「狂武蔵」坂口拓の圧巻の斬りザマだけ見とけ!(感想・ネタバレあり)
”77分ワンカット”と”山崎賢人出演”で話題の「狂武蔵」を鑑賞してきた。9/10が武蔵野館の最終上映日とのことだったので駆け込んだのだが、どうやら1週間上映延長になったくらい好評のようだ。
もともと園子温が別作品の撮ろうとしてたところ企画が頓挫しちゃって紆余曲折あって9年かかって「狂武蔵」の上映がかなったそうな。
◆一言でいうと
ストーリーもクソもねえからとにかく坂口拓だけ見てろ!
◆ワンカットは目的じゃねえ、手段だ
鑑賞し初めて序盤は、正直クソつまらないものを見せつけられている感覚に陥った。だって、たいしたストーリーないし、ザコい武士をひたすら坂口拓が斬ってるだけだし、ワンカットいうても撮り方に全然目新しさがないんだもん。ワンカットって、見ている側からするとどうしても撮り手の存在を意識しちゃうしな。
「うおー77分間もこれ見せつけられるのか―」ってまさに寝ようとしたんだけど、見進めるにあたって、心改め見方を一新する。
これは、ストーリーとワンカットを楽しむものではない!
坂口拓の超一流アクションを堪能するものなのだ!!
そう、きっと本作は日本が誇るアクション俳優坂口拓がアクション俳優として超一流であることを証明するための映画なのだ。
ワンカットは彼の体力、剣術、体術、表情をあますところなく映し出す手段でしかない。そう思った瞬間この映画を爆裂に面白く感じるようになった。
◆低予算ならではの突っ込みどころが愛おしい
低予算映画よろしく突っ込みどころ満載なのもよかった。
まずね、坂口拓がとにかく人斬りまくるんだけど、血はほぼ全部後付けのCGだから、地面も服も全く汚れないんだよね。だからモブ武士たち、のべ人数は400人くらいだけど、実際は50人くらいちゃうかな。
あと武士たち、必ず1人ずつ切りかかってきて集団で襲ってこないし、後ろからも切りかかってこないwチ、チープw
豪雨のシーンのシャワー感がわかりやすすぎるのもゲラゲラポイントや。
けど、今回においてはそんな突っ込みどころがいつも以上に愛おしい。だって冒頭の通りこれはストーリー映画じゃなくて、坂口拓を坂口拓たらしめる映画なのだから。
チープな演出も気にならないくらい坂口拓のアクションは最高だった。
◆クライマックスはもはやゾンビ映画だね
一番手に力いれて真剣に見た&とはいえ笑ったのは、坂口拓が30分くらいずっと敵に囲まれながら斬り続けるシーンだな。
ここが実質のクライマックスともいえるんだけど、この場面にいる武士たちが斬られても斬られても戦いに復活するんだよねw
設定としては「有象無象の大勢の武士をただひたすら切り続ける宮本武蔵」なんだろうけど前述の通り実際の人数はそんなに多くないから、一度斬られて地面に倒れた奴が復活して戦いに再度参戦しているように見えるのだ。
なので拓ちゃんが斬っても斬っても、武士の人数の減らないこと減らないことwそのサマはまるで頭からぶった切らないと死なないゾンビのようだった。勝手に私はこの映画を2020年の最高ゾンビ映画と称しようと思う。「デッド・ドント・ダイ」よりゾンビ映画だぜ。
◆追撮のラストがめちゃくちゃええ
こんなん言ったら元も子もないけど、追撮したラストシーンの方が、”バトルアクション”としては好きだったw
ワンカットじゃないから一番かっこいい角度でバトルシーンを堪能できるし、エフェクトぶいぶい言わせてるから坂口拓がよーわからんかっこいい武器ぶんぶん振り回して敵がひと思いに死んでくサマがバチクソかっこいい。
敵の指がぽろぽろ切り落とされるのとか(たぶん梅沢壮一さんだよね)、B級カルト映画好きからしたら僥倖以外の何物でもないのよ。
◆余談1「地獄でなぜ悪い」の作中映画思い出した
余談だけど園子温の「地獄でなぜ悪い」の作中にたしか「Blood of wolves」っていうタイトルの未完の映画が出てくるんだけど、これも坂口拓が主演で忍者を斬りまくってるんだよね。見ながらそれを想起したから、まじでファックボンバーズみたいに未完のままじゃなくて「狂武蔵」は上映が実現してよかったね・・・・・・って気持ちになった。
ほんでエンドクレジットには園子温さんやら、梅沢壮一さんやら屋敷紘子やら坂口真琴さんやらが名を連ねててうっきゃーってなったね。
◆余談2山﨑賢人について言及しておくか
キングタムの共演をきっかけに本作の追撮部分で坂口拓の敵役を演じた山﨑賢人。最初のシーンと最後のシーンだけ出てくる。あいかわらず演技はアレだけど、冒頭のシーンで「よくあの表情撮ったな!」という絶妙な演技をしているのでそこだけまた見たいかな。
とにかく坂口拓をおなかいっぱい堪能できる良作だよ!あと1週間だから映画館駆け込んで!