金言356:家庭教師

昔々、ある年の9月に大分県は、今年度採用した教員のうち、採用試験の点数を水増しして不正に合格した教員に対して採用取消し処分をしたことがありました。処分された人の中には、クラスを受け持っていたために、児童から居残って欲しいという声も聞こえ、1年間の臨時職員として留まることにした若者もいました。10月からは、本来合格していたはずの若者があらたに採用され、教育現場に配属。そうなると、採用取消処分を受け、人道的な措置で居残った臨時職員の居心地はますます悪くなります。20代前半でかなりの精神的負荷を経験したはずです。

一方で、採用取消し処分を受けた若者と同世代のカリスマ家庭教師という人たちがメディアに登場しています。あるカリスマは、東大医学部を中退し、家庭教師の職を選んだそうです。この若者の教え子は30人以上が東大に合格しているといいます。東大の入学試験に合格した若者は、自分自身が証明した合格ノウハウを商材にしたビジネスを選んだわけです。
教員採用試験で合格水準に達しないような若者が地方公務員として学校で教師をやり、試験ではこの若者たちよりはるかに良い成績をとる「受験の神様」たちが、私企業で家庭教師や塾講師をやっています。

身近にも一人いました。この人は、大学入学早々、生活費の足しに家庭教師のアルバイトを始めました。相手の受験生は、慶応医学部を目指していました。1年間家庭教師をやり、教え子と一緒に慶応医学部を受験し、みごとに二人とも合格しました。そして、この家庭教師は、ICUを中退、慶応医学部に入りなおしました。今頃はどこかの病院で出世しているにちがいありません。

家庭教師と学校の教師の違いは、学校を卒業した後、現実の社会にどう適応していくかの意識の違いにありそうな気がします。

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