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備中松山城 ~天空の城~

天空の城、それを聞くと何を想像するだろう。
ラピュタ?ドラクエV?それともドラえもん雲の王国?

一般的な城好きならばこう想像するだろう。
ラピュタ、竹田城、そして備中松山城。

これは数年前の冬の18切符シーズン、天空の城を見たくなったので岡山県にある備中松山城へ。

この城は臥牛山と呼ばれるところにある山城。秋から冬、気象条件が揃えば雲海に浮かぶように見える。それが天空の城だ。

しかし気象条件が揃っても見れるのは早朝。午前中に雲海は消える。遅くても学校の朝のホームルームが始まる時間には確実に消えてる。

拠点は岡山駅近く、そこの始発は5時過ぎ、最寄りの備中高梁駅には6時過ぎ、そこから雲海を見下ろす山へ。

確実に間に合わない。

さてどうするか…

『ならば終電で最寄り駅へ、ちょうどいい時間まで満喫とかで待機、夜明け前で暗闇なのでタクシーで山へ行けば…』

と頭の中では完璧な計画を即座に組み立て、最寄りの備中高梁駅へ。

着いたらこれである。

漫画喫茶どころでは無い。カラオケも宿泊施設も無い。一時拠点とすべき場所が無い。

辛うじて少し歩くとコンビニがあったが、一軒だけ。

…ここだけで数時間粘れと…?

とりあえずジャンプ、サンデー、マガジン、チャンピオンの四大少年誌の全ページを立ち読みして時間を潰す。

しかし全て読み終えても、やっと今日が終わって翌日を迎えたばかり。

早い話が深夜0時になったばかりだ。

流石にこれ以上は気まずい。外は暗闇なので懐中電灯を買って退却した。

…………

……

…時期は真冬、人の気配も街の灯りも消え、時間も止まったような静寂の夜。
時折雲間から覗く月は、まるで僕を見張るように不気味に輝く…。

人間、独りで闇夜に居すぎるとポエムを思い浮かべる習性があるのかもしれない。

もっとポエムを思い浮かべてみようとしたが、意識したら全然出てこなくなった。

というか何で終電に来るという奇行をしたんだ?別に駅近じゃなくても探せば宿があったのではないのか?何故予め調べて予約を取らなかったのだ?

人間、ポエムのターンを終えると次には自問自答のターンになる習性があるのかもしれない。

そんなことをしてると、来た。ちょうどいい時間だ。

営業を開始したばかりのタクシーを呼び寄せ、雲海の見える山の展望台へ。

走ること数十分、降りてもやはり闇の中、ここでコンビニで買った懐中電灯が役に立つ。

徒歩で来ないでよかった。

展望台には他にも雲海目当ての者が数人。自分は暗闇の駅付近で待機だったが、この人たちは暗闇の山で待機、とんでもない剛の者たちだ。

まだまだ闇の中だが、雲海が出現していることは分かる。目的の達成は約束された。

徐々に空が闇から藍色へ。

雲が分厚い!

これ程になると逆に不安になる。城、沈むんじゃね?

天守の頂点は見えた。そのまま浮き上がれ…、

沈んだ…!

しかし雲海はいつしか散る。散っていく時にちょうどいい出方があるはずなのでそこまでゆっくり待とう。

なんか急に出た!

ちょうどいいどころか理想系の出方である。
正に天空の城に相応しい見栄え。

せっかくなのでギリギリまでズームで。

今回はたまたま雲海が分厚かったのか、朝日が出てしばらく経つのに散る気配は無い。

これは城からでも見れんじゃね?と急ぎ山を移動、臥牛山へ

追手門跡の石垣

巨大な岩盤に積み上げられた圧巻の石垣。圧巻すぎたからか、何年か前の大河ドラマ「真田丸」のオープニングで使われた。

しかし近年、岩の割れ目の樹木が成長して、裂け目が少しずつ広がり石垣に微かなズレが…。
ほっとくと崩落してしまうので、「不安定岩盤斜面監視システム」を導入して24時間観測・監視してるらしい。
しかもこのシステム、マチュ・ピチュで採用されてるシステムと同じだとか。

更に登ると、

天守に到着。

今のこの姿になったのは江戸時代の水谷氏の大改修で、詰の城なので普段はあまり使われなかったとか。


そしてここは現存12天守唯一の山城なので、現存天守で一番高い城である。

しかし天守自体の高さは一番低いので、

現存天守で一番高くて低い城でもある。
しかも日本三大山城。
そして天空の城。

要素てんこ盛りだ。

ちなみに天守に着いた時には雲海、綺麗に散っていた。

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