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棚卸せない

 突然だが我が職場は大量の商品サンプルを扱う場所である。
 商品サンプルには、棚卸がある。
 今日は、棚卸せない日々について喋る。

 まずは自社システムで今現場にあるはずのサンプル数を出す。いわゆる帳簿棚卸である。
 次に、サンプルを数えて実地棚卸を行う。

 ここで帳簿の1割くらいの誤差が生じた。つまり、帳簿の数が1000あれば100の誤差が生じている。帳簿上では1000なのに、1100もある、もしくは900しかない、という状況。
 それらを丁寧に、サンプルをどこかに出荷していないか、貸出していないかをチェックして差異を調整していく。

 今日中に棚卸さなきゃいけなかったんだけど。
 わたしは、入社1ヶ月の弱小新入社員なので、明らかに分かるやつだけ差異を申告し、あとの「これ…分かんないね…」とパイセンが匙を投げたやつを匙を投げたままにして帰ってきた。
 たぶん、パイセンが差異事由を「不明」にして計上して棚卸したはず。
 はず…………。

 あんまり不明が多いと、さすがに最終チェック者に怒られます。

 でも、不明を突き詰めすぎると終電まで残業しても終わらねえんだ! 俺たちは諦めるしか……。
 なんか、パイセンによると最終チェック者がこないだ変わって、ゆるい人から厳しい人になったらしい。死。

 月曜日、わたしはパイセンに「棚…卸せましたか…」って聞くべきなんだが、こわくて聞けない。
 そもそも棚卸だけじゃなくてほかにも業務があるんだぞ。
 今日の業務時間に棚卸作業してたの、ほぼわたしだけなんだぞ。分からないところをパイセンに聞いたくらいだぞ。
 それくらい、パイセンがたは忙しいのに…なんで…なんで上司容赦なく新規業務増やす……。

 ところで今週末は片づけをするぞ!
 いっぱい服を買いたいから、いっぱい断捨離をするぞ!
 じゃないと新しい服が入る場所がねえ。
 俺は俺のクロゼットを棚卸する。(?)

 ほんとうは毎日ちょっとずつ棚卸する人生が理想というか、そうしておけば楽なんだろうなとは思う。
 その日のことはその日のうちにけりをつけて、締める。
 そうすれば、週末とかそのうちとかにまとめてなんやかんやする必要がない。

 でもまあ、それができないから人生というやつは面白いのであるが。

 週末はWi-Fiのない環境で原稿でもしようかな。
 秋のコミティア(開催されるのか?)に向けての原稿をちょこちょこやっているが、終わる気配がないので……。
 これは終わるのか? 無事に発行にこぎつけられるのか?

 真実は、神のみぞ知る。

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宮崎笑子
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