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タイピングと物語の二極分析(8):キー部忘年会におけるうで体・あし体アンケート

上記記事の続編。
キー部か天キーでアンケート取りたいネーと言いつつ僕がグズグズしていたので大岡さんが一人でやってくれました。すみません。ありがとうございます。

で、今回キー部忘年会において、うで体・あし体の違いによってタイピングやキーボードに関する傾向が出るか確認しようというアンケートが実施された。その結果と大岡さんの解釈は以下の記事に。

解答用紙の画像だけ引用させていただく。

解答用紙1
回島用紙2

この結果をスプレッドシートにまとめた。自分でなんかしてみたい方はどうぞ。

本記事ではより仔細に各設問の回答傾向を確認しつつ、全体的な傾向について解釈してみる。

設問ごとの傾向

そもそも濃いめのキーボード変態が集まる場で実施したので恐ろしく母集団が偏っており、いくつか異常な結果を叩き出している設問がある。そもそもあし体のほうが多い時点でちょっとおかしい。
しかし身体特性による傾向が見て取れる設問もある。

手首はどこにつける?

全体的にベタ付けが多いが、あし体は全員がベタ付けなのに対し、ヘリ派・浮かせる派はうで体のみ。
手先が比較的不安定な状態に耐えられるのはうで体のみとも解釈できる。

テンティング

母集団の偏りが如実に現れた設問1。しないとすごくするが同数でする派が多数なのは異常値でしょ
しかし、うで体のほうがよりテンティングを好む傾向は読み取れる。6割バチクソテンティングが異常すぎてうける。これは従来観測されていた僕と大岡さんの傾向と一致

左右分割

母集団の偏りが如実に現れた設問2。やばすぎワロタ。変態の集団過ぎて設問が無効化された

スイッチのストローク

ちょっと設問がプレトラベルの話なのかフルトラベルの話なのかわかりにくくなってしまっているが、フルトラベルの話だった模様。要するにCherry MX互換とロープロファイルどっちが好きかっていう
これもノーマル派が圧倒的で傾向という傾向は見いだせないが、ショートが2:2なら、うで体はショート好みと強弁できなくはないだろう。

スイッチのタイプ

母集団の(略)3。タクタイル優勢て。
遊舎工房やTalpkeyboardが公表しているスイッチ販売数ランキングを見ると、キーボードファンコミュニティ内では近年リニアの人気が圧倒的だが、それを裏切る結果となった。

より広範な母集団ではリニアが圧倒的に人気であると考えると、あし体のタクタイル嗜好を示す結果とはいえよう。
うで体はバラバラで、クリッキーがうで体にしかいないことが興味深い。明確なフィードバックを求める嗜好だろうか、あるいはうるさいのが好きなのだろうか。

スイッチの重さ

全体的にノーマルが普通に優勢の中、うで体は軽い方、あし体は重い方に偏っている。
従前のサンプルだった僕と大岡さんがどちらも軽め嗜好だったため傾向が掴めずにいたが、うで体が軽め嗜好、あし体は重め嗜好はありそうだ。
また、うで体の若干のショート嗜好傾向と合わせて考えると、うで体には負荷が軽く繊細なスイッチを求める傾向は読み取れる。

打鍵法

ここもそれなり傾向が出たが、反面、前設問との矛盾を感じるところ。
うで体が突き刺し打ち傾向を示す一方、あし体はバラバラ。両者の比較で言えば、うで体は突き刺し打ち、あし体は撫で打ち傾向ということになろう。
これまた、僕と大岡さんがどちらも撫で打ち寄りだったため傾向が掴めずにいた部分で、恐らくそうであろうと推測されていた結果が出たが、うで体の低反発嗜好と合わせるとちょっと理解が難しい。撫で打ちは軽いスイッチ、突き刺し打ちは重いスイッチに向くはずだからだ。

その他のうちうで体は僕(踏み打ち)だが、もうひとりは誰なのだろう。

ホールドのときに使う筋肉

要するに、指を曲げて手前に引っ掛けるように押さえるか、指を伸ばして突き放すように押さえるかの違いなのだが、ちょっとわかりづらかったか、あし体が一名回答漏れとなっている。
これははっきりと、うで体が屈筋型、あし体が伸筋型という結果だ。極めてわかりやすく、前設問の打鍵法の傾向、僕と大岡さんの傾向とも一致する。信用してよさそうな結果だ。

足のつけ方

あし体がベタ足、うで体が浮かせる派の明確な傾向。これは本家の判定法にも含まれているくらいなので、当然の結果というか、前提条件みたいなものだ。

脳内発声 (読み・書き)

別設問だが傾向は同じなのでまとめていこう。脳内発声ある派が多いのは一般的な傾向だが、ない派は圧倒的にあし体だ。
非常に興味深く、僕と大岡さんの傾向とも一致する。身体特性の違いが脳や意識のありようとも相関しているという一事例だ。

使用配列

この年末年始にQWERTYをやめよう! 日頃会社の配列に縛られている我々社会人が! その毒を抜いて依存症を脱却する機会を無駄にしてはならない!(アジ演説)

これはどういうことなのか?

まず、異常母集団から得られた結果だということは改めて断ったうえで

どちらかというと、うで体のほうが、傾向のはっきりした設問が多いといえるだろう。

  • 手首はベタ付けでなくても良い

  • テンティングを好む

  • 軽いスイッチを好む

  • 突き刺し打ちを好む

  • 屈曲ホールドを好む

  • 脳内発声がある

対して、あし体は回答のばらつきが多く、傾向がつかみにくい。

  • タクタイルを好む

  • 伸展ホールドを好む

  • 脳内発声がない

このうち、「ホールドの屈曲・伸展」「脳内発声の有無」については、両者に明確かつ対象的な傾向が示されており、うで体・あし体の双極性を示している可能性が高い。
ホールドの屈曲・伸展については、キーボードやタイピングと直結する話であり、これが双極性を示すことは有意義な知見と言えるだろう。

また、脳内発声の有無については、ローマ字入力・かな入力などの入力メソッドの選定・作成には役立ちそうな気がする。

で、なぜあし体がバラバラなのかというと、そもそも設問の内容がキーボードとタイピング、つまり手先の話に偏っているからで、大岡さんの表現では

うで体は手や頭に関する好みが明確で、
あし体は頭や腕はバラバラで、体勢固定が共通、
のような感じ。

という感じ。

これは言いようによっては、あし体はキーボードに対するこだわりが薄いなんてことになりかねないのだが、忘れてはならないのは、これはキーボードの沼の底に近いところで得られた結果であり、少数派のはずのあし体が、そこでは多数派になっていたということだ。

これは想像の域を出ない仮説だが、「足主導」のあし体は、「手に体を合わせる」ことができないゆえに、手を制約するキーボード(や入力メソッド)へのこだわりが強くなりがちなのではないか?
逆に「手主導」のうで体は、「手に体を合わせる」ことができるゆえに、規格品のキーボードでも使いこなせる場合が多く、しかしガマンならない場合は細かいところまで譲らないのではないか?

こう考えてみると、「独自のキーボードにこだわる人」にあし体の割合が多く、かつ、うで体のほうが「こだわり方に明確な指向性がある」ことに説明がつくのではないだろうか。

また、なまじ手に体を合わせられるうで体は、無理のある姿勢・動作で身体全体を壊すリスクが高いという考え方もできる。キーボードとは、関節技の一種なのだ。

キーボードで体を壊すうで体、
キーボードでやる気を無くすあし体、
こういう言い方もできるかもしれない。

私どもキーボードのオタクはこうした問題に日々立ち向かっております。
来年には入力メソッド修行レポートとか上げると思いますので、またよろしくお願いいたします。

よいお年を

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