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つき合っていた人と別れる決心をした。

これはただの自分の感情の吐き出し口です。
前の記事と違いなんの参考にもならないので念のため。この記事に気づく人がいるかも不明だけれど。

タイトル通りに今現在つきあっている人にLINEで別れを告げた。
年を取ってから思い出話を出来る人が欲しい、と思ってマッチングアプリに登録したのは確か2021年の夏だったと思う。
彼との初めてのコンタクトは記憶が正しければ秋。音楽と本の趣味が合うからとメッセージを送ってきたのは彼からだった。
何度かのメッセージをやり取りしてからLINE交換をしてそちらに移行。
相手のLINE頻度が高すぎるとかジョークがいまいちよく分からないとか不満もあったけれど、とにかく趣味の合う音楽と小説とマンガの話を出来るのは楽しかった。すすめられたエッセイを読んで感動したりもした。

実際に会う事になったのは11月頃だったと思う。初対面の印象はちょっと中年太りしている極普通のひと、という感じ。バスの中で実は僕も障害者手帳を持っているんです、と手帳を見せられて驚いた。
私は会うまでにすでに自分は鬱病持ちのASDであることを告げていた。それでも引かれなかったのは彼も手帳持ちだったからなのかな、と思った。

はじめて会ってすぐに真剣に交際してくれないか、と告げられて少し迷いもあったけれど、了承した。期待と不安が入り混じって帰りは動悸が治まらなかった。
で、二回目に会ったとき。
ちょうどクリスマス付近で、お酒を用意してケーキを食べていろいろお喋りした。それ自体は楽しかったけれど、私はもしやこの雰囲気はやりたがる感じか……?と内心焦ってもいた。でもまだ二度しか会ってないしとも思っていた。
でも、彼はやっぱり予想通りしたい、と言ってきた。私はもう少しお互いを知ってからがいいと言った。
私は元々セックスというか、スキンシップ、身体的接触が苦手な人間なのだった。それをわかっていながらもそれでもこうしてアプリに登録したのは、それを我慢できると高を括っていたから。
でもいざそういう場面になるとやっぱり嫌悪感が勝った。何度か会って気心しれたあとならもう少しマシだったかもしれないけれど。
私は何度か「いや、自分はゆっくり関係を進めていきたいから無理です」と言った。でも相手は「わかるけど、でも仕事も忙してなかなか会えないから」としつこく引き下がった。
何度かの攻防のすえ、ようやく相手は引き下がってくれた。私はマッチングアプリで知り合ったんだから、まあこういう結果なのも当然だよな、と理解はしつつそれでもやっぱりうんざりしていた。

それからも彼からはLINEは普通に来て、でも私の気持ちはやっぱり性行為に拒否反応がある自分が異性と付き合うのは無理なんじゃないかと心は揺れていた。
彼からの何度かのどこかに出かけようという誘いも、また押し倒されるのが嫌で結局断り続けた。基本的にひとりの時間がないとストレスがマックスになる私には、彼からの毎日の長時間のLINEもかなりのストレスだった。
二時間すぐ既読がついて返信が来るのにはちょっとした恐怖も感じた。趣味は合っても感覚が合わないのではないかと考えだしてもいた。
私があまり返信をしなくなると、何か思う事があったのか、彼は突然「ごめん、クリスマスの時はあれは暴力だった。もうしない。傷つけて申し訳なかった」と謝罪をしてきた。
私は特にあのときのことに文句は言わなかったのだけれど、私の反応が遅くなったりして、何か感じることがあったゆえの二か月後の唐突な謝罪だったのかもしれない。

で、そのときも一度別れを切り出した。会って二回目に押し倒されたことよりも、そもそも私はセックスが嫌いだからだ。
なので「性行為が苦手です、他人に恋愛感情をもったことがありません、騙した形になってほんとうに申し訳ない、お互いのためにもならないので別れてましょう」と。
でも相手は「だったらそういうのしなければいいじゃん」と言ってきた。しなくていいから、そういうのなしで楽しくつきあっていこうと。
正直男性がこういう発想をするのに驚いたし、セックスなしの交際もありなのか、と目から鱗が落ちる思いだった。
相手が納得しているなら、つきあっていけるかもしれない、と一縷の望みをかけて結局は別れずまた交際を続けることになった。

ただ、彼は一度だけでいいから受け入れてくれたらうれしい、と言った。いやなら無理強いはしないけど、拒否されると受け入れられてないと感じてさみしいと。
私は一度だけで済むなら数時間だけ我慢すればいい、と思ってそれを了解した。彼はそれに対してありがとうと言った。
私としてはその一度でもうそういう行為は全部終わりだ、と思っていた。これからは世間一般の恋人同士のようにイチャイチャせずに交際できると。
でもそれはちょっと違った。アセクシャルといったが、やはり相手はマジョリティの異性に性欲を感じる人間なので、それからも最後まではしないからハグはしたい、手をつなぐくらいはいいよね、キスもしたい、そういう要求をしてきた。
困ったな、と内心わたしは思っていた。アセクシャルであることを受け入れてくれたのかと勘違いしていたが、そもそもマジョリティの人間には、そういう身体接触自体にまったく意味を見いだせない人間がいるのは心底では理解できないのかもしれない。
彼はどうやらただ性行為に私が慣れていないから、徐々に行為に慣れていけば大丈夫だとどこかで考えているようだった。

でも、それ以外にも問題はあった。鬱病持ちの私は毎日移行支援に通うだけで体力の限界でなかなか休日にデートが出来ない。相手もメンタル面だけでなく、以前おおきな手術をしたせいで身体にもちょっとした障害を抱えていて、仕事も忙してくあまり会えない日が続くことが多かった。
ただ私自身はひと月に二回会えれば十分だったのでそれには不満はなかった。

だんだんと相手の体調が悪化してきて、良くなる気配がない。ひと月に一度くらい「メンタルが限界だ。もし元気があったら家に来てほしい」というヘルプLINEが入った。ASDで鬱病持ちの自分にそんな元気はもちろんなく、何度も私も余裕がないから無理、ごめんねと返信した。
それでもそういうLINEは定期的にやってきた。
交際当初は知らなかったが、彼は手術は成功したが後遺症が酷く、体がずいぶんと痛むようだった。

冬になって彼の体調は大悪化した。正社員の仕事もやめることになった。もしかしたら借金を頼むこともあるかもしれない、でも体はよくなってきてまた仕事をはじめるから、これからもよろしく、とLINEが来た。
けれどだんだんと、私はこれは私のような障害持ちの人間が手に負えるような身体障害ではないのでは……?と不安に駆られてきた。
冬が終わればきっともっと元気になるから、と言っていたが彼はむしろ春になってますます体調が悪化してるようで、三月になってから会えないままきょうになった。

そして四月に「そういうの苦手だとわかってるけどイチャイチャしたい、お願い」とLINEがきた。
これでもう無理かもな、と正直思った。アセクシャルで性的欲求がないことを理解してくれたと思っていたが、やっぱりマジョリティの人にとってキスやセックスは必要なことなのだと。
我慢する方法を探しているけど難しいとも言っていた。

そしてあまりにも体調が悪くて立て続けに約束がキャンセルされて、そもそも今いったいどういう体の状態なのかと訊いてみたところ、明らかに私の手に負えないものだと悟った。
今はまだ大丈夫だけど、いつか胃ろうや気管切開をしないといけないかもしれない、声帯をうしなうかもしれない、あまりいい感じではないと。
それで、申し訳ないけれど、ああ、もう無理だな、と限界を感じた。

私はいろんな思い出作りがしたくて交際相手を求めていた。
でも彼とは結局近場のカフェや映画に行っただけで旅行にもいけないままだった。私が○○に行きたい、と言ったら「じゃあ予約しておくね」と言ってくれたのだが、何か月経過してもその話は進展せず行けず仕舞い。
クリスマスでのすれ違いも酷かった。24日は仕事だと言っていたので25日に小樽に行く予定だと思っていたら、相手は私に何も連絡せず24日に家に泊まってから小樽にいくものだと考えていた。いや、夜まで仕事だと言っていたのはそちらなのに、何で?となったし、25日にあったとき「イブときょう無理に休み取ったのにイブに会えなくてすごいショックだった」と言われて「何を言っているのだろう」となった。24日に休みを取ったことなど私は一切聞いていないのに。
そういったすれ違いが何度か続いた。土曜日に会うつもりでいたのに相手は日曜日だと思っていたとか。

クリスマスの小樽が大好きでそれを楽しみにしていた私は、それでかなり心が離れてしまったのはある。
そのうえで相手はもう介護が必要なのでは?というレベルで身体が悪いことがようやく分かった。

彼はよく「経済力は俺の方があるから山羊はそこまで頑張ってフルタイムで働こうとしなくてもいい」「何とかしてみせるからいつか一緒に暮そう、部屋はもちろん別々にするから」と言っていた。
でも正直いまの状態でそんな楽観的なことは思えない。彼は実際それなりの企業の正社員に就いていたけど、仕事も辞めてしまいこの先の病状の悪化でこれからの就職がどうなるかは分からない。能力はあるからそれでも私よりはるかに稼げるのは事実なのだろうけれど。

それよりもなによりも、私自身はもう性的な目で見られていることに耐えられそうもなかった。
理解してくれたから交際を続けたいと言ってくれたと思ったのに、やっぱりしたい、と言われたことは相当なショックだった。
しんどいから甘えたい、と言われるのも誰かに甘えたい気持ちを持ったことがない私にはかなりの負担だった。

それなりに楽しいこともあった。一人暮らしの彼の家のいいオーディオで聴く音楽は素敵だったし、本棚に私も持っている本と一緒の本が並んでいるのは素直にうれしかったし感激した。

でもこれから先、介護が必要になったりする可能性、それはなくともまた何度も何度も「苦手なのはわかるけどイチャイチャしたい、お願い」と言われる苦痛を思うと、もう無理だな、と思ってしまった。

相手の体調が悪いのでいつ直接会えるかも不明なので、申し訳ないと思いつつLINEで別れ話を送った。
二日未読だった。
せめて既読にしてください、と言ったらようやく既読になった。
彼の体調が良い日があれば直接会って本音で話し合おうと思っている。彼が別れたいと言ったことに対してどう思っているのかは、返信でなにも書いてこないので正直わからない。
心身が大変な状態なひとに対してこれは酷薄な仕打ちだとわかっている。
だけど、こうしてストレスを抱えながら、行きたい旅行もどこも行けずにあと何か月待てばいいのか?と思うと、やはり私には耐えられないし、そもそもこの先気管切開が必要になるかもしれない相手を支えるような体力も精神力も私にはどこにもない。
毎日短時間のパート労働をするだけで精一杯。

結局のところ私は他人の人生の重荷の一部を背負えるような人間ではないのだと悟った。
若い頃からずっとそれでもいつか好きになれる人が現れるかもしれない、と一縷の望みにかけていたが、やっぱりどうしても私には生来、恋愛感情は備わっていないのが真実のようだった。

前につきあっていた彼のことも、とても大切な人で出会えて良かったと思っているけれど、ついに恋愛感情はわかなかった。
恋しさや切なさ、もっと会いたいという気持ちなどは正直私には分からない。その彼とは別れて以降からの方が気楽に話せていい関係になれたと個人的には思っている。その彼にはほんとうに申し訳ないけれど。

せつなさと淋しさの違い問うきみに口づけをせり これはせつなさ(田中章義)

昔から大好きな短歌だ。
けれど私には永遠にこの気持ちは理解できないだろう。キスをそれなりに心地良いものだと感じたのは、あとにもさきにもいつかのクリスマスでのファーストキスだけだった。
あのときはまだ自分が性行為にここまで拒否反応を持つ人間だと自分でも知らなかった。
つきあってきた人たちには申し訳ないことをしたと思っている。同時にどうしてもマイノリティであることの疎外感もある。

これからはもう恋愛や性愛からは一切手を引こうと思う。もうマッチングアプリをすることもない。
あとは気の合う友人や仲間たちをもっと増やして、それで思い出を作っていきたい。
二年前の夏、姉一家の家族だんらんを目の当たりにして「自分には一生こうしたものは手に入らないのか」と愕然としてアプリを開始したが、今はもう恋愛に向かないと心底悟ったので、孤独にも耐えていく覚悟をしている。
それでも辛くなる日はどうしてもあるだろうけれど。



何も考えずにとにかく今の感情を綴っただけなので、時系列がおかしいなどあるかもしれないけれど、いま自分の感情をこうして文字にして少し心の整理がついた。
願わくば彼がちゃんと直接会って話してくれるといいのだけど。
大変な状態の相手を見捨てるような形になってしまうので、罵倒されるのも甘んじて受けるので。

終わりです。そのうち修正するかもしれないけど。

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