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ブランディングの第8ステップ:ブランド・パーソナリティーの設定

1. ブランド・パーソナリティの重要性


ブランド・パーソナリティは、ブランドを人格化した際に、そのブランドがどのような性格を持つべきかを定義するものです。これは、ブランド戦略に沿って「◯◯な性格」と表現されるべきものであり、以下のような形容詞を3つから4つ組み合わせて表現します。ただ、必ずしも〇〇な性格に当たらなくても、人格をうまく表現できている言葉であれば、よしとします。

信頼できる性格
革新的な性格
親しみやすい性格
冷静な性格……etc

ブランド・パーソナリティが何の特性もないものであれば、ブランド自体の独自性も限られてしまいます。ですから、ブランドのオリジナリティーを表現する形容詞を最低1つは入れるようにすることが重要です。これにより、ブランドの個性が確保され、競合との差別化を図ることができます。また、ブランドを人格化することで親近感が増し、ブランドと消費者の関係性を深めることができます。

ブランド・パーソナリティは、ブランドが外部にコミュニケーションする際のいわゆるトンマナ(トーン・アンド・マナー)を形成するために欠かせない要素です。トーン・アンド・マナーとは、ブランドがどのような姿で、どのような口調で、どのような態度で外部に対してコミュニケーションを図るのかを規定するものであり、一貫性のあるブランドのイメージを保持するために非常に重要な要素です。広告やホームページ、ロゴやシンボルマークをつくるときや、ブランドカラーやCMに起用するタレントまで、トンマナに合わせていくことが重要です。

2. ブランドパーソナリティの具体例


ブランド・パーソナリティを設定する際には、前述したような形容詞を用いて具体化します。「温かみがあって、クールな性格」などと相反するものはありえません。ブランドが性格破綻者となってしまい、顧客の信頼が得られません。

また、ブランド・パーソナリティーは既存の性格を当てはめるのではなく、新たなブランド戦略をもとに「あるべき性格」をつけます。今はその性格がまだ身についていなくても大丈夫です。戦略・戦術を実行していくうえで、あるべき性格になっていけばよいのです。

例えばAppleのブランド・パーソナリティーを考えると以下のような性格が表れてきます。

1 革新的な性格 Appleは常に新しい技術やデザインを提供し、市場をリードする存在です。新しいアイデアやコンセプトを積極的に取り入れ、消費者に驚きと感動を与えることを重視しています。
2 細部にこだわる性格 Appleの製品は美しく、洗練されたデザインで知られています。シンプルでありながら高級感があり、エレガントな印象を与えます。これにより、消費者に所有する喜びを感じさせます。
3 ユーザーフレンドリーな性格 Appleは使いやすさと直感的な操作性を重視しています。複雑な技術をシンプルにし、誰でも簡単に利用できる製品を提供することで、消費者に親しみやすさと安心感を与えます。
4 信頼できる性格 Appleは品質とパフォーマンスに対する高い基準を持っています。製品は堅牢で信頼性が高く、長期間使用できることが期待されます。この信頼性により、消費者はAppleの製品に対して強い信頼感を持ちます。

ここで、「センスが良い」など性格でない言葉はあまり設定しないように注意しましょう。「センスが良い」の場合はセンスがどう良いのかを紐解く必要があります。

「センスが良い」というのは、一般的にはその人の美的感覚や判断力が優れていることを指します。性格として表現する場合、以下のような形容詞が当てはまることが多いようです。厳密には性格を表わしていない言葉もありますが、センスが良いよりは、具体的な言葉になります。最終的にはブランドのブレない人格付けができればよいので、性格となり得る言葉か否かの判断は柔軟に考えましょう。

  1. 鋭敏な (敏感である、繊細な感覚を持っている)

  2. 創造的な (独創的で、新しいアイデアやデザインを生み出す能力がある)

  3. 直感的な (直感で物事を判断し、それが正確であることが多い)

  4. 洞察力のある (物事の本質を見抜く力がある)

  5. 美的感覚の鋭い (美しいものに対する感受性が高い)

  6. 独特な (他人とは違う独自のスタイルや感覚を持っている)


3. ブランドパーソナリティの実装


ブランド・パーソナリティを実際のブランド活動に反映させるためには、以下の方法があります。

コミュニケーション: 広告、SNS、PR活動を通じて、一貫したメッセージを発信します。ブランド・パーソナリティが外部にコミュニケーションされる際のトーン・アンド・マナーを一貫させることが重要です。必要であれば、トーン・オブ・ボイスを作成する必要があります。

トーンオブボイス(Tone of Voice)とは、ブランドがコミュニケーションにおいて用いる言葉の選び方や表現方法を指します。これは、単なる言葉遣いだけでなく、伝えたいメッセージのスタイルや感情、態度を含みます。トーンオブボイスは、ブランドの個性や価値観を反映し、一貫性のあるメッセージングを提供するために重要です。

トーンオブボイスの要素

  1. 語彙選択: 使用する言葉やフレーズ。例えば、カジュアルな語彙を使うのか、フォーマルな語彙を使うのか。

  2. 文体: 短文か長文か、簡潔か詳細か。

  3. 感情: 喜び、信頼、緊急性など、伝えたい感情。

  4. 態度: 親しみやすい、プロフェッショナル、権威的など。

※トーン・オブ・ボイスに関してはあらためて別のnoteで説明をする予定です。

デザイン: パーソナリティを反映した製品のデザインやパッケージを作成します。ロゴデザインやネーミング、ウェブサイトのデザインなど、すべてにブランドパーソナリティが影響を与え、一貫性のあるトーン・アンド・マナーが反映されます。

カスタマーサービス: パーソナリティに合った顧客対応を行い、ブランド体験を向上させます。

4. ブランドパーソナリティの維持

一度設定したブランド・パーソナリティを維持し、消費者の期待に応え続けることが重要です。そのためには、定期的な市場調査や消費者フィードバックを活用し、必要に応じてパーソナリティを調整します。ブランドのデザインやウェブサイトの制作、その他のマーケティング戦術に関わる人々は、このブランド・パーソナリティが非常に重要なものであることを認識し、一貫性を持って反映させることが求められます。

ブランド・パーソナリティは、ブランドの個性を明確に定義し、一貫したコミュニケーションを可能にする重要な要素です。正しく設定し、実装し、維持してください。

#トーン&マナー

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