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アニメ6話の漢による明治村旅行 Day3
先日、友人と愛知県犬山市にある明治村およびその周辺に旅行に行ってきたときの文学ちっくな雑記です。
Day3
Blue Monday
3連休最終日。6時のアラームでたたき起こされる。
今日で帰るのかと思うと朝から憂鬱…にはなっている場合ではない。
なんとしても昨日終わらなかった分を取り返して、旅程変更を余儀なくされた分まで今日を楽しまなければならないのだ。
相変わらずアルコールを引きずってはいるが、不思議と体調は良好。
昨晩は先に友人の方が寝落ちし、話しかけても反応がないのを確認してこそっと電気を消しに行く。死んだように寝てるけど大丈夫かこの人。
それがたぶん3時ごろだったと思うが、私はまだ寝ない。
明らかにウィスキーの酔いが残り過ぎている。なんだかこの気分で寝るのはもったいなかったし、何よりここで寝たら絶対に明日頭痛で死ぬ。経験則。
暗闇の中、押し寄せる眠気の波を必死に押し返しながらひたすら座位を変えて耐える。だんだん私の真横で丸くなっている人は実は死んでるんじゃないかと思えてくる。身体の動きから呼吸を確認。
結局4時過ぎには観念して眠りについたわけだが、とりあえず二日酔いにならなかったのでよかった。
沸かし湯だし朝風呂には行かず、朝食前に荷物をまとめておく。
プライベートでスマホを触る習慣が全くないので、こういうときはたいがい先に準備が終わって時間を持て余す。今どきの人って朝からふつうにスマホで動画見たりするのね。私も連絡のチェックくらいはするけど。
朝食後出発までの間は、同行者を急かさぬよう寝たふり。
前日はダラダラと支度した結果、出発ギリギリになってネックレスの紐をほどくのに10分ほどロスしたので(謝罪)その辺の準備は予め抜かりなく。
明治村Day2
当初は犬山駅までで予約していた送迎バスを明治村までに急遽変更してもらい、開門直後の混雑を避けるくらいの時間を狙って出発。
前日の安楽椅子探偵の活躍もあって(気分はオーギュスト・デュパン)時間には余裕がある見込み。時間によって明治村を純粋に楽しむか完全制覇を狙うか、先に名古屋に帰って市内観光か…
アレ?この人謎解き用紙どこに置いてきた?
慌ててホテルに電話する。送迎車にはないらしい。
探してもらった結果、チェックアウトの際フロントに置き忘れていた。
取り敢えず見つかったことに安堵しつつ、友人に90度の謝罪。
一刻も早く取り返すべくメロスは一路ホテルへ、名探偵セリヌンティウスはロスを最小限にすべく謎解きを一人で続行。
が、運動不足メロス、あまりの暑さに即バテる。友の処刑待ったなし。
地図で見るよりホテルが思ったより遠い。あとやっぱり暑い。
結局女将さんが自ら軽トラで途中まで届けに来てくれた。
帰りも乗せてもらい不正手段により友を救出。
あのときはほんとうに助かった。ありがとうございます。
1時間とは言わないまでも大幅ロスに謝るしかない私。
それでも1つ目のコースはすぐに解き終わり、もう一つのコースの前日のメタ推理も完璧だったことが判明。それからはスムーズに事が進む。
祝日なのだが、前日と比べて明らかに園内は空いていた。
謎解きのゴールが見えるにつれ心にも余裕が生まれ、ようやく景観を楽しめるようになってきた。改めて見ると教会堂とかすごいぞこれ。
そして思う、いくら予定変更とはいえKraftwerkのツアーTシャツは場違いすぎるだろ私。今日は大須とか行く予定だったのだもの…
まあでもウォーホルのバナナのシャツ着てるおっさんもいたしな…
豊かな自然と伏線を華麗に回収していく謎制作者の手腕に感嘆しながら、昼過ぎには無事昨日やり残した謎解きをすべて終えることができた。
時間的にまだ完全制覇も狙えそうだったけれど、昨日の二の舞になることだけは避けたかったので無理はしないことに。取りあえず昼食。
友人曰く見たいところは回れたとのことなので、最後に企画展だけ覗いて残り時間をお気持ち名古屋観光に回すことで合意。
昔ながらの建物と近代的な建物が山あいの小さな村さながらに混在して並ぶ2丁目(私の最も気に入ったエリア)に、無事抽選を外したグッズ販売会場と並んで立つ企画展は、作品に登場する文豪ゆかりの品や当時の貴重な本がたくさん展示されていた。
アルチュール・ランボーとポール・ヴェルレーヌのリアルBLカップルから中原中也まで、作品に登場する文豪のラインナップはここ2日間の夜に友人から聞いていたが、登場人物の多さに驚くばかり。
そういうものとは縁遠い生活だったアニオタの友人たちと作品を通じて文学について語り合えるのは嬉しい経験だ。
美しい装丁が施された当時の本や太宰のメンヘラっぷりが伺える手紙などが見ものだが、残念ながら内部はアニメのパネル展示と衣装コーナーを除いて撮影禁止。はいそこ、せめて外部は撮っておけよとかいわない。
エドガー・アラン・ポー(リアル)推しの私としてもポーの全集が見れたのでよかった。せっかくなら当時彼が寄稿した雑誌や新聞、「大鴉」や「アッシャー家の崩壊」あたりの原本が見てみたかったけど…
やっつけ名古屋観光
明治村から帰るバスは2つあり、片方は行きに使った犬山駅との間を結ぶ普通のバス。もう一つは名古屋駅まで直結する高速バス。
後者は小牧駅などを経由する関係で、バスと電車を乗り継いで名駅に向かうルートよりむしろ時間がかかるので注意。本数も午後の数本しかない。
とはいえスーツケースとクソデカリュックを抱えた私たちからすれば、名古屋まで座ったまま一本で行けるというのは魅力的で、時間もちょうどよかったので高速バスを選択。しっかり休憩することができた。
イヤホンを装着してうたたねしているわが友を横目に、名古屋の地図を確認しつつどうしてこうなったのかと自問する私。いや、旅程が崩壊したことに関しては誰も悪くない。私も友人も事前調査はちゃんと頑張った。
ちなみに、この人はここには書けないがあと2つほど大きなやらかしをしでかしている。この場を借りて謝罪。
とはいえここまで来たら、新幹線までビミョーに空いた時間を使ってできる限り名古屋市内を楽しむのみ。親戚と友人がいるので何度も訪れているこの都市。今こそその経験を活かすとき。
小牧市内の停留所を経由して、名古屋高速に乗ってからは名古屋まであっという間。予め運転手さんに聞いておいた通り、名駅まではいかずその一つ手前で下車。疲れ果てた友人のスーツケースを引き受けて大須商店街へ。
東京で買い物するのに必ずしも東京駅で下車する必要がないように、名古屋で買い物するには名古屋駅前(百貨店とかあるけど)よりも栄なんかまで行った方がいいらしい。
中でも鶴舞線の大須観音駅または上前津駅から行ける(名古屋から一本で行けないのがもどかしい)大須の商店街は、新旧多くの店が地区全体に立ち並ぶ、名古屋では最大級の商店街だ。
古着屋からサブカルチャーの店、楽器屋に様々な飲食店が軒を連ね、老若男女どんな趣味の人でも楽しめるこのような地区は東京にもなかなかない。渋谷や秋葉原とはまた違った雰囲気が楽しめる。
が、この大須商店街、地区全体が商店街となっておりかなり広い。
複数あるメインの通りから外れた裏路地にも洒落た店が立ち並び、新幹線までに空いた1~2時間程度では到底回り切れるものではなかった。
乗換込みで名古屋まで20分程度は見込まないといけないし、そもそもスーツケースを引きずっていては店に入ることすらままならない。
大須を訪れる人はこの辺の事情を踏まえて、十分に余裕をもったスケジュールを立てることをお勧めする。スーツケースにリュック抱えてたら英語で話しかけられたし。ごめん、私どっちかといえばトルコ人なんだ。
責任をもって荷物持ちを引き受ける私。帰り際に中古レコード屋だけ覗かせもらい、謎のスペインのプログレやボ・ディドリーなどを購入。
後ろ髪を引かれる思いで、再訪を誓いつつ新幹線の時間が迫っているため私たちは大須を後にした。次はホテルかロッカーに荷物を置いて、丸一日のスケジュールで来よう。コモドオオトカゲくんも待っててね。
帰宅
大須からの帰りは地下鉄を利用。
上前津からは鶴舞線と名城線を選べるが、どっちでも多分変わらない。
ちなみに名古屋の地下鉄は東京と違い、平日は女性専用車両が終日の運用になっている。訪問日は祝日なので関係なかったが、過去に1敗しているので男子諸君は気を付けるように。
祝日の夕方とあって東山線はかなり混雑していた。
京浜東北線なんかの帰宅ラッシュに比べたらなんてことはないのだろうが、いかんせん大荷物なのでそれなりに堪えた。
名駅に着いた頃には名古屋飯の夕食など考えていられる時間ではなく、お互いにお土産を買うのでいっぱいいっぱいだった。
おまけに改札を間違え、予約したチケットが通らない。アプリで指定席を予約している場合は新幹線専用の改札でないと通らないらしい。危うく乗り遅れるところだった。
大須観光でドタバタになった見通しの甘さを詫びつつ(今日は謝ってばっかりだな)、ある意味では充実を極めた3日間を振り返る。
新幹線のホームは同じように連休を終えて帰宅する人々で混雑しており、ついぞ足を踏み入れることなかった駅前の商業ビル群の高い壁だけが私たちを見送ってくれた。
3連休最終日、19時手前の新幹線で名古屋を後にする。
ドタバタの旅程についてきてくれた友人に感謝を伝え、しばし思い出話を交わす。せっかく二人席を予約したが想像以上に疲れ果て、それからはほとんどしゃべらず、闇に包まれた外の景色を見ることもなく、気がつけば現実が待ち受ける地元に帰ってきていた。
あっ職場の人に頼まれてた赤福買ってくるの忘れてた!
-完-
Day1
Day2