作り話2
ある日、女性が木々や、花々と話していると
風にのって知らせがきました。
その知らせを知った女性は、
小川の側まで行き、座りました。
安堵したように、喜びの涙を流す女性に
優しく陽の光が降り注ぎます。
しばらく女性は、座ったままでした。
何かを思い巡らすように、
何かを思い出すように。
「ありがとう…」そう呟いて
女性は、自身を抱きしめてみました。
するとまた、涙が溢れてきます。
思いの波と、涙があとから、あとから、女性の頬を伝っていきます。
ですが、その涙は誰にも見えません。
何故なら、女性は面をつけていたからです。
硬く、強い、表情の面でした。
「この面なら誰にもわかるまい、名も、顔も…」
「ここで、…の幸せを祈り続ける」
そう言って、誰も知らぬ山に来て長い時間が
経っていました。
そんなことを思い巡らしているその瞬間、
女性の涙が面に触れました。
「パキッ」と音がしました。
驚いた女性は、顔に手をやり面を探します。
ぱさりと、面は二つに割れ、小川が流していってしまいました。
それでも、涙は未だやむことなく、
手に持つ扇で顔を隠すことも忘れていました。
今日は、ここまでにします。
ここまで読んで下さり、ありがとうꕤ…˖*