感動のあるコピーは顧客を生み出す
コピーライティングに限らず、企画や商品開発の話しをしているとよく「感動」というキーワードが出てきます。
たしかに、世の中にない素晴らしい機能がある商品や、いままで味わったことがない料理があれば、人は感動するかもしれません。
でも、そんな特別な商品やサービスって、そんなに世の中には存在していないんじゃないか、って私は思っています。
私が思うコピー(言葉)を通して伝達したいと思う「感動」というのは、日常にある小さな小さな「感動」です。
ここからは私の実体験です。
土曜日休日出勤
ある冬の土曜日。仕事がとても忙しい時期で、どうしてもやらなければいけない業務があったため、休日出勤をしました。休日出勤とはいえ、社員教育に関連する業務だったので、120%全力で業務に取り組みました。
仕事は15時過ぎには終わったのですが、40代の体には疲労感が溢れていました。気づけば朝ごはんも昼ごはんも食べておらず、疲労感+空腹感を背負いながら、エレベーターに乗り込み会社の裏口から出ました。
ラーメン+ビール+からあげ
会社の表側にまわると、一風堂の看板が目に飛び込んできました。空腹感という本能が視覚に作用して、まっさきに目で探したのかもしれません。迷うことなく店内へ。
店内には土曜日の15時のオフィス街だからなのか、私以外には一組のお客様がいるだけでした。私は一風堂の白丸にきくらげをトッピングして食べるのがお気に入りで、その日は休日だしビールとからあげも一緒に注文しました。
注文してから1分後くらいに、店長さんらしき人が私に近づいてきて、
「申し訳ありません、からあげの仕込みが一人前分なくて、、、」
完全に口の中がビールとからあげモードになっていたので、他のおつまみを追加注文することなく、ビールをラーメンの黄金タッグを楽しもう、と気持ちを切り替えました。
店長とからあげ半人前
からあげロスから3分後くらいに、また店長さんらしき人が私に近づいてきた。
「ご注文いただいたからあげなのですが、半人前分ならご用意がありますので揚げてきました。これサービスですのでビールと一緒に食べてください」
と、小さめのお皿にキャベツの千切りが添えられたからあげを、私におごってくれたのです。
私はその店長さんの行動に感動しました。
・私の顔がからあげがなく憔悴してみえたのか?
・店長さんもビールとからあげのコンボが好きだったのか?
・私の体型をみて「こいつはラーメンだけじゃ足りないだろ」と思ったのか?
理由はどうあれ、事実として店長さんのからあげ半人前のサービスが、休日出勤でちょっと気持ち的疲れていた私を癒やし、感動させました。
一人のヘビーユーザーが生み出す経済効果
その出来事があって以来、私は一風堂でよくラーメンを食べています。名古屋に出張したときなんかは、駅ナカにあるグルメストリートでの昼食はひつまぶしか一風堂か、の二択にいつも悩んでいるくらいです。
最近では、ウーバーイーツにも一風堂があるので、アプリを立ち上げて一風堂が表示されると、ついつい白丸+きくらげを頼んでしまいます。
私は、この店長さんの行動に感動し、一風堂のファンになり、いわゆるヘビーユーザーになったのだ。
からあげ半人前をサービス提供することは、もしかしたら社内規則に反する行為だったのかもしれない。だけど、あのとき店長さんが私にからあげ半人前をサービスしていてくれたことが、一人のヘビーユーザーを生み出し、何十倍の売上を生み出し、これからも利益を生み出し続けることは間違いないでしょう。
人は、感動する、もしくは感動を思い出すと、その商品やサービスを欲しくなる。
小さな感動を想起させるコピーは、私が最も書きたいコピーのひとつです。
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