雑談回と化したキー部7%レポート
行ってきましたキー部7%。今回も楽しかった!
色々あって雑談回と化したため、普段交流のない方とも興味深い話ができましたので、取り急ぎ雑談レポートをまとめます。
Lofree Ghostは超静かだという話
ふく(@yfuku_)さんと喋ったり、あと配信動画でもアピールしましたが(へへ……)Kailh x Lofree Ghostは、実は超静かなんです。
Lofree Flowを試したり、打鍵動画をご覧になった方は、「いい音」という印象はあっても、ものすごく静かという印象は持たないと思う。
今回持ち込んだのはCorne Light v2のボトムプレートなし、基板にゴム足直付けというビルドなのだが、これだと底打ちしても全然音がしない。サイレントスイッチ並だ。
しかし、ケースやボトムプレートがあると、途端に底打ち音が響き始める。これはふくさんのwings42 v3 beta+フォームや、サリチル酸(@Salicylic_acid3)さんのO51Goでも同様で、つまりFlowだけの問題ではない。
ボトムハウジングにシリコン等の吸音材が入っているわけではないので、底打ちすると衝撃自体は発生しているのだろう。
これをボトムプレートやケースで拾うと、まあなかなか心地よい打鍵音になるわけだが、モバイル用途とかで、音自体をできるだけ出したくない場合は厄介だ。
基板剥き出しにせずに余計な音を出さないようにするには、基板の下にミドルプレートを入れて、滑り止めを兼ねるウレタンシートで底面を塞ぐのがいいと思う。
追記
ふくさんが、Ghostの断面(!)動作動画を投稿してくださった。
これを見ると、ぶっといステムがしこたまボトムハウジングをぶっ叩いているのがわかる。そりゃ底打ち響くわ。
これを静音化するとなると、「スイッチと基板の間」で緩衝するのがよさそうに思える。Durock スイッチ用クッションフォーム.とかかな。
ビビリフクロウ( @bbrfkr )さんの打鍵感サンプルケース
スイッチとキーキャップを統一し、ケースの構造による違いのみを比較できるという大変興味深い試み。
僕の好みは2だった。ブラインドで2を選んだ上で上記のスペックを確認し、ビビリフクロウさんと話したことで自分の求める条件が整理できた。
端的にまとめると、「ショックは要らないがフィードバックは要る」だ。
まず5は露骨に振動が多く、安っぽいしノイズを感じる。ただし3Dプリントケースの充填率を上げることでウェイトの有無による差は小さくなるのではないかとビビリフクロウさんはおっしゃっていた。
フォームの有無でいうと、フォーム無しは底打ち時のショックが大きい。これは指への負担になるし、フィードバックとしてはノイズなのでなくていい。
トップマウントとガスケットマウントの違いで言うと、ガスケットマウントはショックがより小さいが、フィードバックがボヤける。「今打った」という感覚が微妙に曖昧になる。明確なフィードバックを求める上ではガスケットは不要な可能性がある。
ただしこれも、ガスケットの厚みを減らすことでショック吸収効果のみを得られるかもしれないという話だった。ここは要検証だろう。
スイッチは少部数の入手も交換も用意であり、よって同条件で比較しやすい。
しかし、同条件でケースを比較するためには、まずケースを作れなければならないし、作れたとしても試作コストが高い。このような機会がなければ比較は困難であり、大変有意義だった。
今回の個人的MVPです。ビビリフクロウさん、ありがとうございました。
EdoBall(@ball_edo)さんのトラックボール・パームレスト着脱式キーボード
なるほどその手があったか!
パームレストにタッチセンサーが仕込まれており、手を置いたり浮かせたりすることでレイヤーを切り替えることができる。具体的には、
手を置く:トラックボールレイヤー
キーにマウスボタンを割り当て
ボールにカーソル移動を割り当て
手を放す:タイピングレイヤー
キーに文字キーを割り当て
ボール操作にスクロールを割り当て
トラックボールとして使う時は手を置く、タイピングする時は手を浮かせるという使い方を前提としている。自然な姿勢の違いを検出してレイヤーを切り替えているわけだ。(ついでにカーソル操作とスクロールをボール一つでできるようにしている)
僕はタイピングする時も手を浮かせることはないので、これをそのまんま使うことはできないのだが、「タッチセンサーで姿勢の違いを検出する」というアイデアは大変興味深く、話しながらめちゃくちゃ考え込んでしまった。どうもすみませんでした。
そもそも僕はフィンガートラックボール派なので、キーボードに組み込むのにはどうやっても物理的な困難があるのだが、カーソル操作とスクロールの切り替え方法としてはかなり有望に思った。
まあスクロールリングが最強なんだけど、個人では部品調達に困難が伴う。
cocot36plusに採用されているロータリーエンコーダも、クリック感が強くて自由回転しないタイプなので、orbitのあの感じでは仕えなくて、大幅にスクロールするにはけっこう疲れる。
その点、SlimBladeのようなボールスクロールは自由回転できるので長距離に強い。水平回転を検出すればファームウェアだけで実現できることはわかっているが、これはこれで気持ちよく回すにはボールホルダーの設計がシビアだし、斜めに回ってしまうとカーソルがずれたりする。
結局、レイヤー切り替えしてしまうのがわかりやすいとなるが、キーをホールドしながらというのも疲れる。しかし、タッチセンサーならかなり自然な動きでできそうな気がする。
まあ、まずはKiCadとQMKを覚えるところからですが……
kye morrisさんのAKIRA BALL
個人的な興味はFR4板ばねによるボタンカバー。成程その手があったかシリーズ。
マウスやトラックボールの、マイクロスイッチの上に乗っているボタンカバーは、プラスチックの立体的な板ばねになっている。単一のスイッチで広範囲をカバーできるわけだ。
しかし、これを自前で作るとなると、設計にも生産にも困難を伴う。3Dプリントでは強度的にも厳しい。オープンソースプロジェクトのPloopyでも、販売されている公式モデルは板ばね式ではなく押しボタンだ。
しかし、立体形状を諦めるなら、それこそ普通の平面板ばねでいいわけだ。これなら2D CADで作れて、生産も安価にできる。
立体形状を諦めたら使いづらくないか?というと、まあ普通はそうだと思う。ただ僕の場合、ERGORESTで腕を浮かせているので(ERGORESTと「縦テンティング」で最高に楽なタイピング|もりやん)上から押せればいい。むしろ曲面形状だと遠くなってしまうだけだ。
平面板ばねなら、高さ調整も簡単にできる。ことERGOREST用トラックボールという観点からは、平面板ばねのボタンカバーが解になるのではないか。
AKIRA BALLのボタンカバーは1.6mmFR4プレートで作られており、この大きさだとかなり固い。morrisさんも0.8mmくらいがいいのではないかとおっしゃっていた。
あとはアクリル。遊舎工房のXアカウントでアクリルプレートにカットラインを入れて曲げる動画が投稿されていたが、これも面白そう。
そういえばぴろりどんさんのfloes46がアクリルスプリングプレートマウントということだったが、詳しい話を聞きそこねた。
あと、スクロールリングがの滑り止めが一様なパターンではなくなっている。これはAKIRAリスペクトのデザインらしいのだが、一様なパターンよりもスクロール量が把握しやすい気がした。実用上も採用の余地があるかもしれない。
やごろも(@yagorom0)さんの「yagoBoard」
Lofree Ghostに金属スペーサーを入れてショートストローク化していた。この件でロープロファイルスピードスイッチについて色々。
Lofree Ghostは非常に、ものすごくよいスイッチなのだが、いくつか問題もある。その一つが、「バネの反発力以上に重く感じる」ということだ。
これは恐らく、自己潤滑素材であるPOMを全面的に採用したことで精度を極限まで攻め、ステムがこすれながら動くことによるものだと思う。
そのため横ブレが少ない(直進性が高い)というメリットがあり、それでいてスレ感はまったく感じないのだが、抵抗は増えているのではないだろうか。
これは摺動して初めて生じるので、動き始めるのに必要な押下圧は変わらない。極限までスプリングを軽くしようとする場合、「指が沈み込まない最低限度の反発力」も変わらない。
つまり、極限までスプリングの反発力を下げた時に、アクチュエーションに必要なエネルギーが大きいということになる。(しかもこれは、バネを軽くするほど割合として大きくなる)
こう考えると、対抗馬であるGLP2.0 CowBerryを採用する価値も出てくる。
これから実験してみないとわからない点もあるし、ハウジング構造の違いで同じスプリングでの初期圧縮も変わるので、同条件での比較自体不可能だが。低荷重になるほど、実際にはCowBerryの方が軽く打てるのではないだろうか。
でもなー、Ghost超静かなんだよね。CowBerryを静音化modすればいいのかもだけど、めんどくさい……
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