見出し画像

「ブックスマート」はなんて見ていて気持ちのいい映画なんだ!!

◆はじめに

 注目の女優オリビア・ワイルドの監督デビュー作「ブックスマート」を見てきたのだが、これがまあとにかく見ていて気持ちの良い映画だったので感想を記す。どぎつい下ネタに腹抱えて笑った後、不意に泣かせてくる本作、最高だったよ・・・・・・。

◆一言でいうと

 ああ親友の絆最高!!!ああ見ていて気持ちいい!!!ああ人間賛歌!!!ていう映画。
 (要約雑だけど、もはや感情発露させる形でしか一言で伝えられない)

◆あらすじ

 モリーとエイミーは高校で互いに唯一の友人だ。2人とも遊びには目もくれず勉強だけに打ち込む日々を送り、良い大学への進学が決まっていた。卒業前日、とあることがきっかけで2人はチャラチャラ遊んでいたかのように見えた他の学生たちが自分たちより良い大学に行くことを知る。怒り狂ったモリーはエイミーを連れて、学年一の人気者ニックが主宰するパーティへ乗り込むのだった。

◆感想

・テーマは自己肯定と他者受容
 遊び慣れていない女子2人がパーティに行ったら大失敗してどう乗り越える?みたいなハングオーバー的映画だと思っていたら大間違い。”Booksmart(≒勉強しかできない世間知らず)”なモリーとエイミーがパーティでの出来事を通して、うわべだけの評価で見下してきた他の学生たちのことを、多面的に見られるようになる他者受容の話であり、友人たちの優しさに触れ、一歩踏み出す力を得る自己肯定の話なのだ。

 このテーマ、私自身が生きる上でめちゃくちゃ大切にしていることなので、見ててムチャクチャ気持ちが良かった。今でこそいろんな人のことを多面的かつグラデーションで捉えて、それを素敵だと思えることができるが、昔は「自分より頭良いか否か」で人を判断していたような偏った人間だったので、このBooksmartな女子たちの気持ちもよくわかるからなおさら感情移入できるのだった。

・他者の違いを当たり前に理解し受け入れられるクラスメイトの気持ち良さ
 本作、そもそもモリーとエイミーは友達がほぼいないので、ニックのパーティ会場を知らず、場所を突き止めるところからスタートしている。紆余曲折を経てやっとの事でニックのパーティにたどり着くがその頃のパーティは盛り上がりの絶頂だったのだ。2人は恐る恐るパーティ会場に入るのだが、なんと、クラスメイトたちは2人を煙たがるどころか大歓迎し、他の仲間と同じ距離感で接するのだ。
 当たり前のように他者を受け入れるクラスメイトたちの様相に、見ていてとっても気持ちよさを覚えた。「人間は1人1人みんな違うのだ」という考え方が至極当たり前となっており、ただ卒業前夜を楽しもうとその場の全員が思っている空間。こんな素敵なことってあるだろうか?

・多様性を意図的に配置するが、押し付けがましさは一切ない気持ち良さ
 そんな、当たり前に多様性を受け入れているクラスメイト達だが、おそらく意図的に、多様性に富んだキャラクター配置がなされている。
 元気ハツラツでかっぷくの良いモリー、内気でレズビアンのエイミーを始め、フェミニンな黒人男子、演技オタクのメガネ男子、スタイル抜群のレズビアン、年上教師に恋をするラテン系ロン毛男子、アジア男子、ボーイッシュ女子、etc・・・・・・と、とにかく性別、性自認、髪型、体型、肌の色、性格が、超フリーダム(固定概念通りの人がほぼいない)。
 ただし、これらの多様性に関して押し付けがましい主張は一切せず、さらっと表現しているのがとても気持ちが良い。

・うわべの評価と中身のギャップをポジ・ネガどちらの面からも描写する気持ち良さ
 パーティの乱痴気騒ぎやエモい群像劇の中で、クラスメイトたちの本当の一面がつまびらかになっていく。例えばヤリマンと揶揄されていた女子は実はとても真面目だったり、頭のおかしいボンボンは実は人のことをとっても思いやれる人だったり。
 見下していた人が実は・・・・・・というギャップの描写は、主人公2人の心の成長において重要なファクターなので描写は必須だと思うが、一方で注目したいのは、”いい人”という評価を受けていた人が実は・・・・・・というギャップもきちんと描いているところだ。
 クラスのみんなから慕われている黒人女性教師が登場するのだが、彼女は若い頃にやらかしすぎて全米展開のチェーン店を出禁になったというエピソードを披露している。高い評価を受けている人の逆のギャップの露呈をきちんと描いているのが、見ていて気持ちがいい。
(ちなみにこの女教師、パーティでもやらかすんだけどそれは直接確かめてほしいw)

・パーティ渦中のとある事件から一気に卒業式のスピーチへ駆け上がる気持ち良さ
 そんなこんなで派手なパーティが繰り広げられる中、とある事件が起きる。ここで、なんとエイミーが勇気を出してとある大胆な行動を起こすのだ。
 実はパーティの途中で帰っていたモリーは、エイミーが大変なことになっていることを翌朝クラスメイトからの連絡で知る。スマホのチャットは大盛り上がり。エイミーは英雄扱いだ。
 モリーはエイミーを”スマートに”助けだして、車をぶっ飛ばし卒業式会場へ。ヒーローよろしく遅れて会場へ乗り込み、主席としての卒業スピーチを敢行する。そのスピーチでクラスメイトは大歓声。
 パーティ中の事件から物語のラストを飾る卒業スピーチへのスピード感が大変気持ち良い。
 はみ出しものだった2人がパーティを通してクラスメイトたちのことをきちんと知り、最後には一体となって卒業するカタルシスよ。ちなみにスピーチの内容がとっても心温まるので是非直接見て・・・・・・。不意に涙が・・・・・・。

・その他いろいろ書ききれないけど、とにかく気持ち良いのだ
 実はニックのパーティにモリーとエイミーがどうしても行きたかった理由は、それぞれ意中の人がいたからだったり、パーティー中2人がバチクソ大喧嘩したり、2人がタクシー内でやらかすギャグシーンがあったり、ピザ屋でひと揉めするシーンがあったり(で、これがめっちゃ伏線だったり)、ラテン系ロン毛男子がむちゃくちゃエモかったり、いろいろ書きたいことがあるんだけど、書ききれないから泣く泣く割愛する!とにかく全部気持ち良いのだ!

というわけで、ブックスマート見てみんな底抜けの爽快感味わおうぜ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?