書くことより、書かないことを決めてみる
前々回の最後に、横田さんのnoteに触れましたが、いろいろハッとさせられたので、もう少し書きます。
書籍編集者に必要な “アスピレーション(志、憧れ)” を解説した一文にこう書かれていて、読んだとき、“しないことを決める” って、いいなと、ピンときました。
たとえば、
「どんな本を作りたいか/どんな本は出さないのか」
(以下略)
---引用元 横田大樹さんのnote『編集者の勉強法』より---
ネガティブに考える癖を、ポジティブに活かす
ネガティブ思考の私は、前向きに発想するのはあまり得意ではないのです。
だから「どんなライターになりたい?」と考えるよりも、「どんなライターにはなろうとしない?」と考えたほうがスムーズ。
ネガティブな人はきっと、「どんなことを書く?」「どんなことを伝える?」と考えるよりも、「どんなことは書かない?」「どんなことは伝えない?」と、否定形で「なりたい自分」を発想したほうが、考えやすいことに気づきました。
私には否定形で会話をする悪癖もあります。最近、その裏には無意識の悪意があることを自覚したので、否定癖を直そうと意識し始めたところです。
でもそんな否定癖も、“しないことを決める” という発想法には、ポジティブに活かされるはず。ネガティブの良い使い道が見つかって、ちょっとホクホクした気分です。
しないことを決める発想法の肝所
一つ注意点があるとすれば、同じ否定形でも、“◯◯なことは書きたくない” とはずいぶん違います。
「〇〇はしたくない」「〇〇はやりたくない」と言うのは、
「今日、夕飯どうする?」と聞かれて、「中華の気分じゃない」「あの店には行きたくない」と答えるのに近い気がします。
こんなことを言われたらムッとするし、発展性がないですよね。
一方、おすすめの「〇〇はしない」「〇〇はやらない」と決める発想法は、「今日、夕飯どうする?」と聞かれて、「外食はしないで、僕が作ろうかな。」「作るのはやめて、あそこの店に行ってみない?」というのに近い気がします。
“ないない” 言うだけで終わるのではなく、「だからこうしよう」って意思や責任がくっついてくる。そこが、“しないことを決める” 発想法の肝所です。
このnoteで書かないこと
とりあえず、3つ。
(1)過去の自分を救わない文章は書かない
(2)今日の自分を救う文章は書かない
(3)エクスキューズは書かない
(1)は、第一回のnoteに書いたように「何かを書くためには、自分の過去と向き合う必要がある」と考えているからです。
(2)は、「今日のランチ、美味しかった。」みたいなことです。
ついこの間も薬局で、ノロウィルスにあたった人は何を摂取したらいいかと薬剤師さんに聞いたら、「へぇ〜!そうなんだ、知らなかった。」という答えが返ってきたので、noteに書こうとしてしまいましたが、(2)を決めていたので思いとどまりました。
(3)は、「それは違うって言う人もいると思いますけどね。」「嫌な思いをさせてしまったらごめんなさいね。」というような予防線です。発言に保険をかけるための言葉は使わない。現実世界ではすぐ保身に走ったり正当化したりしてしまうので、自戒をこめて。
あまりキメキメにすると、矛盾を恐れるあまりに思考が狭くなるので、3つぐらいがいいかも。そしてなにを3つにするかは、変わっていってもいいと思います。
あとがき
文章の方向性やコンセプトを考えるとき、普段からネガティブに考えてしまう人には、“しないことを決める” 発想法も向くのでは。これは “したくないことを言う” のとは違うと思っています。
もしもサポートしていただいたら、「書く」ための書籍代にします(´v`)。