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【細胞】”核”ってご存じですか?#3
【挨拶】
こんにちは、catです。前回(#2)では細胞の類似点、DNAについて軽く説明させていただきました。今回は、細胞の”核”についてお話していこうと思います。ぜひ、最後までご覧ください……!
【細胞の”核”】
核(nucleus)とは、細胞を観察した際に見られ、最も目立つ細胞小器官(細胞内にあり様々な役割を果たす膜で囲まれたもの)です。核膜という二重の同心円状の膜に囲まれ、その内部にはDNA分子が存在します。ただし、この核膜を持つのは”真核細胞”と呼ばれる細胞に限り、”原核細胞”と呼ばれる細胞は、その内部に露出したDNA分子を保有しています。
【原核細胞】
顕微鏡で観察できる種々の細胞の内、細菌は最も簡単な構造をしており、不要なものを一切そぎ落とした生命の姿を見せてくれます。実際、細菌は核を始めとした細胞小器官を持っていません。彼らのように、核を持たない細胞を原核細胞と呼び、その細胞からなる生物を原核生物と言います。細菌と原核生物という二つの用語を同じ意味で用いることもあるようですが、原核生物という枠の中には古細菌というものも含まれており、それらは細菌とは関係が薄いため、別の名前で呼ばれています。
原核生物は球形か、桿状(棒のような形状)、らせん形をしています。細胞壁という頑丈な外皮を持つ物が多く、その下にある細胞膜が細胞質とDNAを含んだ一つの区画を包んでいます。
原核細胞は分裂によってどんどん増殖します。栄養の条件が良ければ多くは二十分ほどで二個に増え、十一時間ほどで八十億(地球の人口)を上回ります。このように増殖速度が速いうえ、有性生殖に似た方法で遺伝物質の断片を交換するのうりょくも有しています。それ故、進化のスピードが速く、新たな栄養源を利用する能力や、抗生物質体制を持った個体がすぐに現れます。
【真核細胞】
真核細胞の多くは一般的に原核細胞よりも大きくて精巧です。アメーバや酵母のように単細胞生物として生活するものもありますが、多くは植物、動物、菌類のように多細胞生物として存在します。これらのように、真核細胞によって構成される生物を真核生物と呼びます。
原核細胞との違いで最も大きいのは、DNAを格納する”核”を持っていることでしょう。また、その他の各種細胞小器官をもちます。葉緑体、という言葉は誰しもが耳にしたことがあるでしょう。その葉緑体もまた、真核細胞が持つ細胞小器官の一種なのです。
【細胞小器官】
さて、ここで細胞小器官についてお話ししたいのですが、すべてに関して詳しく書くと、時間も恐ろしくかかりますし、途方もない分量になってしまいますので、本当に軽く、数文で紹介する形にさせていただきます。
核:真核生物のDNAを格納しています。形は球形で、核膜という同心円状の二重膜を持ちます。核膜には核膜孔と呼ばれる穴が複数開いていて、そこから分子などが出入りします。
ミトコンドリア:内外二重の膜でできており、内膜は構造の内側に突き出し、クリステと呼ばれるひだを作ります。内膜に囲まれた部分はマトリックスと呼ばれ、主要な化学反応の場として使われます。
葉緑体:ミトコンドリアと同様、二重の膜を持ちます。内膜で囲まれた部分には、チラコイドと呼ばれる扁平な袋状の構造があり、そのチラコイドが複数積み重なった構造をグラナと呼びます。チラコイドで得られたエネルギーを用いて、チラコイド同士の間隙、ストロマにおいて有機物が合成されます。主に葉緑体は植物に見られる器官です。
リボソーム:この細胞小器官では、DNAの情報を読み取ったRNAからタンパク質が合成されます。
小胞体:一重の袋状、または管状の構造をしており、連なって細胞中に広がっています。タンパク質やカルシウムイオンなど、物質の移動に関わっています。
ゴルジ体:小胞体同様、一重の膜でできていて、扁平な袋構造と、周辺の小胞からなっています。小胞体などによって運ばれた物質を細胞の外へ出すなど、細胞内外の物質の移動に関与しています。分泌を行う細胞においてよく発達しています。
リソソーム:ゴルジ体から生じる一重膜の小胞で、古くなった細胞小器官や、外部から来た異物を取り込んで分解します。
【おわり】
はい。核とは何か、そして核がある細胞と無い細胞について簡単にお話ししました。後半は細胞小器官の話になっていましたが、真核細胞のお話をする以上避けられなかった印象です……。
このシリーズで参考にしている書籍は「Essential細胞生物学 第四版」というものです。大学の講義で教科書に使われることもあります。文章は海外の物の翻訳なので、読みにくさを感じることもありますが、見やすい図や写真が載っているので、ぜひご覧になることをお勧めします。
また、【細胞小器官】の説明文は第一学習社「高等学校 生物」の記載を参考にさせていただきました。Essential細胞生物学とは違い、簡潔にまとめられているので非常に使いやすい教科書になっています。
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Twitter:@Catkamome
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