金言325:中華商品

中華商品がまだ日本に浸透していない頃、粗悪なモノはアメリカ製というのが定説でした。当時、ファッションの世界では若者が米国製の野球帽を好みました。米国製か日本製かの見分け方は簡単でした。縫い目がまっすぐとか細かいとか仕上げが丁寧とかいうのが日本製で、そうでないのが本物の米国製というものでした。

現在ではユニクロの登場によって、メイドインチャイナのテキスタイルの品質は日本製と同等またはそれ以上にまで高まり、安価な良品が市場にでまわっています。残念ながら、食品はまだ改善されていないようです。もし日本人が要求する品質管理をしたら、中国産の食品の原価が高騰すると中国産に詳しいという某大学教授がコメントしていました。実社会の商取引と少し感覚が違いますが。

20年前は、日本人が要求する品質は、価格とは必ずしも連動していませんでした。安かろう悪かろうという基準は日本の消費者が納得しませんでしたので、安い商品にも品質が要求されました。それなりの価格だからそれなりの品質でいいという100円ショップの消費者マインドはまだ存在していませんでした。そのため、日本向けには、検品作業を増やすことになり、製造者は検品コストの上乗せを要求しました。当時の売買契約には、たとえば4%の不良品発生率は許容範囲と明記されていました。そのため、日本の輸入元なり販売元は出荷前に自前で再検品し、小売店からの不良品の返品を無条件で受け入れていました。その不良品発生率が4%を超えないかぎり、製造元へのクレームは発生しなかったのです。

現在は、様相が変わり、工場では、徹底した品質管理を実施し、不良品発生率を低くすることによりコスト削減をはかっています。製造工程に無駄がないから製造コストが削減され、先進的な工場、最適な生産計画、合理的な流通のしくみによって価格競争力がうまれています。このうねりが、まだ中国の食品生産業界にやってきていないということです。

前述の某大学教授は、家計が苦しくなるより、リスクはあるが安い中国産で我慢するほうがましだろうと、いっているような気がしてなりません。こういう有識者は今後、状況の変化につれてコメントを言い換えて生き残るにちがいありません。

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平史理 taira fumitoshi
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