金言328:例外なし

昔々、笑点に現職の国会議員が出演して国会議員同士で大喜利をしたことがあります。落語を本職としている人たちよりはるかに巧妙な話をつくっていました。いかに急場をしのぐ言い逃れができるかが議員の寿命を延ばす技のようです。言い逃れ、ごまかしは18番です。
短命に終わった前総理大臣は、支持率を低下させる一因であったコロナ感染拡大や複数の閣僚や高級官僚を適切に罷免できませんでした。民間では、不祥事が明るみにでるとトップが辞任するのがお約束になっています。不祥事をおこした会社の是正は、それを未然に防ぐことができなかった経営陣には任せないというのが市場の意志です。

危機管理やコンプライアンス上、不祥事に対して断固とした意思決定をすることを平常時に決めている組織が、いざ本番では、当該不祥事を例外または特例案件として扱い、問題解決を先送りすることがあります。事前の取り決めどおりに実行することで傷口がさらにひろがってしまうことを恐れるからです。

株式投資と似ているところがあります。買った後で下がることが多い相場で、ロスカットを設定しても、その価格で損切がなかなかできません。理由は、損切した後に上昇することが多いからです。損切するのは我慢できないくらい下がったときで、その時点で、セリングクライマックスを迎え、市場には売り手がいなくなり、下落が止まり反転します。相場が急落している非常時に、平常時に決めた損切価格まで下がっても、じっと嵐が通過するのを待ってしまいます。嵐が接近しているときに無策で、じっと篭城するから、結果として被害が大きくなってしまいます。嵐は必ず通り過ぎます、しかし、致命的な被害を受けてしまうと復活が困難になります。もちろん、想定できる脅威に対して堅固な守備体制が敷かれていれば、台風一過の晴天をすがすがしく迎えることができますが。

緊急事態宣言も損切も、一切例外なしで、あらかじめ設定した条件に到達した時点で情状酌量なしに自動的に発動することができるようになると、リスクが軽減され意思決定が安定するようになります。意思決定者にとっては、一定レベル到達で切り捨て、新たな未来の可能性により集中することができるというメリットがあります。個人投資家は繰り返し高額な授業料を払って学習しています。授業料が払えなくなると退場です。

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平史理 taira fumitoshi
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