関アジもお皿に乗っている。コレコレ!。むぅ…硬い。イカが噛み切れない時点で失敗だったと悟るべきだったかも。そしてどのネタも分厚い。噛み切りにくい。何よりきつかったは、ワサビの辛さ。口の中で噛み切りにくいネタがいっぱいになっていつまでも残り、なおかつワサビの辛さが強いから、もう、これ、ワサビ寿司じゃない。美味しくない!

ネタはもちろん新鮮なんだけど、米の酢具合が足りず、ワサビの量が多過ぎて、ネタの旨味が全く感じられない。もともと生魚は苦手気味なので、旅先では新鮮で美味しい海鮮料理を食べることで、苦手意識を払拭できつつあった。

なのにこれ、私が1番手嫌いな生魚のパターン。いつまでも旨味の無い生の魚が口の中にいて、ワサビの辛さでいたずらに鼻の奥がツーンとするばかりで、変な汗が出てきて、ただ寿司を食べてるだけのはずが暑い。

向かいに座る旦那さんを見ると、ネタを剥がしてワサビを取っているではないか。私もすぐに習って取り除いた。だけど、だけど、ワサビが主張してやっぱり美味しさを感じられない。2人して顔を見合わせる。

お会計は奥さんらしきおばさまがやってきて、何と、単語帳のようなカードをペラりとめくり、無言で7千円台の数字を見せてきた。ちょっと驚く。その前は普通に会話してたのに。外国人向けに作ったのだろう、と外国人の客が結構来てたなーと思って推測。

店を出て、旦那さんは失敗だったな、とぽつり。お金を無駄に捨ててしまったな、とも。地元のお寿司屋さんでは、分厚くてワサビましましがスタンダードかも知れず、寿司を知り尽くして食べまくってます、というわけでもない私は、こんなものなのかな…と思いかけていた。だけど旦那さんは海鮮が大好きで長年食べてきた人なので、彼が不味い、失敗と言うなら間違いなさそう。

ああ、観光案内センターの人に実体験を伝えたい。そしてやたらにお勧めのしない方が良いかも、と伝えたい。伝えようかとも思ったけど、その後何回か訪れて他の観光地の行き方を教えてもらった時にも探したが、同じスタッフの方がおらず、伝える機会が無かったのだった。

その後は、別府市竹細工伝統産業会館へバスで移動。ネットで調べてた際にお勧めしている人がいたので興味があり。乗ってすぐに別府公園バス停だったかな?カメラのクルーらしき人たちが乗ってきた。旦那さんが「タカオさん、タカオさん、バス旅の!」と言う。私は「タカオさんて、誰よ?」と大きめの声で聞き返す。そしたら太○陽介さんだった。旦那さんの滑舌が悪くて、2回聞き直したのに分からなかったから、ちょっとムッとしていた私(旦那さんが検索して私の書いたものにヒットしたら嫌なので、○文字入れてます)。

それからすっかり旦那さんはご満悦。バス乗り継ぎ旅の番組を夫婦で楽しんで見ていたので、実際ロケで普通に乗ってきて、先頭で立ったまま、運転手さんに話しかけたりしてる本人を見て大喜び。その後、何度も「見たな~びっくりした~」と話す旦那さんなのであった。良かったね。

竹細工伝統産業会館。良き。好き。竹細工ってこんなに繊細でしなやかで緻密で、何より風通しが良い。いや、風通しが良いのは竹細工の性質として当たり前の特徴なんだろうけど、何というか見てるものの気持ちがスッとする。呼吸がしやすい。同じ立体ものの木工や陶器とは圧が違うっていうか。私がお金持ちなら、繊細に編まれた籠の器(とてもお高い)を持ち帰って、家のテーブルに飾るんだがなぁ。なので、カフェ&ギャラリーに寄って、竹細工のコースターとキーホルダーを買った。これなら玄関に飾っておける小ささだし、お値段も手頃。

帰りのバス停で地元のおしゃれな格好をしたおじいさんに話しかけられた。この別府旅はかなりの頻度で人に話しかけられたのだった。もともと夫婦して道聞かれ顔というか話しかけられタイプなんだけど、やたらに話しかけられたなーという旅の印象。

夕方に別府へ戻って、別府タワーの16F17F の展望台へ。日も落ちて夜景がきれい!下を通る6車線ほどの車のヘッドライトが美しい。山に向かって街並みの点々と光る夜景も素敵。旦那さんも喜んでカメラを構える。違う角度から夜景の街並みを眺めるっていうのも、一興ですね。

夜ご飯は駅近くの居酒屋へ。おしなべて、朝も昼も夜も、こちらの地域は食事処のオペレーションがのんびりかも知れない。ここで旅のテーマ、のんびりが立ち上がってくるのたが、関西人の気質の我々にはいちいち内心微妙に(遅い!)と思ってしまう。関西での手際の良さ、早さ、スムーズさに慣れきってしまっているせいかも、とも振り返る。慣れって怖いね。

いや、良いんだよ。待つのも旅のうちのひとつ。だけど、旅人の我々は、うん、アラフィフってのもあるだろうけど、ごめん、疲れてんの。おばちゃん、おじちゃんなの。座るところが無くて立って15分近く待たされると疲労が倍増するの。他の店へ行くわ!って立ち去っても良いけど、ここに来るまで一応あちこち歩き回って、満席って断られたりして、ここへたどり着いてるから、も、早く座って食べて、早く宿へ戻って温泉入って休みたいのよ。

実は目の端にちらちら写ってた、奥の隅のテーブル。2人座れるやん、空いてるやん、と思っていた。だけど待たされ、やっと案内されると、スタッフのお姉さん、そこの狭さを気にしていたみたい。カウンター席でも良いですか?と聞かれたけど、そこはお一人様を案内する席みたい。角に向かい合って座れるし、モーマンタイなんですよ、ええ。

別府の人は狭い席を嫌がるのかい?それとも以前に観光客に文句言われたとか?それより、疲れきった足を休ませたいの、我々は。お腹空いてるの。だから狭さとか全く気にしてないから、早くして~!

で、無事に昼の不味い寿司屋のリベンジ。関アジを堪能。うっわぁーー美味しい!というほどではなかった。ごめん。だけど新鮮でアジの旨味もあって安心して美味しく戴きました。
それより、とり天!これがめちゃめちゃ美味しい!次の日も夜ご飯で他の居酒屋で食べたけど、柔らかくてジューシーで、何より居酒屋あるあるでやたらに塩辛い、てのがなくて本当に美味しい。全体的に味付けが塩で誤魔化してないみたい、大分の味付けは。

その後、別府ブリュワリーというお店にも立ち寄って、鶏のたたきと、カボスの入ったビールなどを戴いた。鶏のたたきも美味しくて、鶏の料理、大分、すごっ!と開眼。これも塩辛くなく、新鮮で柔らかくて美味。

旅先でこうやって、知らないものに出会い、食べられるものが増えるって、すごく嬉しい。とり天、好物に入りましたー。

つづく。


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