『雨天炎天』村上春樹
一冊の中で一番好きだった一節・おそろしくぼろぼろのラーソを着て、それこそ腰を荒縄で縛って、ずた袋みたいなのをかついだ、ダイハードな、いわば武闘派の僧侶もいる。これは僧侶というよりは、はっきりと言って乞食に近いように見える。そうかと思うと、隣には皴ひとつない、クリーニングから今朝返ってきたばかりみたいなラーソをピシッと着込んで、アタッシェ・ケースをさげ、サングラスをかけたトレンディーなヤッピー型の僧侶もいる。そしてその両者を両極端として、間に様々な格好をした僧侶がグラデーション