転職エージェントの倒産が急増？
皆さん、こんにちは。カタリストエージェントの勝田です。
少し前ですが、Yahoo!ニュースに「転職エージェントの倒産」が急増という内容の記事が掲載されました。
（現在はYahoo! ニュースの記事自体は削除されていますので実際にコンテンツを提供したITmediaの記事をご覧ください）
こちらの記事によると2023年は、2000年以降で最多の16件の転職エージェントが倒産したとのことでコロナ禍前の2019年（4件）の4倍と急増していると書かれています。
確かに4年で4件から16件へ増えていますが、それを倒産件数が急増、「4年で4倍に」という衝撃的な見出しにより、一時期、「転職エージェントの倒産」というワードがx（旧twitter）のトレンドにも入りました。
今回はこの記事の内容にも触れながら転職エージェントの倒産の可能性について見ていきたいと思います。
人材紹介の市場が伸びているのは人手不足が原因？
まずこちらの記事では矢野経済研究所の調査結果を元に人材紹介業の市場は年間18％以上の著しい成長を見せていると述べており、その成長の要因は、昨今の人手不足にあるとしております。そのような背景により企業が人材紹介の利用を増やしていると指摘しています。
また、転職希望者にとってもSNSなどで情報が氾濫する中、情報を取捨選択し、的確な情報を与えてくれる人材紹介会社のサービスに頼るケースが今後益々増えていくとして、人材紹介会社のニーズの更なる高まりが市場の伸びを後押しすると述べています。
もちろんそのような点もあるとは思いますが、私はもっと構造的な問題が存在すると考えています。それはスカウトサイトなどに代表される求職者DBの急成長に伴い、ある意味簡単に人材紹介事業に進出することが可能となり、転職エージェントの数がここ数年右肩上がりで増え続けているということです。
以前の私のnoteでもご紹介しましたが、実際に有料職業紹介事業所数は平成24年度（2012年）から毎年増え続け、16,916事業所から令和4年度（2022年）には28,740事業所となっています。この10年間で約1,7倍も増え、実に1,1824事業所が新たに設立されています。詳細は下記ファイルをご覧ください。
このように人材紹介の市場が伸びている背景は人手不足のみならず、転職エージェントの設立ラッシュも寄与していると見ることはとても重要だと思います。
商品となる人材の不足が倒産の原因？
またこのニュース記事では人材紹介会社の倒産の原因として以下のように書かれています。
人材紹介会社は企業が求める高度なスキルを持った即戦力人材を集める必要があります。人手不足とはいえ、要求するスキルが満たされなければ採用は見送られるでしょう。ビジネスモデルがシンプルなため、求職者の転職が決まらなければ売り上げはゼロになってしまいます。売り上げがなければ、経営が成り立たなくなり、倒産してしまうのです。
これもその通りではありますが、今後益々、インパクトが大きくなってくるのは「求職者確保」に伴う難易度とコストの上昇懸念です。その最大の要因は今月からすでに始まっている大手スカウトサイトによる無制限で送信できる「通常スカウト」の廃止やそもそもこのような求職者DBに主導権を握られている人材紹介会社の業界構造があります。この点については過去、noteで取り上げていますので是非、改めてご覧ください。
つまり、商品となる人材の不足というよりもその獲得における難易度とコストの上昇ということが転職エージェントの経営にとってはよりリスクになるのではないでしょうか。
今後、転職エージェントの倒産は急増していくのか？
それでは今後、転職エージェントの倒産は急増していくのでしょうか？私は経済の専門家ではないので詳しい予想はできませんが、少なくとも今から4年後を考えてみれば、これまでの4年間のように4件が16件になったというペース以上には倒産件数は増えていくのではないかと思います。
その一つの根拠として最近、少しずつですが人材紹介事業を撤退するというような話を実際に見聞きするようになったからです。
更には、先ほど紹介した「職業紹介事業報告」のグラフを見ても令和に入ってからでさえ、3,000社以上も転職エージェントの数が増えています。これだけエージェントの数が増えている中でより求職者確保の難易度とコストが上がっていくことを踏まえればやはりある程度は転職エージェントの淘汰が進むのはやむを得ないのではないかと思います。
以上、今回はYahoo!ニュースの記事を参考にして今後、「転職エージェントの倒産が急増するのか？」という点を私なりの考えも入れながら見てきました。
逆に言えば、しっかりと地に足をつけている転職エージェントにとってはこれからはよりチャンスだとも言えます。
弊社もしっかりとこの荒波をチャンスに変えて、これからも頑張っていきたいと思います。
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