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ミラクルの重圧に向き合う~高校野球ハイライト延長戦5日目・甲西

甲西高校のセカンド、内林君―。こんなアナウンスが流れれば、どうしても期待は大きくなる。「自分から弱音を吐いたことは一度もないが、重圧は間違いなくあったと思う」。東兼也監督は内林叶多主将の心情をおもんぱかった。

父の和彦さんは「ミラクル甲西」の二塁手。滋賀大会では11安打を放ち、ラッキーボーイとしても知られた。兄の瑞貴さんも近江の投手として甲子園に出場。進学先を迷っていた内林だが、父から「一緒の環境でうまくなろう」と声を掛けられ甲西を選んだ。

だが、甲子園は遠かった。去年の独自大会では自身のエラーをきっかけに逆転サヨナラ負け。「先輩の晴れ舞台を台無しにした」と後悔を持って主将に就任するも、チームは勝てない。「止めないとオーバーワークになる。本当にストイックに練習していた」(東監督)。父や兄と同じ舞台を夢見て、仲間を背中で引っ張った1年だった。

甲西はこの夏も初戦で敗れたが、「やり切ってくれた。感謝しかない」と、球場で見届けた和彦さんは次男を労った。「成長するために追い込んできた。高校野球は楽しかった」。最後の背番号は父と同じ4。歴史を知り、思いを背負い、もがき続けた内林は、紛れもない「ミラクル甲西」伝道師のひとりだ。

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