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「正露丸」の会社?あの広告、大丈夫?

最近、TwitterやYahooにやけに流れてくるあの広告、気になりません?

1kgの脂肪の塊がオレンジ色が特徴的な「正露丸」のパッケージとともに掲載されているダイエットサプリの広告。
ご丁寧にも「正露丸の会社 すげぇ」との煽り文句も。
このサプリ、いや会社、正直どうなの…。順を追って説明していきますね。

大丈夫?この広告?


1.『脂肪の塊は景表法の抜け道。』

※当初、「薬機法の抜け道」と書きましたが消費者庁の「景品表示法」の方が適切です。なお「薬機法」上の広告規制誇大広告の禁止(第66条)もあります。

インパクトのある脂肪の塊の模型。これを見た人は自分のお腹にある脂肪と重ねて見ますよね。このサプリを飲めば脂肪の塊が消えて無くなりそう…と。ところが不思議なことにこの広告には「痩せる」とも「脂肪を落とす」とも書かれてはおらず曖昧な表現に徹しています。

たとえばこの表記、

・体重、体脂肪にまとめてアタック

アタック?なんじゃそりゃ? でもなんとな~く体脂肪を溶かすのに効きそうでしょ? サプリ成分のなんたらがビビビッと脂肪を分解しそう。でもそんな夢みたいなことは当然なく…。
実は巷の健康食品の類は消費者庁によって表現を厳密に規制されています。
例えばその辺に生えている草を「ガンに効く!」として売っていたら大問題ですよね。埼玉県民だってそんなことは信じない!「そこらへんの草じゃん!?」って。でも、人は騙される生き物なのです…。

ーーーー※この部分を修正しております(始)ーーー
そこで消費者庁は「景品表示法」を定めています。
要は科学的根拠のないものを消費者に誤解を与える表現(優良誤認など)で売っちゃダメよ、って法律です。
また、厚生労働省も医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、通称「薬機法」を定めました。(以前は薬事法と呼ばれていました)こちらでも「誇大広告の禁止(第66条)」をうたっています。
なので健康食品やサプリを販売する会社は景品表示法および薬機法に抵触しないようさまざまな表現でなんとか消費者を誘導しようとします。
ーーーー※この部分を修正しております(終)2022.5.15ーーー

それが「アタック」であり、「サポート」であり、「1kgの脂肪の塊」だったりするわけです。
あのインパクト大な「脂肪の塊」もただ置いてあるだけで別に脂肪をどうするとは書いてませんから問題ないのです。そう、脂肪の塊は唐突に置かれたただのイメージ写真なのです!

そういうわけでこの広告は薬機法に抵触しないよう巧妙に作られているので法律的には『問題なし』なのです…。うーん…。

2.『機能性表示食品』は『トクホ』じゃない。

・機能性表示食品として検証済み
なんかこう書かれたら国が認定したサプリに思えますよね? スーパーでもよく見る「特定保健用食品(トクホ)」ぽいし。

トクホのマーク。機能性表示食品じゃないよ!!

でも機能性表示食品はトクホとはまったく違います。トクホは「効果や安全性について国が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官が許可している」商品です。しかし機能性表示食品は「事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品。ただし、トクホとは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではない」のです。
要は国がお墨付きを与えた商品ではなく、企業が研究して「効果あったよ」と論文等があれば表記できてしまうのです。たとえ論文著者として研究の資金提供を行った原料販売会社の社員等が含まれていても…。
つまり「機能性表示食品」と大々的にうたったとしてもトクホとは別の制度であるので「違法ではない」のです。そりゃまあそうか…。

消費者庁の資料から

3.『正露丸の会社?大幸薬品でしょ?』

オレンジ色のパッケージにデカデカと「正露丸」の文字。見た人はラッパのマークの正露丸を想像しますよね? でも違います。
この商品は大幸薬品ではなく、明治薬品という会社のもの。
「え?商標的に大丈夫なの!?」と多くの人が思うことでしょう。でも法律的に言えば「問題ない」のです。
実は「正露丸」という名称は一般名詞として利用できるのです。この件については以下の説明がわかりやすいので割愛します。

「正露丸」をめぐる商標権の係争
https://www.syohyo-jp.com/mame/seirogan.html

でも個人的にはよく似たパッケージを全面に出しての表現はかなりグレーだと思います。うーん…。
(まあ大幸薬品もクレベリンで件でちょっとアレな感じではありますが…)

←明治薬品  ・  大幸薬品→

4.『明治薬品って…。』

さてこのサプリを販売する明治薬品さんですが、1948年の創業の富山県の会社。富山といえば「薬売り」ですね。2021年8月に株式会社ファーマフーズにより完全子会社化されています。
で、ファーマフーズさんは1997年9月創業した会社。ネットを見ると商品の定期購読に関して解約がしづらいなどの苦情がちょいちょい見受けられる会社さんです。代表取締役社長は金 武祚(きむ きじょう)さん。朝鮮大学校から京都大学に入り、卒業後に起業された在日韓国人の方です。きっと努力の人なのでしょう。この広告も努力の賜かもしれませんね。

そんなわけで、まとめです!
この広告は『法律的』には問題ありません!!
相当優秀な弁護士さんがついていらっしゃるのでしょう。

でもね、景表法にも一応(いや本当に一応やな…薬事法と景表法を混同して理解しておりました…申し訳ない)通じているコピーライターとしては正直ちょっと…好きじゃないです(笑)。
小手先のテクニックで法律の網の目をくぐり抜ける表現は感心してしまうのですが、私は明らかに消費者の優良誤認を目的にして作られた広告に見えてしまうから。法律的に正しくても倫理的にどうなのかと。

みなさんもTLに流れてくる健康食品やサプリメントの広告には常に疑いの目を向け、十分に考えて判断してくださいね!

大きな修正!
この記事の広告表現については消費者庁の「景品表示法」の制約が大きいです。大変失礼いたしました。「薬機法」は厚労省です。
どちらも健康食品販売には欠かせない法律ですが常に一緒に見ていたので混合していました。申し訳ございません。(2022.5.15)

そうそう、お約束を忘れていました!
私、現在無職の再就職希望者でございます。
コピーライターとして20年以上のキャリアを持つすこぶる健康な男です! 媒体特性に詳しく、プレゼンに自信あり! 
ジャンルは問いませんが医療系、学校系、科学系に特に強いです。
もしご興味ございましたらお気軽にご連絡くださいませ。

TwitterID @catomato

#広告 #コピーライター

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