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重圧と死闘を越え、横田悟がたどり着いた「5度目」の甲子園/高校野球ハイライト特別編・近江

「近江でまだ誰も成し遂げたことのない5季連続の甲子園。これを達成できる存在が横田だったんです」
多賀章仁監督の願いを一身に受け、近江の主将に就任した横田悟。しかし去年の秋、夢は彦根東に敗れて儚く消えた。
「早い段階で負けて、自分たちが弱いとわかった。これまでは先輩に優勝させてもらっていただけ」
横田が掲げたチームスローガンは「下克上」。あえてチャンピオンのプライドを捨て、一番下から這い上がる気持ちで厳しい冬を越えてきた。

それにしても、本当にしんどい役回りだったと思う。
先代ショートは土田龍空。
先代主将は山田陽翔。
滋賀大会5連覇という史上初の偉業をチームで目指しているはずなのに、1人だけ歴代のスーパープレイヤーと比べられ、周りから厳しい言葉を掛けられる。
センバツ開会式で晴れやかな表情を見せる彦根総合とは対照的に、表情を崩さず1人で準優勝旗を返還した姿には胸が締め付けられた。

ただ、出場にはカウントされない4度目の甲子園こそが、横田に力を与えたのかもしれない。春の県大会中に話を聞いたとき、その目は輝きを取り戻していた。
「甲子園はチームで来るべき場所だと再認識した。素晴らしさを経験させてもらったからこそ、チームをあの場所へ連れていく責任が自分にはある」
彦根市生まれで地元の星。山田陽翔の卒業後は地域や学校、OBの期待も背負ってきた。俊足堅守のつなぎ役だったショートが最後の夏は4番打者。全てを担う存在になっても、時にはバント、時には長打でチーム最多打点を叩き出す。
滋賀大会5連覇の中心は、間違いなく横田だった。

「打席でベンチの声を聞き、仲間の顔を見ると落ち着く。1人で戦っているわけじゃない。だからこそ、自分の代で甲子園に行きたかった」
夢とは少し違っても、監督の願いを実現し、周囲の期待に応え、宣言通りの下克上を果たした横田が向かう「5度目」の甲子園。今度はチーム全員で、開会式から存分に楽しんでほしい。

近江なら、横田悟なら大丈夫。滋賀学園との死闘に勝ったチームは、もう弱くなんかない。


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