ホームポジションでなんでも打てる、スモールキーボード用汎用キーマップの提案
(ほぼ上記記事の焼き直しです)
前回、でかいキーボードでブラインドタッチなんかできるわけないんだからキーボードを小さくしようという記事を書きました。
キーが少ない分は、基本的にはレイヤーとデュアルロールでなんとかするわけですが、そうはいってもどう割り当てたらいいかわかんないよという人は多いと思います。
少ないキーが問題にならない、むしろ少ないほうが具合がよくなる小技というか、考え方は色々あります。
全部書くとなかなかの長文になるのですが、まあ使えるところだけ使ってもらえばいいでしょの気持ちで、全部書きます。
ちなみに、想定OSはWindows&Macです。
修飾キーは横に並べる
キーボードを小さくする大きな利点は、ホームポジションを維持することです。
しかし、いくらキーが少なくても、あっさりホームポジションが崩れてしまう原因となるのが、 修飾キー です。シフトとかコントロールとかです。
特にWindowsでは、左手の小指でCtrlキーを押さえ、人差し指でXやCやAを押している人は多いと思います。それだけでホームポジションは大きく崩れています。
Shift+Ctrl+ナントカなんてもうめちゃくちゃです。これを解決しない限り、キーボードを小さくしてもホームポジションを維持することはできません。
どうするか。四本のフィンガー(親指以外の指)で同時押しできるように、 横に並べればいいのです。
Windowsの場合だと、Windowsキーはこの中に入れなくていいと思いますね。僕は親指派です。
これを、デュアルロールでアルファベットキーに重ねてしまいます。
基本的に手前側のほうがホールドしやすいので、ホームポジションか手前の行がよいでしょう。
もちろん、片手側だけにあっても「そこのアルファベット」との組み合わせができないので、両側に同じように割り当てます。
これなら、ホームポジションを維持したまま、すべての修飾キー組み合わせを利用できます。
レイヤーキーは親指に割り当てる
さらに、修飾キーとレイヤーを同時に押さえなければならない場合もあるでしょう。Shift+矢印キーで文字選択するとか。
修飾キーを横に並べる場合、豊臣秀吉か岩本虎眼でもない限り、それだけでフィンガーを全部使ってしまいます。なので当然、レイヤー切り替えは親指に割り当てることになります。
親指に割り当てるもう一つの利点は、同手のフィンガーがすべて自由になることです。そのため、一枚のレイヤーを隅々まで使いやすくなります。
後述しますが、初期レイヤーを含めて4枚もあれば、かなり贅沢な使い方ができます。
ここからは、例示するレイアウトは基本的にWindows想定にします。
Ctrl/Cmdは左手の親指に割り当てる
しかしこれだと、片手でコピペができません。
レイヤーによく使うショートカットを置いておく手もあるのですが、僕は断然、左手親指にCtrl/Cmdを割り当てることを推奨します。
これも後述しますが、これなら記号の「群れ」を置く場所を圧迫することなく、左手一本で押したいショートカットを隈なく網羅できるからです。
なので、レイヤーキーを3つにするなら、3つ目は右手親指がいいと思いますね。
修飾キーとレイヤーキーの押し順に気をつける
結論としては修飾キーが先というだけなのですが、説明するとややこしいので別記事にしました。
記号はデフォルトレイヤーから追い出す
アルファベットは全部で26あり、これを一般的なキーボードと同じに並べるには、3行10列が必要になります。両手に振り分ければ5列ですね。
JIS配列からこの部分を切り出すと、以下のようになります。
アルファベットと句読点(カンマピリオド)はいくらなんでも必須と考えるなら、 ; と / が浮いていますね。
この2つを、このまんまここに置いている人は非常に多いです。でも、実際によく使う人はあまりいないのではないでしょうか。
それと、日本語で長音符(伸ばし棒)を入力するために、 - (ハイフン)をデフォルトレイヤーに置いている人も多いです。
; / - の3つを、僕は 30%キーボードの三悪人 と呼んでいます。こいつらを排除できれば、一等地のキーを3つも空けられるのです。
; / を排除した場合にどう割り当てるかは一旦おいておいて、 - を使わずに長音符を入力する方法の話をしましょう。
長音符はLかXで入力する
長音符をどうするかという話は、かな入力の話とも絡んでくるのですが、僕はかな入力については詳しくないので、とりあえずローマ字入力前提の話をします。
長音符を入力するのに、別に - は要りません。こんなのは日本語入力の問題なのだから、IMEで解決すればいいのです。
すべてのアルファベットは、一般的な日本語入力システムのローマ字入力においてなんらかの役割があります。しかし、代替可能なアルファベットもいくつかあります。
例えば、小文字の短縮入力にしか使われない文字として、 c f q があります。これらは、ローマ字入力使えなくなったとしても、一応すべての平仮名を入力できるわけです。
そして、 全く同じ機能を持つ文字 が、小文字の単体入力に使われる l と x です。(厳密には、 l は r の代替としても使える場合が多いですが)
l と x は、どちらかがなくなったとしても全く機能を損ないません。よって、どちらかを長音符にしてしまえばいい。
どちらかがより押しやすいかといえば、間違いなく l でしょう。個人的には、小文字は短縮入力などの回避策が多いので、長音符を優先して l に割り当てることを推奨しています。
じゃあ具体的にどうすればできるのかというと、まずIMEをGoogle日本語入力にします。
設定画面のローマ字テーブルを開き、 l 絡みのものをすべて削除します。
それから、新規エントリーとして、入力が l 、出力が ー のエントリーを作成します。
これで l で長音符を入力できるようになり、 - をデフォルトレイヤーに置く必要もなくなります。
記号は意味でまとめる
デフォルトレイヤーから記号を排除することで、記号を意味でまとめることが簡単になります。
例えば、カッコの類は基本的にペアで使われます。 {}<> ですね。( <> については、不等号という捉え方もありますが)
他にも、ペアになっている記号はあります。 ;: とか、 '" とか、!? とか。文章入力の都合を考えたら、!と?が左上と右下にあるの、意味わかんないですよね。
他にも、四則演算記号の -+/* に = なんかは、まとまっていたほうが使いやすくないですか。矢印キーとHome,End,PageDown,PageUpあたりも、一緒に使いますよね。
じゃあまとめましょう。
括弧系とカーソル操作系。
計算記号と引用、コロン。
片手3行5列でも、レイヤーが3枚もあれば、このくらい贅沢な使い方はできます。通常はShiftとの組み合わせで入力する記号も、直接どこかのレイヤーに割り当てておけば、レイヤーキー1つだけで入力できます。
いちいちレイヤーキーとシフトを同時押しするの、めんどくさいじゃないですか。さらに他の修飾キーと同時押しする場合でも、フィンガー横並びにしておけば簡単です。
じゃあ、RemapなりVialなりで具体的にどう割り当てればこうなるかというと、パソコン側で日本語キーボードと英語キーボードのどっちの扱いにするかによって変わります。
Vialを使い、Windowsで日本語キーボードにする場合の例が以下のものです。
!と?はカンマピリオドと重ねる
技術的にもう少しだけ深堀りした話になります。
,. のシフトが <> で、 !? の入力がシフト 1/ なの、意味わかんないですよね。超使いづらい。
文章入力で !? を多用する場合、まあどこかのレイヤーに並べて置いてもいいのですが、 、。 のシフトで入力できるのがベストだと思います。これは、 <> をカッコ一族としてひとまとめにしたときに、重複をなくすためでもあります。
これを実現する方法はけっこういろいろありますが、VialでKey Overridesを使うのが一番カンタンだと思います。(こういうことができるから僕はVial推し)
具体的にはこうです。
この例では、「タップでカンマ・ホールドでCtrl」のデュアルロールキーを、「シフトをホールドしているときだけ」「1に上書き」しています。シフトはそのまま有効なので、結果的に「!」が入力されます。
これで、アルファベット+カンマピリオドの中に、長音符も!?も入ったことになります。
特殊キーをデフォルトレイヤーに割り当てる
こうして記号を切り詰めたので、デフォルトレイヤーにたっぷり特殊キーを入れることができます。
個人的に、以下の7つはデフォルトレイヤーに必ず欲しいキーです。
Enter(Return)
Space
Backspace
Tab
Escape
無変換(英数)
かな
Deleteは欲しいとか、変換も欲しいとか、無変換/かなは半角全角でいいとか、Windowsキー単打使うとか、色々意見はあるでしょうが、8枠あって足りないことはあんまりないんじゃないかと思います。
片手3行5列の30キーに、親指キー片手3の6を加えて、合計36とすれば8枠です。
僕の好みでWindows用に配列するとこんな感じ。
フルキーボードの全キーを無理なく入力するのに必要なキー数 は、 36キー だというのが僕の意見です。
数字は行とテンキーを両方用意する
これ、やったほうがいいと思うんですよね。
それなりにブラインドタッチができる人は、文章やパスワードなどで数字混じりの文字列を打つとき、テンキーがあったとしても、奥の数字行を利用する場合が多いのではないでしょうか。テンキー遠いですからね。
かといって、数字のみを入力する場合は、数字行のみで済ませるのはキツいでしょう。レイヤーキーをホールドしておく必要があるなら尚更です。
だったら、両方あったらいいじゃないですか。
これ、やってみると楽ですよ。
大量に数字を入力する場合は独立テンキーかトグルレイヤー
エクセル仕事などでめちゃくちゃ大量に数字を入力する必要がある場合は、割り切って、メインキーボード以外にテンキーパッドを用意するのもいい手です。
……が、その前に、トグルレイヤーを試しておくのもいいと思います。
最も一般的なレイヤー切り替えの方法は、 特定のキーをホールドしている間 切り替えるというものです。これを、MO(momentarily activates layer)と呼びます。
他にも色々切り替え方法がありまして、 再び切り替え操作をするまで永続的に切り替える 方法を、TG(toggles layer)と呼びます。
数字の他、エクセルで使うキーだけを詰め込んだレイヤーを作っておき、そこにトグルできるようにしておけば、一台でテンキーパッドも兼ねることができます。
Corne V4のまんなかキーの使い方としては、けっこうおすすめです。
ホームポジションでなんでも打てる、スモールキーボード用汎用キーマップの提案
以上を踏まえて、わりと誰でも簡単に使えそうなキーマップを提案します。
真ん中がタップ、下がホールド、右がシフトで入力される内容。
特殊キーの配置については、個人差が大きいと思うので、好みに合わせて変えていただければ。
レイヤー3がごっそり空いているので、メディアキーとかCalcとか必要に応じて。
Mac用にする場合、修飾キーを全部横並びにして、存在しないキーを削除。PrintScreenの代わりに Shift Cmd 3 を使ったりするので、よく使うようであればレイヤーのどこかに置くのがいいと思います。
できるとは言っても、レイヤーキーと修飾キーの同時押しはめんどくさいですから。
たぶん、文章入力でもプログラミングでも、だいたいなんでもこなせると思います。
どーーーーしてもこの記号はデフォルトレイヤーに欲しいといった特殊な用途がある場合は、6列にして小指外側に記号を追加するのがいいと思います。
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