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今回の投稿は、人材業界の人気度について考えてみたいと思います。
先日、あるスカウトサイトの担当者と打ち合わせをしていた際にちょっとショッキングな話がありました。

担当者:御社は人材業界をメインに担当している会社ですよね。
私:はい。建設・不動産業界も領域としては考えていますが、人材業界についてもメインのターゲットと考えています。
担当者:実は、人材業界は当社のサイトを利用する登録者の方から人気がないんですよ。ですから、人材業界をメインに担当している会社様にはご利用を遠慮してもらっているんです。

 

これには大変、驚きました。もちろん、以前は人材業界はハード、きつい、休めないなどのイメージがあったのは事実ですが、未だにそのようなイメージを持たれていることにショックを覚えました。
まして私はその不人気と言われている人材業界で25年も働いています。そのプライドや誇りも打ち砕かれたように感じ、とても残念でした。今回の投稿では本当に人材業界が不人気なのか?という点について考えてみたいと思います。

就職企業人気ランキングから見る人材業界

2022年卒の大学生による就職企業人気ランキングによると上位10社は以下のようになっています。
詳細は添付ファイルを参考にして下さい。

【文系】
1位:東京海上日動火災
2位:第一生命保険
3位:味の素
4位:伊藤忠商事
5位:ニトリ
6位:ソニーミュージックグループ
7位:バンダイ
8位:損保ジャパン
9位:サントリーグループ
10位;講談社

マイナビ・日経2022年卒大学生就職企業人気ランキングより

【理系】
1位:味の素
2位:ソニーグループ
3位:サントリーグループ
4位:明治グループ
5位:トヨタ自動車
6位: NTTデータ
7位:キヤノン
8位:富士通
9位:カゴメ
10位:東海旅客鉄道(JR東日本)

マイナビ・日経 2022年卒大学生就職企業人気ランキングより

一方、人材業界はというとパソナグループ(72位)、リクルートキャリア(57位)、パーソルテンプスタッフ(44位)、スタッフサービス(27位)となっておりいずれも順位は下の方になっています。
こうしてみると人材業界は学生からは必ずしも人気業界ではないのかも知れません。

人材業界のイメージを考える

それではなぜ、このような業界下位に甘んじてしまっているのでしょうか?
いくつかの理由を挙げてみたいと思います。

<人材業界が不人気だと考えられる理由>

  • そもそも学生を含む一般の人にとって馴染みがない
    最近は大手のリクルートやビズリーチ等を中心にTVCMを行う企業もあるもののそもそもそれ以外は転職をする時などに初めて接点を持つ為、会社に馴染みがない。

  • 仕事がハード
    人材業界は20代などの比較的若い社員が多いこともあり、結構残業などを含めて遅くまで働くというイメージを持っている人も多い。

  • 離職率が高い
    以前、私が投稿した記事にもあるように人材業界の一部の企業では人を人とも思わない社風や営業目標に対するノルマなどが厳しく、比較的離職率が高い会社も多い。

  • スキルを身に付けるのが難しい
    人材業界の仕事は人を相手にしている為、コンサルタントの年齢や企業側の担当者、求職者、それぞれの年齢のギャップが大きいとそもそも価値観が違うため、例えば上司や先輩と同じことをやっても同じ結果にはならないことが多い。個別性が求められのでいわゆる汎用的なスキルが身につかない。

  • 長期的なキャリアビジョンが描けない
    多くの人材業界の会社では最初に法人担当の営業部門(=RA)に配属されます。その経験を2〜3年すると個人側の求職者担当(=CA)になるか、または法人担当の営業を続けるかというケースが多く、その後の長期的なキャリアアップがなかなか見出せないこともあります。その為、例えば事業会社の人事やリクルーターなどに転職していく人も多いです。

これらはほんの一例ですが回り回って、人材業界に対するイメージが形成されていくことになるのだと思います。

人材業界のプラスのイメージ

今度は逆に人材業界が持つプラスのイメージについてみてみましょう。

<人材業界が持つプラスのイメージ>

  • 成長が早い
    人材業界は他の業界に比べて、非常に速く成長ができる環境です。例えば、新卒でも数ヶ月の研修を経て、すぐにコンサルタントとして動いていきます。もちろん最初は先輩や上司のフォローを受けながら対応していきますが、企業や求職者から見ればベテランコンサルタントと全く変わらない役割を求められます。その為、仕事を覚えるスピードが速く、他の業界の新卒などと比べても成長が早いのが特徴です。

  • 経営者と直接話せる
    人材業界の仕事は採用に関することであるため、当然会社の経営者と直接採用課題について話すことも多いです。経営者は常に優秀な人材を探しているのが普通ですので、よりフィットする人材を提案するには経営者とダイレクトに話す必要があるからです。同時にこのことは早い段階から担当業界や企業について勉強することができるということを意味します。実はこのように経営者と直接やりとりできる業界はあまり多くはないのではないでしょうか?

  • 女性が長く働ける会社が多い
    人材業界は男女比が半々の割合の会社やむしろ女性が多い部門があるなど女性が働きやすい環境である会社が多いのも特徴です。実際に女性が活躍していることも多く、新卒やルーキー賞などを女性が獲得するケースもよくあります。
    また、産休や育休制度が整っている会社も多く、女性が長く働ける環境を整備している場合が多いのも前向きなポイントです。

  • 年収などの待遇がいい
    これは必ずしも人材業界に限ったことではないですが、営業として成果を出せば年収が同年代に比べて稼げることも多いです。もちろん、これは全ての人に当てはまる訳ではないですが、少なくとも営業で成果を出していけばそれに対して報われる評価制度になっていることが多いと思います。

などいろいろな観点で前向きな点を見出すことができます。
ただし、人材業界で働くことの最大の魅力はこれだと思います。

・多くの人の人生の決断をサポートし、世の中に雇用を生み出す
・企業を発展させて経済を成長させていく醍醐味

 

人材業界ならではの仕事の魅力といえば、やはり色んな人の人生の節目に立ち合い、決断をサポートするということです。
就職や転職はその人の一生を決める選択と言えます。その選択に対してより良い情報を提供し、その人の人生そのものを豊かにすることができるのは、人材業界でしか成しえない仕事といっても過言ではありません。

「○○さんのおかげで今の仕事にとても満足しています」そんな感謝の声を聞ける機会というのも決して少なくはないですし、企業側からも「良い人が採用できたおかげで新規事業が成功したよ」なんて言われることもあるかもしれません。
まさに日本の経済を支え、雇用を生み出すという社会的意義を実感できる仕事こそ、人材業界の仕事の醍醐味です。

人材業界のイメージを作っていくのは我々、一人ひとり


以上、人材業界における人気度(人気・不人気)について見てきましたが、この両方の見方は今後もすぐには変わらないかも知れません。しかし私は人材業界に長く携わっている者として、業界を良くしていきたいという思いが強くあります。その為に大事なことは、業界に携わる一人ひとりが業界のイメージを作っている、という意識を持つことではないかと思います。

人材業界の会社は1年で数万社誕生すると言われています。業界が活性化するのはとてもいいことですし、今後は益々、競争が激しくなり健全な経営をしないとやがては淘汰される運命にあるということは、私も含めて経営者は認識をしておくべきでしょう。

私が人材業界に25年いる理由

最後になりますが、私が人材業界に25年もいる理由について述べさせて頂きます。
それはなんと言っても「人」が好きで人から毎日、自分自身が学ぶことがあり、何年経っても成長できると感じるからです。
先ほども述べたように人材業界の仕事は人の人生に関わる非常に責任ある重大な仕事です。だからこそ、自分自身も今まで身につけてきた経験や知見の全てを使って、その人をサポートしていかないといけないと思いますし、そのことにゴールはありません。また年齢を重ねることでできるアドバイスもあることも長くこの仕事を続けている理由の一つです。
いずれにしても私はこの業界に育てられ、この業界で育ってきました。そろそろ業界への恩返しもできたらいいなと思っています。


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