Kailh x Lofree Ghostは「重いスイッチ」だった
(カバー画像は測定中の写真)
軸の秤初体験
速報です。
キーケットで軸の秤を初めて使わせてもらいました。
軸の秤について詳しくは、作者のromlyさんの記事をご参照ください。
僕は今回これを非常に楽しみにしていました。というのも、Lofree Ghostの打鍵感が非常に重く感じるのを実測したかったからです。
この場合「重い」というのは、バネの反発力が強く、押し込むのに強い力が必要であることをいいます。
元々Ghostの作動フォ−ス(スイッチを作動させるのに必要な力)は50gに設定されており、業界標準といえる45gよりも重いです。
ただし、それは工場出荷時に入っているバネの数値にすぎず、バネを入れ替えれば変わります。(まあ今軽いバネを手に入れるのはそこそこ大変なのですが)
そういう意味では、重いバネ・軽いバネはあっても、重いスイッチ・軽いスイッチというものは無いともいえます。普通は、本来は。
「重いスイッチ」というものがあるとすれば、「同じバネを入れた他のスイッチより重くなる」ということを指すでしょう。
で、全く同じバネ(22mm37g2ステージを二分割したもの)を入れたGhostとNuphy Cowberryの測定結果がこちら。作動点はどちらも1.2mmのスペックです。
作動点が正確にとれていませんが、スペック上の作動点である1.2mmでの圧力を比較すると、
Ghostが約30g
Cowberryが約20g
であることがわかります。
全然違うじゃねえかあああああああああああああああああ!!!!!(二回目)
同じバネで反発力が変わる理由
といっても、これには想定される要因があります。スイッチ内部、バネが収まっている空間の長さです。
バネは普通、少し圧縮された状態でスイッチに収まっています。でなければ、初期状態の反発力が0となり、スイッチがキーキャップの自重で沈んでしまいますし、ちょっと触れただけで反応してしまいます。
これは僕がいれているバネでも同じことで、初期状態で少し圧縮されていることは、スイッチを開ける(スナップフィットを外す)とトップハウジングが跳ね上がることからも確認できます。
つまり、どちらのスイッチも、内部の長さは11mmよりは短いわけですね。
この初期圧縮量が違えば、同じバネでも実際の反発力は変わります。例えばバネの初期長さが5mmと8mmのスイッチを比較すれば、前者は後者より3mm多く圧縮しているわけですから、そのぶん反発力が強くなります。
スペックではGhostのフルトラベルは2.8mmであり、Cowberryの3.0mmを下回っています。厳密には、これはバネの初期長さとイコールではないのですが、Ghostのほうが初期圧縮量が大きい可能性が高いとはいえます。
いえます、が……いくらなんでも20gが30gになるほどの差があるとは思えません。MX互換スイッチと比べてんじゃないんだから。
「なんとなく重たい感じ」については、他にもステムとハウジングのスレという要因があります。
Ghostは円柱状のステムと筒状のハウジングが密着している設計なので、めっっっちゃくっちゃ擦れます。滑るから不愉快ではないしむしろ気持ちいいけれど、余分なエネルギーを必要とすることは間違いない。
といっても、それは「摺動」に伴う摩擦力であって、軸の秤が計測している「ある深さでの反発力」とは無関係です。だからこの計測結果を説明できるものではありません。
正直言ってわけがわかりません。しかし現実として、Ghostは確かに「重いスイッチ」である、ということになるようです。
補足
やごろもブースのやごろもさんもGhostを測定されていて、結果を見せてもらったのですが、そちらでは動作力20gくらいでした。
確かやごろもさんはKailh Choc V1の20gバネを使っていて、かつスペーサーが入っていて初期圧縮量は増えているはず。
この計測結果の差も説明がつかないところです。ああ、手元に軸の秤欲しいなあ。はよアップデート版売って♥とはおねだりしておきましたが。
取材に訪れていたグリーンキーズの河村さんから伺ったお話では、Ghostのユーザーからは「重い」という声が多いようで、軽量版のラインナップも検討はされているようです。
これはほとんどが工場出荷時のバネでの話でしょうが、他のスイッチと比べて重く感じることまでは、多くのユーザーが感じるところなのだと思います。河村さんも、疲れるので長時間は使えないのだとか。
それ、バネ軽くしてもあんま解消されないと思うんだよなあ。
そんなわけで、超軽いスイッチ派の僕としてはGhostを諦め気味。この重さはちょっと堪え難い。
「味」は圧倒的にいいし、静かだし、もうこれで決まりだと思ったのになあ……
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