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映画「妖怪人間ベラ」は考察厨歓喜の最強B級映画だ!!(ネタバレあり感想・考察)

◆はじめに

 オリジナルアニメが放映されてから50年以上リメイクなどされて続けるほど愛されている妖怪人間ベムシリーズ。本作は「ベラ」(3人のうちの女の妖怪)に焦点を当てemmaちゃんを主役にホラー仕立ての一作となっている。emmaちゃんの可愛さはさることながら、B級好きとして個人的にヒットだったので感想を記す。ポイントは桜田ひよりと森崎ウィン。そして考察厨歓喜の伏線の残し方。全国民に見て欲しいくらいだ。

◆あらすじ

 うだつの上がらない広告代理店のサラリーマン新田康介(森崎ウィン)は担当した「妖怪人間ベム」の50週年復刻DVDを担当していた。特典に幻のラストをつけるべく、同僚と共に制作会社へ赴く。中身を見た康介はあまりの衝撃に、言葉をなくしてしまう。以降取り憑かれたようにベムの脚本や過去を追求していく。
 時を同じくして百合ヶ崎ベラがとある女子校に転入してくる。転入早々ベラは陰湿ないじめに遭うが、ベラは気にも留めない。一方でベラを気にかける周囲の人間関係が拗れていき・・・・・・。
 ベムの幻のラストを追う康介と百合ヶ崎ベラが邂逅を果たす時物語は動き出すーー。

◆サマると(ネタバレあり)

 アニメだと思っていた「妖怪人間ベム」シリーズは、実は実話を基にしており妖怪人間は実在したのだった。しかも猟奇的な”幻のラスト”そのものも実話で、妖怪人間たちには日本軍に火あぶりや銃で蹂躙された辛い過去があった。
 妖怪人間が実在することを知った康介は、彼らの強さに心から憧れ、自分も妖怪人間になりたいと願うようになる。そこで今や廃墟と化している彼らが生み出された研究所へ赴き、残されていた薬を無理やり息子に飲ませ妖怪人間にさせようとする。息子は拒否して逃げるが、もはや心を壊している康介は狂気に満ちた顔で彼を追いかけ回し、ひいては殺そうとする。そこへある人物の手引きを受けて母が息子を助けに来るが、2人とも康介のターゲットに。妖怪の血を飲んだ康介は妖怪化して2人に迫る。まさにやられんとす、な時に妖怪化したベラの手によって妖怪化した康介は消され、母子は難を逃れるのだった。
 ベラは「人間になんかなりたくない、でもあんな妖怪にもなりたくない・・・・・・」とつぶやき、主題歌を口ずさみながら森の奥深くを歩いていくのだった・・・・・・。

◆感想

・女子高生血みどろバトルの勝者は桜田ひより
 本作は大きく分けて前半と後半に分かれる。前半はベラが通う女子校内でのいざこざ。後半は康介のベラと「妖怪人間ベム」への狂気じみた執着。前述の通りサマリで全く触れなくて良いほど、前半の話は蛇足といえば蛇足なのだが、本パートの勝者は圧倒的に桜田ひよりだ。
 最初は写真好きのしおらしい女の子なのだが、ベラと接して精神が狂い、嫉妬にまみれる女子高生ぶりを怪演していた。
 まずベラの腹にハサミを突き刺しベラを学校の屋上から突き落とす。勝ち誇った顔で続いて憧れの友人綾瀬莉子(吉田凜音)の腹に傘を突き刺す。腹から傘を抜いて開くとそこには血のしぶきが大量に。何を言ってるかわからないと思うがB級映画好きにはたまらんあの感じ。(伝われ)
 で、それら一連の行動に対してゲラゲラ笑う桜田ひよりたん!!
 全く注目していなかった女優だけに、映像研には手を出すな!も見にいきたいところ。 

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・彼のための映画だったとすら言える森崎ウィンの存在感
 後半において圧倒的に輝いていたのは森崎ウィンだった。個人的には量産型イケメン俳優というイメージしかなかったが、この作品で一気に彼のファンになったほどだ。間違いなく彼の代表作になったと思う。10/3からの「本気のしるし」は初日に絶対見に行く。
 心優しい家族思いの森崎ウィンが最終的に悲しい化け物になるんだが、その過程における、怒号と哀愁と狂気が完璧以外の何物でもねえ。
 ベラと出会うことでメンタルがどんどんおかしくなっていく表情の変化が大変に良い。「いいパパ」の柔らかい表情から徐々に「ベラに取り憑かれた狂人」へ移り変わっていくサマは日本人全員に見てもらいたい。
 子供に暴力を振るったり、カマを振り回して息子を追いかけ回したり、「シャイニング」よろしく顔をいきなり覗かせたり。ああ、あといきなり小芝居始めたり。さすがに森崎ウィンがノリノリすぎて何度か劇場で笑ってしまった。森崎ウィンは絶対日本の代表的に俳優になると思う。

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・ストーリーに新解釈を加えた点も高評価
 実在する妖怪人間は人間にひどい仕打ちを受けていた(オリジナルのラストもそうだが)上に日頃ベラの周りでろロクなことが起きないので、彼女は基本的に人間に対して諦めている節がある。だから作中のベラは繰りこう返し呟くのだ。
 「人間になんて、なりたくない・・・・・・」
 ベムの名台詞、「早く人間になりたい!」と真逆のセリフを言わせるベムシリーズにおけるストーリー新解釈が面白い。

◆考察

・前提として、以下のシーンの伏線が回収されていない
 頭がおかしくなってしまった康介(森崎ウィン)を診断した心療内科の霧島(六角精児)は、実はベム(明言はされていないが、容姿がベムそのもの)だったのだが、彼とベラが邂逅を果たした時、ベラはベムにこう告げるのだ。
「どうしてあの時逃げたの」「あなただけ苦しんでない」
その発言に対してベムは「逃げていない!」というのだが問答無用でバトルが開始される。

 その後、この伏線に対しての回収は全くなされず、物語は終了するのだ。
 本シーンに付随した考察をしてみたいと思う。

・霧島(ベム)は心療内科医の顔をして、ずっとベラのことを探していたのではないか?
 怪力、頑丈で少しのことでは死なないという特徴がある妖怪人間が”心療内科医”である点は多少違和感があるので、彼が医者をやっている理由をこう考えた。
 ベラ(妖怪)に出会った者は精神的に狂うということを元から知っており、「ベラに出会って狂った人」と出会うことで、彼女の居場所を突き止めようとしていたのではないか。それが一番叶う職業が心療内科医だったのではないだろうか。

・ベムがベラに会いたい目的は、謝罪?
 ではベムはベラに会って何がしたかったのだろうか。前述の通り、彼ら2人が接触するシーンでベラがベムに対して怒り嘆くシーンがあるので、ベムは当時、日本人からの攻撃に対して、彼女らを助けるために何かを行動しようとしたが、それが失敗に終わったこと(=ベラからは逃げたように見える)を謝罪したかったのではないだろうか?

◆伏線を回収しきってないので、続編に期待せざるをえない

 この通り、伏線を回収しきっていないので、続編に期待せざるをえない。過去編として、ベムがなぜ、軍隊の殺戮から逃げた(ように見えた)のか、その後どのように過ごしていたのか、という新たな脚本を展開させて欲しいものである!
 回想シーンでいいから森崎ウィンも出演させてな!

というわけで全国民が「妖怪人間ベラ」を見ますように〜〜〜〜〜〜!!!!!

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