「恋する不確実性<アンサータンティ>」第1話
■あらすじ
花の女子大生、高城彩花は変わり者の研究者である祖父の手伝いで浪費した青春を取り戻そうと奮闘する日々を送っていた。
そんな中、久しぶりに祖父の工房を訪れたところ、祖父から「このままでは未来で第三次世界大戦が起きる」「死ぬ運命の『加治谷修一』を探せ」と言われ、タイムマシンで過去に送られる。
勝手の分からない昭和の街に放り出されて途方に暮れてしまう彩花。
そこへ、カフェのマスター・本多が声をかける。
本多の厚意によってカフェで働くことになった彩花だが、そこに訪れた最初の客はなんと『加治谷修一』だった。
未来に帰るため加治谷を調べるうち、彩花は思いがけず常連客たちの恋模様に巻き込まれていく。
■物語の構想
舞台はネオ昭和(レトロ)
架空の昭和を舞台とした物語
ネオ昭和× タイムトラベル× サスペンス× 恋愛ストーリー!
ネオ昭和とは
不便さが、新しさや再発見を生む
昭和カルチャーは懐かしいだけではない!
昭和カルチャーはエモい
昭和に令和の要素を取り込んだ新しいカルチャー!
ひょんなことから昭和に飛び、カフェperch で働くことになった彩花。
早く祖父に言われた『 加治谷修一』 を探し出し、
危機に陥っていた祖父を救うため、何とか未来に帰りたいと思う。
perch
に来店した『 加治谷修一』 のことを知らべるため、
少しずつ接近を試みる。
加治谷にだけ近づくと怪しまれる可能性があるため、
カフェの常連客の関係性の輪に加わっていく彩花。
しかし首を突っ込んでみると、そこでは複雑な人間関係が繰り広げられていた。
こじれた恋愛感情を未来につながる正しい関係に導くため、
影に日向に暗躍する彩花。
そんな中、彩花自身も恋の渦に巻き込まれていく。
未来に帰るためには、昔の時代の人間と結ばれるわけにはいかない、しかし
揺れる彩花の心。
また、調べを進めていくうちに、
彩花を妨害するもう一人の未来人の存在が明らかになってくる。
その目的や、正体は?
彩花は無事に未来を救うことができるのか?
■世界観
令和7年、日本の企業「Vony innovation」は世界初の浮遊する自動車、Airを販売した。
Airは瞬く間に日本の自動車産業を潤し、再び日本経済を立ち直らせる事に成功した。
しかしある日、Airの技術が世界中にリークされてしまう。
Airには空気抵抗を無くすエンジンが使われており、それはVony innovation の特許技術であった。
Airの技術が世界中に広がれば、欲にまみれた人間がそれを求めることは間違いない。
その技術を軍事利用すれば、現在の軍事技術は100 年分も進歩し、第三次世界大戦の勃発、その結果として人類滅亡のカウントダウンが始まることは必至だった。
そして、その技術をリークしたのは、Air のエンジンを開発した張本人「加治谷修一」であった――
加治谷修一を突き動かした思いとは何だったのか。
全ての謎は過去、彼が青年時代を過ごしたとあるカフェでの人間関係の中にあった。
祖父により過去に送り込まれた少女・彩花の目を通して、その謎が紐解かれていく。
■登場人物
・高城 彩花
年齢:2 1 歳 性別:女
血液型:A型 職業:学生(未来)、ウェイトレス(昭和)
令和時代から昭和へタイムスリップしてきた女の子。
苦労人気質で、困っている人を放っておけずに少し流されやすい。
何事にも一途に一生懸命に取り組む。
高校まで祖父の手伝いばかりをしていたせいで恋にめぐまれなかった。
そのため、学生生活は恋から遊びから謳歌しようと思ってたが未だ恋に巡り合えず。
お金もクレジットカード、電子マネーも全て使えない状態で途方に暮れていたところをカフェのオーナーである本多に助けられる。
自分の知らない昭和時代の文化に戸惑いながらも、未来を変える為に、カフェのこじれた恋愛事情をどうにかしようと奔走 。
いつの間にか自身もその恋愛事情に巻き込まれていく。
・学生/博士号 加治谷修一
年齢:22歳 性別:男性
血液型:AB型 職業:大学生
令和7年にAirというエンジンを開発してしまう人物。
若い頃は車と工学を愛する男であった。
両親は逃避行し、祖父祖母の下育つ。
祖父の影響を受け、工学の道に。
大学時代はイケメンかつ工学においては超天才。
恵凜衣に憧れている。
また、自身の夢は世界を工学で発展させること。
彩花の時代ではVony が開発した最先端エンジンの開発者であり、未来において死亡が確認されている。
彩花の祖父に師事している。
・マスター 本多 正治
年齢:3 4 歳 性別:男性
血液型:O 型 職業:カフェ「perch 」のオーナー
この物語のメインの舞台となるカフェのオーナー。
物腰柔らかく、穏やかな雰囲気のイケおじ。
昔は荒れていた頃もあるとかで、実は怒ると恐いらしい(噂)。
カフェ内の人間模様をじっくりと観察し、時には主人公の彩花や周りの人間を手助けし、アドバイスしたり、時にはあえて見守っておくような、大人な姿勢を見せる。
「perch 」は亡き妻と共に若い頃に立ち上げた。
疲れたり迷っている人の止まり木でありたいと思いオープン
今では、若い子たちの憩いの場になっていることに満足している。
因みに、亡き妻は横間菜々美の姉であり、交際中から菜々美とも面識があった。
妻の亡き後、カフェで働きたいという横間を受け入れた。
自身の恋を諦めてしまった様子の横間のことを内心心配している。
・ウェイトレス 横間 菜々美
年齢:26 歳 性別:女性
血液型:O 型 職業:ウェイトレス
この物語のメインの舞台となる主人公カフェの先輩ウェイトレス。三姉妹の次女。
本々は百貨店で働いていたが、姉が他界したため本多のカフェで働き始める。
10代の時、本多を好きになり振られているが、姉の他界により本多とは切ってもきれぬ関係に。
既に自身には恋愛をするつもりはもうないと思っており、
(本当は恋愛に臆病になっている)
周りの男女の世話をやく事が多くなっており姉御気質の性格を発揮している。
が、やがて自分らしい恋を見つけられるように……?
・ウェイター 安達 佑真
年齢:22 歳性別:男性
血液型:B 型職業:カフェのボーイ
カフェ「perch 」で働く新人店員。
小野寺に一目惚れし、働く様になる。
残念なイケメンタイプであり、場をあたためるムードメーカー的な存在。
実は彩花より先の令和時代から昭和へタイムスリップしてきた、もう一人の未来人。
第三次世界大戦を回避するためこの時代にやってきている。
彩花が元々いた時空において、未来で死亡が確認された「加治谷修一」は安達が成り代わった存在。
安達はタイムスリップを複数回行っており、安達が本来いた時空では彩花と恋人/パートナーの関係になっている。
とある事情から高城を救うために過去へ飛び、「加治谷修一」を名乗り歴史を変えようとしている。
・人気歌手 小野寺 瑠璃子
年齢:23 歳 性別:女性
血液型:A 型 職業:歌手
カフェの常連客の女性。
実は世に知られている有名なシンガー。
プロとしてひた向きに頑張っているが、芸能界に疲れてカフェに一人でふらっと訪れては、ふらっと帰る。
その実は本多に惚れており、話しかけたくても話しかけられないで毎日過ごしている。
実は同年代の友達が少なく親友という関係性にも憧れている。
・財閥令嬢/エレベーターガール 酒井 恵凛衣
年齢:20歳 性別:女性
血液型:B型 職業:大学生
酒井財閥のご令嬢。
横間が務めていた百貨店で務めていた時のバイトの後輩。
実は国内でも酒井財閥の令嬢で、生まれながらのお嬢様。
酒井財閥はVonyの100%株主の財閥でもある。
横間に構ってほしくて「perch」に通っている内に、安達に恋心を抱いてしまう。
自身は当初、親が決めた許嫁が原因で恋愛を諦めていたのだが、安達の真っ直ぐさに惚れてしまい……。
・学生 菊池 謙二
年齢:21歳 性別:男性
血液型:A型 職業:大学生
昭和時代の大学生。カフェの常連客。
修一と同じ学科で修一の理解者。
実は、未来の彩花の父になる予定の人物。
高城博士の娘となんやかんやあり彩花を生むも、事件にまきこまれ(Vony 絡み)行方を眩ませてしまう。
もの静かでカフェではいつも隅で読書をしているが、修一に絡まれてから安らげる日はないと少し遠い目になっている。
■第一話
○未来都市
N「令和7年――」
車が空中を走り、人々はウェアラブルデバイスで情報を扱う様子。
○大学
昭和の歌手のような格好をした男が窓から飛び降りようとしているのを必死で止めている高城彩花。
台詞のみ(男)「アイキャンフラーーーーイ!!!」
彩花「ストーップ!!」
彩花「何やってんの!あんた!」
男「止めるな! 俺はここから飛び立って今は亡きスタァたちと肩を並べ、『1●代の教祖』(cf尾崎豊)と呼ばれるんだ!!」
男は目がぐるぐるしており常軌を逸している様子。
彩花「飛び降りただけで伝説になれたら誰も苦労しないでしょ!!正気に戻ってよ!」
男「正気で芸術ができるか!」
男「芸術の原動力は性欲と薬とパッションだ! 脱がない、吸わないお前じゃ、スタァを目指す俺には相応しくないんだよ!! やってらんねー、あばよ!!」
彩花に向かって吐き捨て、去っていく男。
彩花「え……私、今フラれた……?」
がっくりと膝をついて倒れる彩花。
騒ぎを聞きつけ、束になっていた野次馬の中にいた彩花の友人、沢田しずく、駆け寄ってくる。
しずく「うわー彩花またなの?」
彩花「これで15連敗……」
しずく「よくまあろくでなしばっかり引き当てるよね……」
しずくの脳裏に過る彩花の元カレの数々。
昭和の有名人を彷彿とさせるメンツばかりの中、先ほどのロック歌手くずれもラインナップされる。
しずく「昭和好きか?」
彩花「いいじゃない昭和顔好きなの!」
しずく「にしても告白する相手くらいもうちょっと選んだら? 中身やべーのばっか」
容赦ない言いように崩れ落ちる彩花。
ふと周囲に視線をやったしずくは、ある人物を見つけて指さす。
しずく「じゃあ、あれはどうなん?」
しずくが指さした先には、チェックシャツをズボンにインした古のオタクのような服装の男。見つめる彩花だが、
彩花「……いや、彼は同サーの先輩に恋してるからだめ」
しずく「相手選ばないわりにそこは尊重するんだ……」
彩花「恋は正々堂々が信条なんで」
きっぱり言い切るも、肩を落とす彩花。
彩花「はぁ……いつになったら私は花の大学生をエンジョイできるの……」
しずく「生まれてくるのが遅すぎたんだなぁ」
彩花「うー昭和に生まれてたら百戦百勝間違いなし」
しずく「『それを確かめるため、我々は昭和の時代へと飛んだ――』」
しばらくしずくのおもちゃにされていた彩花だが、
彩花「……だーっっっっ!!!!」
がばっと立ち上がる。
彩花「まだ次がある! 夢のエンジョイ大学生活、こんなことで諦めないから!!」
しずく「切り替えはやーい」
見てて面白―い、と手を叩くしずく。
彩花、キリッと決意を新たにする。
と、彩花のデバイス(アップルウォッチ的な)にメッセージが着信。
差出人は「おじいちゃん」と表示されている。
彩花「……たまには工房に顔出してあげるかぁ」
彩花、仕方ないなぁという顔。
○次郎太の工房・入口
物置のように雑多に古いPC等が積み上げられている部屋を通り抜けていく彩花。
彩花M「機械いじりは面白かった。どこをどういじれば、何が変わるのか、機械の反応は素直でわかりやすいから」
張り巡らされた太いパイプから煙が噴き出す。驚きつつ避ける彩花。
彩花M「一方人間は、何がどう相手の心に響くかわからないから、難しい。意思疎通は不確実で、だけどそれゆえに尊い」
防護ドアのハンドルを回し、ガチャッと開ける彩花。
彩花M「そんな中でも一番特別な「恋」という繋がりを、私は求めているのだ。なんたってお年頃ですから!」
彩花「おじいちゃーん、来たよー」
彩花が声をかけるのと同時に、酸素カプセルのような機械からボシュッと黒煙が立ち上る。
次郎太の声「ヴェホッヴェホッ毎度毎度この煙どうにかならんのかまったく……」
むせながら白衣の老人、高城次郎太が起き上がる。
彩花M「この人が私のおじいちゃん。高城次郎太。
私に両親は幼い頃に親下を離れておじいちゃんに育てて貰った。
ただ、おじいちゃんのいいつけで私の高校時代は鉄と油にまみれた――
だからこそ青春を取り戻したく家を出た――――」
彩花「うわっ」
彩花「また何日も研究もしてたの?たまにはたちゃんと風呂に入ってって言ったじゃん」
次郎太は彩花を見つけるとその肩をガシッと掴み、
彩花「何?また手伝えって言うの?」
次郎太「彩花、昭和へ飛べ!!」
彩花「……へ?」
■第二話
https://note.com/preview/nfc3c74a1829c?prev_access_key=7149e4f4d50d60e7e5e124170da7d462
■第三話
https://note.com/preview/n11fbeb910a02?prev_access_key=c65e6fa5aedd75ecf930579895d4bd6a