映画「COMPLY+-ANCE コンプライアンス」感想(ネタバレあり)
インディーズ映画ファンであれば嫌いな人はいないであろう齊藤工の監督作品である「COMPLY+-ANCE コンプライアンス」をアップリンク渋谷で鑑賞してきた。
5作品からなるオムニバスで、コンプライアンスに口うるさい世の中を皮肉った映画である。以下、ストーリーと感想を記す。
1、我らがたっくん(齊藤工のこと)によるパリの暴動映像
年末パリで暴動起きたけど、それで政府は一部の法案を撤回したで、っていう事実の放映。
コンプライアンスに対してのあるべき行動の一例を伝えたかったんやろな。
2、岩切一空監督による "自主映画" 映画
2016年PFF準グランプリ「花に嵐」や、「聖なるもの」で話題沸騰の若手ですんごい映画監督による短編。
とある女の子たちが(多分)自主映画に出演するも、出演者の一人が親に反対されたことを機に、放映をやめてほしいと懇願する。
しかし撮影スタッフはそれをやり込めようとする。最後、出演者の1人の女子が耐えられなくなって飛び降り自殺しちゃって終幕、って話。
「君たちこの映画の出演、承諾したじゃん。俺たち強要してないよね?」
的なことを撮影スタッフが言ってて
「ああ、コンプラ違反の象徴発言や・・・・・・」って震えた。
その見返りが女子の自殺なんね。因果応報。
ちょっと、松○監督のあの問題想起したよね。
3、狐火によるラップ
モザイクがかかった渋谷の映像がひたすら流れ、それに合わせて狐火の「再録コンプライアンス」が流れる。
「コンプラでガチガチな世の中。一歩踏み越えると炎上しちゃってやーねー」みたいな曲だった気がする。
4、人形作家の飯塚貴士監督による人形劇
近未来の日本で違反者っぽい人を自身の価値観で裁きまくる刑事カルヴィンと補佐役のロボット君による人形劇。
カルヴィンは倫理感ゼロで悪党殺しまくってミッションを達成するやばいやつ。
本当にそれでいいのか?と疑問を持つロボット君がカルヴィンを更生に導く。
が、実はそれはAIの価値基準に沿ったコンプライアンス意識を植え付けるための矯正プログラムの夢の中の話であった。
AIの価値基準によるコンプライアンス意識なんてクソだ!!と
コンプライアンスレジスタントなる男女がそのプログラムを壊してカルヴィンとロボット君を解放しコンプライアンス意識は自分で養うものなのよ、的な説教をしていた(気がする)
メッセージがわかりやすい人形劇だったなぁ。
5、我らがたっくん(齊藤工のこと)による芸能人への取材をテーマにした短編
新進気鋭な芸能人松本ゆずき(秋山ゆずき)をインタビュアー(アルコアンドピースの平子)とカメラマン(たっくん)が取材するんだけど、コンプライアンスを気にしだしたらキリがなくなって最終的にクソつまらんものしか取れなくなるというコメディ。
作中、コンプラ的に出せない部分はモザイクや音声規制が入る仕様だ。
好きなアイドルは? → モーニング娘。さんです!
具体的に誰? → xxxさんが好きでした!
ああ、その人の名前は絶対にテレビで流せないでしょ・・・・・・ → カットになる
みたいなあるあるなやり取りに端を発すんだけど、エスカレートしてって
好きな動物は? → うさぎです!
うさぎって性欲強いらしいよ、ゆずきちゃんがそんなイメージ持たれるかもしれないから他の動物にしよう? → タヌキはどうですか?
いやータヌキはxxxxだからゆずきちゃんxxxxってイメージ持たれるよ?
→じゃー、サイとか言っとけばいいんですかー
→サイは動物愛護法に抵触するリスクがあるから「優しい優しいサイたち」って言って!
みたいな応酬を延々と。
最終的にその場にいる全員がコンプラ的にアウトな言葉を連発しまくって終了するという話。
アルピーの平子が最高に良かったな。
と、いうことで
たっくんの世の中に発信したいメッセージがふんだんに伝わる映画でした。