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父の記録⑭|妻を亡くし、急にスマホで子どもたちに連絡し始める

父用のスマホ

あめ市の特養にいた2022年7月、父のガラケーが壊れたというので、高齢者向けのスマホを買った。頚椎損傷の影響でペンを持って字を書くことすらかなり難しいのだが、スマホへの興味が勝ってリハビリになるかもしれないという期待もあった。特養の相談員の大林さん(仮名)には「我々よりも機械には詳しそうだから、ヒサオさんなら使いこなせちゃうかも」と言われた。
父に渡す前にLINEをダウンロードして、父と私と弟のLINEグループを作った。母の負担を減らすためだ。特養での生活の中で「あれが欲しい、これが欲しい」と何かと母に連絡し、母はショッピングセンターに行って買い揃え、自ら届けていた。私の方に連絡をくれれば、アマゾンで注文して直接届けることもできる。しかし、母が亡くなるまで、父はLINEグループのメッセージに既読すらつけなかった。

母が亡くなった後、急にLINEを使い始める

母が亡くなって1週間後、父は急にLINEを使い始めた。心細くなったのだろうか。
初めてのLINE送信がこれ。

2週間ほど練習をして、次のような長文も打てるようになった。

父は昔から文末の「。」を省略しがちだった。

母から何度も聞かされた私が幼いころのエピソードだ。母が私を抱いて運転免許証更新の講習を受けていた時、私が大きな声で「泳げタイヤキくん」を歌いだしてしまったそうだ。静かに講習を聞かなければならないという状況と「いやになっちゃうよ!」という歌詞がマッチし過ぎていて、赤面したとのことであった。
こんなほのぼのとした思い出話ならもっと続けてもよかった。
 
2024年1月1日は能登半島地震があった。父の病院も少し揺れたそうだが、心配ないとラインが届いた。

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